不安定だったメンタルが安定して見える、現在のベラ
スーパーモデルのハディッド姉妹、ジジとベラ。魅力的なふたりだけれど、これまでは太陽のようなジジと月のようなベラ、陰と陽の関係の印象が強かった。ベラ自身が過去に米VOGUE誌のインタビューで語ったように、彼女は姉のジジに対してコンプレックスを抱いていたからだ。「私は姉より醜かった。ブルネットだしクールでもない、社交的でもなかった」 と悩み、14歳で鼻の美容整形手術を受けたベラは、肌を過剰に露出することでメディアの注目を渇望し、メンタルヘルスの病気と闘っていた。そんな彼女に付き纏う一種の危うさのようなものが彼女の魅力となっていたことも否めない。
しかしそんなふたりの様子が、ここに来て変わってくたように感じる。それはベラが、ロデオ選手のアダン・バヌエロスとの交際を始めたことがきっかけ。幼い頃から乗馬を愛する家族の元で育ったベラは、母ヨランダの婚約者がロデオ大会に出場するのを観に行った馬のショーでアダンと出会う。2023年10月にデートを始めてからは、何もかもが変わった。カウボーイであるアダンの影響を受けてすぐにカウガールファッションに身を包むようになり、痩せすぎと心配されていた彼女が健康的な体型になり、幸せそうな笑顔を見せている。
先日N.Y.のファッションウィークに開催されたイベント『Windows to West』では、アダンとともにウエスタンスタイルで出演し、見事な乗馬姿を披露した。馬の上で微笑んでいる彼女はハッピーオーラでキラキラしていて、ヴィクシーのショーのステージにいたときより輝いて見える。何が彼女を変えたのだろう?それはもちろん、アダンとの恋愛だと思うのだ。
過去には歌手のザ・ウィークエンドやアートディレクターのマーク・カルマンと交際歴のあるベラ。しかしその関係は健康的なものではなく、過去の恋愛では性的、物理的、精神的な虐待を受けてきたとヴィクシーのポッドキャスト「VS Voices』で語っている。「その結果、私は境界線を持たなくなった」、そして「恋愛でも、家族でも、どこにいても、私の声は重要ではないと常に言われて育ってきた」、とも。それでも有害な関係から離れられず、相手を喜ばせることに努めてきたという。美しいベラが、華やかな世界でそんな惨めな想いと孤独を味わって来ただなんて、何とも胸の痛くなるような話。
アダンはベラのことを「乗馬がすごく上手で、馬だけでなくすべての動物が彼女を愛しています。彼女の生活はおしゃれでグラマラスなものに見えますが、心の中では彼女はカウガールなのです」と評する。きっと今までの恋人とは違って、ベラの外見のゴージャスさだけに惹かれたのではなく、彼女の本質に気づいてくれたのが、アダンなんじゃないだろうか。動物を愛し、自然の中で馬を乗り回す純粋な喜びを味わう。そんな自分を尊敬し受け入れてくれる男性の存在が、ベラを満たしている。それは彼女が、ロデオの全国大会のチャンピオンであり「ロデオ界の未来」と呼ばれるアダンのことを「人生における愛」と呼ぶことからも窺えるような気がするのだ。
では、ジジの恋愛事情は?
一方ジジは、2023年10月からブラッドリー・クーパーとデートし始め、現在も交際中らしい。レオナルド・ディカプリオとのデート報道後に、結局ディカプリオの友人であるブラッドリーとくっついた感じだ。しかし彼と付き合い始めてからは、キラキラ度合いが下降気味な気も……。ちなみにジジ28歳、ブラッドリー49歳。21歳も年上の彼なのに、デートでジジをエスコートしている感じが見受けられない。ー元パートナーのイリーナ・シェイクにはあんなにデレデレだったのに!
そして今年のオスカーのレッドカーペットにもジジではなくママをエスコート。ブラッドリーのママ大好きぶりは有名で、2023年のゴールデングローブ授賞式でもママと手を繋いで登場している。もちろん母親を大事にするのは素晴らしいことだけど、今年8月のサルデーニャ島でのジジとのバカンスにまで、このママが同伴。車から降りるときにジジの荷物を持ってあげる様子もないし、何と言っても、ブラッドリーと付き合い始めてからジジの口角が下がり続けているのが気になってしまう。幸せそうなベラとは、何だか対照的なのだ。
やっぱり、大事にされて心から愛し愛される幸せな関係は、女性を内面から輝かせる。付き合っていても公式の場に連れて行かれない(もしかしたらジジの選択によるものかもしれないけれど)彼女と、一緒に大好きな馬に乗ってその喜びを共有できる彼女。どちらが幸せそうかは、一目瞭然ではないか。自分の「ガワ」ではなく、自分らしくのびのびと振る舞っている姿を魅力的だと感じてくれる相手と付き合うこと。その重要性を、私はハディッド姉妹から改めて学んだ気がする。
Text: Moyuru Sakai Editor: Toru Mitani