「自分自身の歌とパフォーマンスに強い確信を持つことを大事にしています」
世界最大級のK-POP授賞式として知られる「M A M A AWARDS」のホストを2年連続で務めたのが、アイドルグループI.O.Iの元メンバーであり、現在はソロアーティストとして輝きを増しているチョン・ソミだ。「音楽だけでなく、ハードな練習生時代を経てデビューをするというK-POPのシステムも含めて応援してもらっているところに感激します。このブームは簡単には終わらないでしょう。なぜなら私がいますから(笑)。私の強みは素であること。常に自分と自分の音楽をそのまま見せることを心がけています。そして、自分自身の歌とパフォーマンスに対して強い確信を持つことを大事にしています」
約2年ぶりのEP『GAME PLAN』の先鋭的なトラックからはチョン・ソミの自信と挑戦性があふれる。「一つのアルバムに収録されているとは思えないほど、豊かなジャンルの曲が入っています。特定のサウンドを目指さずに、その瞬間の感覚や欲求に素直に従いました」
素直で飾り気のないポジティブなエネルギーを放つファッションアイコンとしてZ世代に支持され、MVを含めたアートワークの隅々にもチョン・ソミのクリエイティブが宿っている。「自分の感情をもっとも表現できる方法がファッションです。自分に関わるすべてのプロジェクトに参加していて、MVの打ち合わせにも最初から参加します。そうすることで私が本気であることをスタッフが実感し、本気でサポートしてくれる。だからこそ、ファッション、ヘアメイク、照明、色味、プロップ……。さまざまな要素がかけ合わさって素晴らしい作品に仕上がります」
1. 最近観た映画の中で心に響いた作品は?
映画はよく観るほうではありませんが、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』は20回以上観ました。カラフルなセットやカメラの画角など、ヴィジュアル的に多大なインスピレーションをくれる映画なので、アートフィルムとも言えると思います。ウェス・アンダーソン監督の大ファンです。
2. 約2年ぶりのEPアルバム『GAME PLAN』には、アーティストとしての成長も見られましたが、コラボレートしてみたいアーティストは?
夢は大きく持ちたいので、マドンナとシンディ・ローパー! 父がシンディ・ローパーのファンなので、私も子どもの頃から楽曲を聴いていたため、自然とファンになりました。マドンナは生きる文化財だと思っています。長く愛され、今でも活発に活動している姿を見ると、自分も長く幅広く愛され続けるアーティストになりたいなと思います。多くの人たちにとってのインスピレーション源になるのが私の夢の一つなので、自分が最も根源的なインスピレーションを受けているアーティストとコラボレートができたらすごく光栄です。
3. 価値観に影響を与えた本はありますか?
パウロ・コエーリョの『アルケミスト 夢を旅した少年』を読んで、人生や自分の現在地、自我と夢について考えました。登場人物たちと一緒に旅に出ているような感覚を覚えたんです。主人公が旅の最中に試練と恐怖に立ち向かう姿は、「下手くそでもいいし、怖くても大丈夫」と話しかけてくれるような気がして癒されました。今の自分とこれからの自分を見守ってくれるような本なので、若い読者の方にもおすすめです。
4. 音楽をやりたいと思うきっかけになった楽曲を教えてください。
2NE1の「Fire」には衝撃を受けました。初めてK-POPにおける夢と目標を抱かせてくれた楽曲です。長い間BIGBANGと2NE1のファンなのですが、彼らをプロデュースしたTEDDYさんと一緒にお仕事をできたことが本当にうれしいです。また、リアーナの「シャット・アップ・アンド・ドライヴ」は私が人生で初めて観たMVなので、とても鮮明な記憶として残っています。
5. 自分らしいファッションスタイルとは?
海外に行く度にヴィンテージショッピングを楽しんでいます。最近行ったショップでは表参道のAmore Vintageがお気に入り。特別なブランドを探すというよりも、新品では買えないようなアイテムたちを探ります。色落ちしたユニークなグラフィックTシャツや年数を経たライダースジャケットに、特別な素材とデザインのバッグやアクセサリー……。それらを自分流にコーデすることで、より私らしさを表現できる気がします。
Text: Kaori Komatsu Editor: Rieko Shibazaki