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ブルガリ ホテル 東京の全貌──イタリア×日本のラグジュアリーを体現する場所

2023年4月4日、ブルガリ ホテル 東京がついにオープンした。2004年のミラノを皮切りに、これまでロンドン、ドバイ、バリ、北京、上海、パリに展開してきたブルガリ ホテルズ & リゾーツの8番目のコレクションだ。東京駅直結の高さ240メートルの超高層ビル、東京ミッドタウン八重洲の40階から45階を占め、皇居をはじめとする360度の東京の街並みを見渡せる抜群の眺望を誇る。客室からレストラン、バー、スパまで、その全貌をレポート。

東京駅直結。世界で8つめのブルガリ ホテルが日本上陸

赤レンガが象徴的な東京駅の駅前にそびえる東京ミッドタウン八重洲の高層階を占める。

60年代、70 年代の色鮮やかなブローチを描いたスケッチが飾られた地階ロビー。

ブルガリ ホテル 東京が位置するのは、東京の玄関口、東京駅の目の前。毎日およそ100万人が乗り降りするステーションに直結しながら、ホテルに到着した瞬間から世界は一変。ブルガリが創り上げた夢の世界へと誘われる。

歩道と車寄せから通じる地階ロビーと通路には、ホテルのシンボルでもある「マウント・フジ ブローチ」をはじめ、60年代、70年代の数々の色鮮やかなブローチを描いたスケッチが飾られている。エレベーターでホテルのメインロビーのある40階へ上がると、そこはブルガリの歴史とアートが凝縮した特別なフロアへ続く。

40階フロアの東西をつなぐギャラリーの入口には、日本の伝統文様「孔雀紋」をモチーフにしたアーチが。

エレベーターホールから続く廊下の壁に施された、ブルガリの代表的なモチーフのひとつ、扇型の精緻なモザイク。その向かいの壁に飾られた、ローマの本店前で撮影されたセレブたちのポートレート。40階の東西をつなぐ役割を持つギャラリーの入り口には、日本の伝統文様の「孔雀紋」を周囲の壁に施したアーチがあり、さらにそれぞれに贅を尽くしたレストラン、ラウンジ、スパなどが同じフロアに同居している。

陽光が差し込むテラスルームはウェディングの際はチャペルとしても使われる。

インテリアデザインは、これまでのブルガリ ホテルズ & リゾーツと同様、イタリアの建築設計事務所ACPVアーキテクツが担当。ブルガリ ホテルのコンセプトを継承しながら、日本的な感性と卓越したクラフツマンシップにも敬意を表し、ローマと東京という2つの都市の伝統と文化を紡ぎ合わせた独自のデザインが特徴だ。洗練されたイタリアン・スタイルのエッセンスを随所に散りばめた、機能的にも優れた空間になっている。

ローマと日本のクラフトマンシップを融合した、モダンな客室

日本の美的感覚を取り入れたというインテリアデザイン。レジデンスのような心地よさを目指した。

41階から44階を占める客室は、23室のスイートルームを含む全98室。すべて50平方メートル以上の広さを持ち、床から天井までの大きな窓からは、日の出から夕景まで東京の絶景が楽しめる。室内にはマクサルトやフレックスフォルム、B&Bイタリアといったイタリア屈指の高級家具や福岡発のブランド、リッツウェルなどによる日本製の上質な木やレザーを使った家具が設えられ、手塗りで仕上げられたマットゴールドの折上げ天井など、ここにもイタリアと日本の文化を融合したコンテンポラリーなデザインが施されている。

4か所のシーティングエリアをそなえたブルガリ スイートの広大なリビングルーム。

特筆すべきは、400㎡の広さを誇る最上級のブルガリ スイート。ベッドルームのほかリビングダイニング、ワークスペースに加えて、室内にジムもある都内最大級のスイートだ。ベッドスローには、京都の老舗「細尾」の西陣織を用い、マットゴールドの天井は、伝統の技を受け継ぐ職人が5層の重ね塗りで仕上げた。

星付きシェフが監修するレストラン。ホテル限定のスイーツも

ザ・ラウンジから直結するイル・リストランテ ニコ・ロミート。和の趣のあるアーチ状の木天井から、手吹きムラーノガラスのペンダント照明が下がる。

充実したホテルステイに欠かせない、バラエティ豊かなシグネチャーダイニングも、ブルガリ ホテル 東京の魅力のひとつだ。ここにしかない味と特別感あふれる空間で、唯一無二のグルメ体験が可能だ。

メインダイニングのイル・リストランテ ニコ・ロミートは、イタリア・アブルッツォのレストラン「レアーレ」でミシュラン三つ星に輝き、世界でも指折りの有名シェフになったニコ・ロミートが監修。伝統的なイタリア料理にクリエイティブなアレンジを加えた料理を提案する。素材やレシピの絶え間ない研究から生まれた、見かけはシンプルでも奥に秘めた重層感のある味わいが彼の真骨頂だ。

