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アジョワ・ アボアー、リア・ミシェル、“マタニティ”をかけがえのないビューティーモーメントに【メットガラ2024】

過去にはリアーナ、セリーナ・ウィリアムズ、カーリー・クロスがマタニティルックを大階段で披露したメットガラ。今年、大きなお腹を抱えてファッションの一大イベントに赴いたのはアジョワ・ アボアー、リア・ミシェルの2人。ドラマティックで、一瞬で多くの人々を魅了する凛とした佇まいは、“どんな体型でも、どんなライフステージでも、自分らしいファッションを楽しむ”というポジティブなパワーに溢れたものだった。

母性とモードの相乗効果で、自分らしさを解放

Photo: Taylor Hill/Getty Images

2022年に当時第一子妊娠中だったリアーナが大きなお腹を大胆に露出したドレスアップを披露し、世間のマタニティルックの概念が一新された。妊娠中でもお腹を隠すことなく自分らしい服装をクリエイティブに楽しむその気運は、ファッションの祭典であるメットガラとももちろん親和性が高い。今回も2名のセレブが思い思いの着こなしで、祝福のモーメントを楽しんだ。

第一子妊娠中のアジョワ・ アボアーのルックはとりわけアイコニック。H&Mのフリルのクロップドトップスとバルーンスカートを身に纏い、大きなお腹を覗かせた姿は、まるで咲き誇る大輪のバラのようにゴージャスな美しさだった。心の問題に悩んだ過去から、現在はモデル兼メンタルヘルス活動家としても活躍するアジョワだが、彼女が伝え続けるのは、どんなときでも変化を恐れず自分を信じて大切にするセルフラブの精神。このマタニティルックはまさにそのメッセージを体現した、愛が込められたスタイルなのだ。

Photo: Mike Coppola/MG24/Getty Images

第二子妊娠中のリア・ミシェルも、鮮やかなブルーのドレスアップで視線をさらった。チュールのロングトレーンをふんわりとかけ、大きなお腹を愛おしそうに抱える姿はさながら現代のビーナスのよう。リアの表情にも母としての自信がみなぎっているように見える。

今回のメットガラの特別展のテーマは、「Sleeping Beauties: Reawakening Fashion(眠れる美への追憶──ファッションがふたたび目覚めるとき)」。時代に応じてファッションは目まぐるしく変化し、常に服装には女性の置かれた立場や当時の思いが反映されている。今回のメットガラのマタニティルックも、古い母親像のしがらみから解放された新たなスタンダードとして人々の記憶に残り、時をこえ、女性をエンパワメントしていくのだろう。

Editor: Rie Maesaka