カカオには血液循環の改善、代謝のバランス調整、美肌のサポート、脳の活性化など、多くの健康効果があるとされ、昨今ウェルネス系インフルエンサーたちが、飲み物やスムージーにスプーン一杯のカカオパウダーを加えているのを目にしたことがあるかもしれない。そもそも、カカオとは一体何なのか? 食べるとどう体にいいのか? カカオ、ココア、チョコレートの違いとは?などの素朴な疑問から、カカオが私たちに与える効能、デメリットや注意点まで、カカオについて知っておくべきすべてのことを解説。最後には、デザートのレシピもご紹介。
カカオの正体。そしてその起源
カカオは、中南米の赤道地帯を原産とするアオイ科の常緑小高木から得られる植物で、古代マヤやアステカの人々によって神聖な食品として崇められてきた。アステカ文化においては、カカオは金よりも重要とされていたという。伝説によれば、アステカの王モクテスマ2世は、発酵させたカカオから作った飲み物を毎日飲み、エネルギーや官能的感覚を高めていたのだそう。
16世紀にスペインの征服者たちによってカカオがヨーロッパに持ち込まれた際、現在「ココア」として知られる形態が初めて誕生した。ココアは乾燥させたカカオの種を焙煎し、皮を取り除いた後に粉砕して作られ、そこから脂肪分(ココアバター)を取り除いて得られる粉末。こうして作られたココアパウダーは、一般的にアイスクリーム、クッキー、ケーキなどに使用される。
一方で、カカオパウダーはカカオ豆を発酵させ、低温でローストして挽いたもの。ココアパウダーに比べ加工度が低く、原料である生カカオ豆から作られるため苦味が特徴。その分、元来植物が持つ栄養素を多く含んでいる。カカオを購入する際はオーガニックであること、そして低温加工された「ローカカオ」であることを確認して。
カカオがもたらす健康効果とは?
カカオは、ビタミンB群やカルシウム、銅、マグネシウム、リン、カリウム、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれるだけでなく、体内の細胞を酸化ストレスから守る強力な抗酸化物質も含んでいる。特に、カカオはポリフェノール、特にフラボノール(フラボノイドの一種)が豊富だ。カカオに含まれる成分によって、具体的にどのような体への影響が期待できるのだろうか。
- 血圧の低下
フラボノイドのおかげで、純粋なココアパウダーは血圧を下げる効果があるとされている。 - 肌の保護
ココアフラボノールは肌の血流を改善し、保湿力を高めるとともに、UVダメージから肌を守る。 - 血液循環の改善
カカオは血液をサラサラにし、循環を改善することで、脳卒中や心臓発作のリスクを減少。 - 悪玉コレステロールの低下
カカオはLDLコレステロール値を下げる効果があると言われている。 - 脳の血流と認知機能の向上
ポリフェノールの力で、脳への血流を改善し、認知機能をサポートする。 - 神経変性疾患のリスク低減
アルツハイマー病のような神経変性疾患のリスクを減らす。 - 気分改善と抗うつ効果
フェネチルアミン(脳内でエンドルフィンの生成を促す物質)やセロトニンの前駆体であるトリプトファンなどの化学物質を含むため、気分を改善し、うつ症状を緩和する効果が期待できる。 - 喘息の緩和
テオブロミンやテオフィリンなどの抗喘息作用を持つ化合物のおかげで、咳など喘息症状を和らげる。
このようにカカオは、体全体に良い影響を与えるだけでなく、心と脳の健康も支えてくれるスーパーフードと言えるのだ。
カカオは健康的な体重維持に役立つのか?
高品質で無糖のココアパウダーや、70%以上のダークチョコレートを少量摂取することで、満腹感を得られるため、体重を維持したい人や減量を目指している人に役立つ可能性がある。米国国立医学図書館より発行された研究では、ダークチョコレートの摂取が低い体格指数(BMI)と関連していることが示されている。
カカオの禁忌とネガティブな側面
カカオにはカフェインやテオブロミンといった刺激物が含まれているため、就寝前や頻脈に悩む人は摂取を避けるべき。また、カカオやテオブロミンにアレルギーがある人も摂取を控えて。
1日にどれくらいのカカオを摂取すべき?
推奨されるココアパウダーの摂取量は1日約20g。ただし、1日57gを超えないように注意することが推奨されている。
カカオとチョコレートの違い
混同されがちなカカオとチョコレートの違いを改めておさらいしよう。
- カカオ 「テオブロマ・カカオ」(カカオの学名)の果実の種から得られ、発酵、焙煎、粉砕を経てカカオパウダーが作られる。健康に有益なのは、砂糖が含まれていない純粋で生のカカオ。
- チョコレート カカオ、砂糖、粉ミルクなど複数の材料を加工して作られる工業製品であり、一般的にはタブレット状やチョコレート菓子として提供される。
エクストラダークチョコレートは最も高い割合のカカオを含み、その含有量は最大99%にも達する。一方で、ミルクチョコレートはカカオの含有量が少なく(約25%)、砂糖が多く含まれる。ホワイトチョコレートに至っては、カカオ自体は含まれず、カカオバター、ミルク、砂糖だけで作られている。
カカオパウダーを食生活に取り入れる方法
カカオパウダーは多用途な食品であり、デザート、スナック、ホットドリンクやコールドドリンクなど、さまざまなレシピに活用できる。
- お好みのミルクに混ぜて、ホットチョコレートを作る。
- バナナスムージーや朝のプロテインスムージーにスプーン1杯加えて、肌に良い抗酸化物質をプラス。
- フルーツサラダに振りかけて、ほろ苦いアクセントを加える。
- カシューナッツバターやアーモンドバター、砕いたナッツ、オート麦、デーツ、ココナッツフレークと練り合わせて、美味しいエナジーボールを作る。
材料
- チアシード 3杯
- アーモンドミルク、オーツミルク、またはココナッツミルク
- デーツ(刻んだもの) 2個
- 無糖カカオパウダー 小さじ1
- シナモン 適量
- 天然海塩 ひとつまみ
作り方
- 大きめのカップまたは小さなボウルにチアシードを入れ、デーツ、カカオパウダー、シナモンを加えて混ぜる。
- たっぷりのミルクを注ぎ、よくかき混ぜる。
- 3~4時間、もしくは一晩置いて休ませる。その間にもう一度よく混ぜると良い。
- 最後にシナモンを少々ふりかけ、ブルーベリーやラズベリーをトッピングして完成。
材料
- 絹豆腐
- 無糖カカオパウダー 大さじ1
- デーツ 1~2個、またはメープルシロップ 小さじ1
- シナモン 小さじ1(お好みで)
作り方
- すべての材料をブレンダーの容器に入れ、なめらかになるまでミキシングする。
- ムースをガラスの器に移し、冷蔵庫で数時間冷やす。
- 盛り付けの際に、ベリー類やミントの葉で飾り付けて完成。
Text: Alessandra Signorelli Translation: Makiko Yoshida
FROM VOGUE.IT
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