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三吉彩花がディオールを纏い「KYOTOGRAPHIE 2023」へ。写真家・高木由利子の個展「PARALLEL WORLD」の世界に触れて

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」において、写真家・高木由利子の「PARALLEL WORLD」展が5月14日(日)まで開催中だ。高木が撮り下ろした「二つの世界」を、ディオールを纏った三吉彩花が訪れた。二条城を舞台に繰り広げられるファッションと写真の魅力に迫る。

「KYOTOGRAPHIE 2023」、高木由利子の個展「PARALLEL WORLD」に訪れた三吉彩花。

ファッションと写真の世界が交錯するメインエントランスの前にて。

京都を舞台に5月14日(日)まで開催中の「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」。写真家・高木由利子による「PARALLEL WORLD」展は、二つのシリーズを二条城の二の丸御殿 台所・御清所で展示している。

高木と言えば、東京都現代美術館にて~5月28日(日)まで開催している「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ展」のビジュアルを撮り下ろしたことでも話題を集めている。今回、高木のクリエーションに共鳴したディオール(DIOR)は「PARALLEL WORLD」展に特別協力している。

グラフィックデザインとファッションデザインを学び、ヨーロッパでファッションデザイナーとして活動していた高木は、何度か訪れたモロッコで写真に開眼。本展は、オリジナルプリントをはじめ、特大サイズのデジタルプリントや高木自身がプリントに着色した作品、印画紙、和紙、コットン紙、漆喰など異なる素材にプリントされた作品などが展示されており、多彩な写真表現とともにその領域の奥深さに迫る。

民族衣装を纏う人々を12カ国で撮影したプロジェクト「Threads of Beauty」

日常的に民族衣装を纏う人々が収められた「Threads of Beauty」は特大サイズのデジタルプリントが見どころ。

本展は建築家の田根剛によって制作され、共時的に存在する「二つの世界」を意味している。まず一つ目の「Threads of Beauty」は、日常的に民族衣装を着ている人々を12カ国で撮影したプロジェクトだ。

高木がこのプロジェクトに取りかかったのは1998年。アジア、アフリカ、南米、中近東など、撮影旅行を続けながら、ファッションや人体を通して“人の存在”を追い求めてきたが、民族という意識が国家という大きな規模になり、生活形式が変容していく中、民族衣装を日常的に着ている人々が急速に減りはじめ、シャッターを切り記録をしなければならないという衝動に駆られたそうだ。

趣のある歴史的建造物に展示された写真の中には、イランのノマドを撮り下ろした作品もあり、高木曰く、彼らは自分が愛おしく思う服を移動できる分だけ大切に所有し、移動のときにはすべての服を重ねて着飾っていたという。

クリスチャン・ディオールが遺した二つの言葉に共鳴

ディオールのオートクチュールを撮り下ろした作品。

そして、民族衣装の作品群とコントラストを成しているのが、ディオールのために撮り下ろした新作をはじめ、80年代から現代までのファッション業界をけん引してきたデザイナーたちのクリエイションだ。

今回展示されているディオールの作品の服は、すべてオートクチュール。パリのディオールチームと撮影を行った高木は、自身が撮影に臨む際にテーマにしていた「動き」と「花」という言葉が、偶然にもクリスチャン・ディオールが遺した以下の二つの言葉と共鳴したという。

「美しいドレスを完成させるには、そのドレスが実際にどう動くのかを想像し、デザインに取り入れる必要があります」

「I drew Flower Women」

印画紙、和紙、コットン紙、漆喰など異なる素材にプリントされた作品など様々な写真表現を楽しむことができる。

モノクロ写真が主流の高木は、自身があまり好まないカラー写真の依頼を受け、暗室の中でモノクロ写真に直接指で着色した。

フラワー刺繍をあしらったディオールのデニムのセットアップを纏う三吉彩花。

本展を制作した建築家の田根剛と高木由利子。

「ファッションも写真も、夢を与えてくれると信じている」。そう語る高木は、二つの世界に魅了され、40年に渡り行き来し、服と人間の関係性に深い興味を覚えながら撮影をしてきた。ノマドの装いとデザイナーが手がけるクラフトマンシップが織りなす服は、一見すると異なるが、高木はどちらの世界にも共通の愛を感じている。服とは、写真とは、幸せとは何か? この答えを探しに、「KYOTOGRAPHIE 2023」へ足を運び、高木の作品に触れて、日常に潜む根源的な問いと対峙してみてはいかがだろう。



高木由利子展「PARALLEL WORLD」
会場/京都・二条城 二の丸御殿台所・御清所(京都市中京区二条通堀川西入二条城町541)
入場料/9:30-17:00(二条城への入場は16:00まで)
休館日/無休
入場料/大人 ¥800 学生 ¥600 (学生証の提示が必要です)
※別途、二条城への入城料(¥800)が必要です。
https://www.kyotographie.jp/programs/2023/yuriko-takagi/

Photos: Courtesy of Dior, ©Wataru Fukaya Editor: Mayumi Numao