日本の伝統的な木造寺社を彷彿とさせる、アーチ状の木天井が特徴的な奥行きのある空間を、バロビエ&トーゾ製のペンダント照明や、温かみのあるサフロンカラーの壁紙、マクサルトのライトブラウンのチェアとオフホワイトのソファで飾り、自宅にいるかのようなくつろいだ雰囲気を演出する。テラスには屋外席もあり、昼はすがすがしい陽光の下で、夜は東京の夜景を望みながら、コンテンポラリーなイタリアンを楽しめる。

SUSHI HŌSEKIは、無垢の桧カウンターのみのミニマルなインテリア。

SUSHI HŌSEKIでは、福岡の鮨 行天でミシュラン三つ星を獲得した鮨職人・行天健二の監修により、選りすぐりの食材を使った心に残る鮨でもてなしてくれる。鮨に集中できる空間をと、インテリアデザインはきわめてシンプル。伝統的な桧の一枚板のカウンターの8席のみ。松や石灯籠といった日本庭園のアイコンを取り入れた枯山水を眺めながら、昼夜とも「おまかせ」スタイルの鮨が堪能できる。

ザ・ラウンジの家具や照明はB&Bイタリアやマクサルト、フレックスフォルム、フロスなどイタリアブランドで統一。

イル・リストランテニコ・ロミートに隣接し、南西の皇居外苑に面する広々としたテラスへと通じる開放感あふれる空間が、ザ・ラウンジ。ローマにあるルネサンス期の宮殿をイメージした格天井、イタリアの建築家ジオ・ポンティが装飾として多用した木目の向きを互い違いにしたニレ材の壁、鋳鉄とジンバブエ産黒花崗岩を使った大きな暖炉と、心地良いアームチェアを備えたくつろぎを演出。ここでは、ニコ・ロミートシェフ監修による軽食とスナックのメニューのほか、午後にはセイボリーとスイーツをオーガニックの日本茶と合わせたユニークな「ハイティー」がいただける。

シグニチャースイーツの「チョコレート・ジェムズ」やニコ・ロミートが監修したペストリーが並ぶ。

SUSHI HŌSEKIの向かいにはブルガリ ドルチのブティックがあり、宝石という名を持つシグネチャースイーツの「チョコレート・ジェムズ」はブルガリ ホテル 東京オリジナルのフレーバーも用意。パリッとした生地にリコッタを詰めたカンノーロ・シチリアーノや生クリームを詰めたビニエにココアグレーズをかけたプロフィトロールなど、ラ・パスティッチェリア ニコ・ロミートが再解釈した伝統的なイタリアンペストリーも揃えている。

広々とした空が抜けるテラスを併設したバー

ブルガリ バーのカウンターの背面は「ガーデン オブ ワンダーズ」を表現したハンドメイドのモザイクで彩られる。

全面ガラス張りで中と外がとシームレスに繋がり、屋外のテラスからは頭上に空を見ることができる。

アイコニックなブルガリ バーは、最上階45階のワンフロアをすべて使用した贅沢な空間だ。「ガーデン オブ ワンダーズ」を表現したハンドメイドのモザイクを背にしたカウンターで、シグネチャーカクテルを楽しんだり、屋外のテラスで東京のパノラマを眺めたりして優雅な時間を過ごすことができる。テラスには日本とイタリアを象徴するゆずとレモンの木が植えられ、日欧の文化の融合というコンセプトを、ここでも再認識することができる。天候によっては、富士山の壮麗な姿を見ることも。富士山は、ブルガリが1972年に制作したヴィンテージブローチで、ホテルのシンボルにもなっている「マウント・フジ ブローチ」のインスピレーションの源だ。

25メートルプールを備えたスパエリア

エメラルドグリーンのモザイクタイルで飾られた25mのフルサイズスイミングプール。

40階のブルガリ スパでは、壁一面の窓から高層ビル群を望む圧巻のパノラマビューが楽しめる。1000㎡を誇る施設の中には、最先端のフィットネスセンター、25mの本格的な屋内プール、サウナとバスに加え、スパスイート1室、ダブルトリートメントルーム2室など、計9室のトリートメントルームを備える。最新のトリートメントやセラピー、グルーミングメニューなど、究極のウェルビーイング体験が可能だ。フィットネスセンターでは、結果重視のアプローチを取る「ワークショップ ジムナジウム」が、独自のオーダーメイドトレーニングメソッドを提供する。

足元に東京の夜景が広がる、ブルガリ スパのダブルトリートメントルーム。

ブルガリ ホテル東京は、日本においても30年以上にわたってハイジュエラーとして不動の地位を築いてきたブランドが唱える、デザイン、ライフスタイルカルチャー、ホスピタリティが凝縮した場だ。機能的でコンテンポラリーなデザインの客室、バラエティに富んだレストランやバー、ウェルビーイング体験ができるスパなどを通じて、その神髄を体験することが可能なのだ。

ブルガリ ホテル 東京
東京都中央区八重洲2-2-1
Tel./03-6262-3333
https://www.bulgarihotels.com/ja_JP/tokyo

Photos: Courtesy of Bulgari Hotels & Resorts Text: Yuka Kumano