バーバリー(BURBERRY)は半年前にダニエル・リーを起用した前CEOのジョナサン・アカロイドが退社。また、リーが他ブランドへの移籍を交渉中だとの噂が流れ、今季が彼によるラストショーになるのではないかと複数のメディアに報じられていた。
しかし、当日のショーでは退任を感じさせるような雰囲気は見られなかった。退任前であれば、コメントを避けるであろうところ、リーはショー後にプレスインタビューに応じ、「私はバーバリーが大好きです。素晴らしいブランドであり、このブランドのために働くことは本当に光栄なこと。ジョシュア・シュルマン(現CEO)が入ってから6ヶ月経ちましたが、順調に進んでいます。確実に改善しており、前向きな状況にあると思います」と明かした。
テート・ブリテンとのパートナーシップ
今季のショー会場となったテート・ブリテンは、イギリスの歴史的なアートを収蔵する美術館。この会場が選ばれたのは同美術館との1年間のパートナーシップを記念したもので、同館内にある世界有数の絵画保存スタジオでの重要な修復作業を支援するというブランドの取り組みが発表された。
会場のセットは、イギリスの巨匠たちが描いた風景画やタペストリーを再解釈。ランウェイの入り口にはフレスコ画が描かれたテキスタイルのカーテンがかけられ、座席にはそれらの生地が、古いカントリーハウスに多く見られる埃よけの布のように覆われていたのが印象的だった。
ロンドンの喧騒を離れた“ボヘミアンな旅”
今季のコンセプトは「金曜日の夜、ロンドンからの脱出」。リーは、地方のカントリーハウスへの日帰り旅行や、雨に濡れながら大自然の中を散歩するなど、ロンドンの人々が何世紀にもわたり首都の喧騒を離れ、静かな自然の中で休息を楽しんできた歴史に着想を得たという。
しかし、ほっこりとしたデザインに留まらないのがリーの腕の見せどころ。イギリスの上流社会の若者たちを描いた映画『ソルトバーン』にインスパイアされ、「登場人物たちが田舎の豪邸で、夕食時に風変わりな服を着て、クレイジーなパーティーを開いていたボヘミアン精神を表現したかった」とリー。
モデルでは、「ソルトバーン」に出演したリチャード・E・グラントをはじめ、ドラマ「ダウントン・アビー」のエリザベス・マクガヴァン、「ザ・クラウン」のレスリー・マンヴィルといったイギリスを代表する映画やテレビドラマでお馴染みの俳優陣がランウェイを歩いた。
ナオミ・キャンベルらがまとったフリンジディテールのコートなど、リーらしくダイナミックでありながら上品にアレンジされたデザインも健在だった。
来年2026年には170周年を迎えるバーバリー。リーは「常にバーバリーのアーカイブやDNAにインスパイアされ、170年を迎えるブランドの伝統を尊重しながら新しい方向性を模索しています」と語った。
ラグジュアリーブランドではデザイナーシャッフルが相次いるが、来年の周年に向けて、リーが引き続きブランドを牽引していくことを期待したい。
水川あさみ&窪田正孝夫妻が来場
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日本からはアンバサダーの水川あさみと窪田正孝の夫妻が揃って来場し、ショーを鑑賞した。また俳優の桜田通、タイ人俳優のブライト、オーランド・ブルーム、ニッキー・ヒルトン、ロージー・ハンティントン・ホワイトリー、テイラー・ヒル、ブルックリン・ベッカム&ニコラ・ペルツ夫妻などもフロントローに姿を見せた。
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Photos: Courtesy of Burberry Text: Mami Osugi