もしヘイリー・ビーバーが自宅のワードローブを公開してくれるとしたら、そこにはショールームよろしく、サンローラン (SAINT LAURENT)のバッグがずらりと並んでいるのではないだろうか。パリのメゾンのキャンペーンにモデルとして数多く起用されてきた彼女は、「ル・サンカセット」のバッグを小脇に抱えているところを頻繁にキャッチされるが、全スタイルを取り揃えているのではないかと思うほど、異なるデザインを代わる代わる披露する。
永く愛用することを考えると、数あるラグジュアリーハンドバッグの中でも、サンローランは投資すべき名品揃いだ。派手なイットバッグではなく、メゾンの伝統的なコードに忠実なタイムレスなエレガンスを提供するクリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロは、ビビッドなカラーや独特なフォルムではなく、落ち着いた色合いとトップハンドルトート、エンベロープクラッチ、クロスボディバッグといった機能的なシルエットにこだわっている。
クワイエット ラグジュアリーを後押しするアンジェリーナ・ジョリー、ジゼル・ブンチェン、ゾーイ・クラヴィッツなど、愛用するセレブたちの顔ぶれをひとつとっても、サンローランの時代を超越したデザインへのこだわりがうかがえる。既存の定番モデルをベースにしつつ、ベストセラーに定期的に新たなアレンジを加えるという戦略のもと打ち出されるラインナップは毎年、極めて一貫しているが、新鮮味に欠くことはなく、人気がそのときどきのトレンドに左右される「イットバッグ化現象」に決定づけられることはない。それには「カリプソ」や「ル・トロントセット」など、新作をまるでメゾン設立当初から展開されているクラシックなデザインかのように見せる、アンソニー・ヴァカレロの手腕が少なからず関係している。
ファッション検索エンジン、リスト(Lyst)の2024年第1四半期の「最もホットなブランドランキング」にて第5位に選出され、メゾン史上初となるトップ5入りを果したサンローランの勢いは増すばかりだ。Lystによるとパリ・ファッションウィークのショーから1カ月の間に商品の検索数が10%増加し、人気急上昇の一因は「ル・サンカセット」の需要の高まりだという。また、イギリスのECサイトのネッタポルテ(NET-A-PORTER)でも、サンローランのバッグの検索数が過去12カ月で203%増加。「ル・サンカセット」シリーズの最新作「ベア」だけでも検索数は過去3カ月で300%急増し、同シリーズの「スープル」も150%アップ。この2つを筆頭に、すぐにでも迎え入れたいクラシックなデザイン7つをご紹介。
ル・サンカセット
2021年春夏コレクションで発表された「ル・サンカセット」の名前の由来は、アンソニー・ヴァカレロのお気に入りの映画のひとつ、アニエス・ヴァルダ監督の『5時から7時までのクレオ』(1962年)。しなやかなシルエットとYSLモノグラムがあしらわれたタブクロージャーが特徴のレザーショルダーバッグは、ヘイリー・ビーバー、ローラ・ハリアー、ゾーイ・クラヴィッツのシグエンチャーアイテムとなっている。
ル・サンカセット ベア
「ル・サンカセット」シリーズに新たに加わった「ベア」は、ネッタポルテによると今年注目が集まっているサンローランのバッグのひとつで、過去3カ月で検索数が300パーセント増加したという。通勤バッグや旅行のお供にも最適なゆったりとしたシルエットと収納力を誇り、ほかの「ル・サンカセット」同様、タブクロージャーにあしらわれたゴールドのカサンドラロゴがポイント。
ル・サンカセット スープル
上質なグレインレザーを使用し、調節可能なストラップが特徴の「スープル」は、デイリー使いに適した究極のショルダーバッグ。ネッタポルテではグリーンのラージバージョンがトレンド入りしているが、ブラック、ホワイト、タン、キャメルのバージョンも同様に美しい。「ル・サンカセット」シリーズのエッセンスを普段使いしやすいデザインに落とし込んだ「スープル」は、最近BLACKPINKのロゼ、テイラー・スウィフト、マイリー・サイラス、ヘイリー・ビーバーらセレブの間でも人気。
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ジェイミー 4.3
2023年春夏コレクションに登場した「ジェイミー4.3」、2018年に発表されたオリジナルのジェイミーを再構築したもので、モデルのジェイミー・ボチャートにちなんで名付けられた。調整可能なゴールドのスライドチェーンとメゾンの「カレ リヴゴーシュ」のキルティングオーバーステッチを備えた、あらゆるシーンで活躍するマキシバッグだ。
リヴ ゴーシュ
サンローランらしさが詰まった、ロゴ入りのトートバッグ「リヴ ゴーシュ」。リネンやラフィアなど、夏らしさを演出してくれる素材のタイプを取り入れれば、ワンランク上のビーチバケーションスタイルに仕上がる。
ル・トロントセット
比較的新しい「ル・トロントセット」は、2023年春夏コレクションでお披露目されたレザー製のバケットバッグ。グローバルアンバサダーのBLACKPINKのロゼが登場したキャンペーンでおなじみのスタイルは、トップハンドルのストラップと取り外し可能なショルダーストラップを備え、端正なプロポーションと実用的なデザインが特徴。
ケイト
エレガントなエンベロープクラッチバッグで知られるサンローラン。その中でも、長年多くの人に愛され続けているスタイルのひとつが「ケイト」だ。至ってシンプルな長方形のフォルムだが、YSLモノグラム、チェーンストラップ、揺れるタッセルといったサンローランらしさが光るディテールが印象的。
カリプソ
2023年春夏コレクションで新たにラインアップに加わった「カリプソ」は、エンベロープフラップ、チェーンストラップ、カサンドラロゴのタブクロージャーなど、サンローランのシグネチャーが盛り込まれた逸品。ラムスキンレザーとパッド入りのキルティングが洗練された柔らかさを醸し出す。
ルル
イヴ・サンローランのミューズとして世界的に有名だったルル・ド・ラ・ファレーズにちなんで名付けられた「ルル」ショルダーバッグは、メゾン指折りの人気スタイル。エンベロープ型とアイコニックなシェブロンキルティングのオーバーステッチが特徴で、ザ・リアルリアル(The RealReal)、ヴェスティエール コレクティブ(Vestiare Collective)、ファッションファイル(Fashionphile)、リバッグ(Rebag)などのリセールプラットフォームによると、今年最もリセールバリューの高いデザイナーズハンドバッグのひとつであるという。