フランスのパリで2018年にスタートし、世界中を巡回しているジャンポール・ゴルチエによるランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』が、ついに日本にも上陸。ゴルチエ本人が色鮮やかでドラマティックな自身の半生を演出し、衣装も手がける唯一無二のショーだ。日本公演のスペシャルゲストとして参加する城田優は、舞台をこう表現する。「構成が本当に斬新で、見どころだらけ。便宜上ファッションミュージカルというくくりになっていますが、実はどのジャンルにも当てはまらない、前代未聞のショーだと思います。僕自身、こんなに個性的なショーがあるんだな、と感動しましたから」
城田が舞台を好きになった原体験は、17歳のときに自身が携わった『美少女戦士セーラームーン・ミュージカル』だという。「男の子でしたし、当時は『セーラームーン』と聞いて『本当に自分がそれに出るのかな?』と複雑な気持ちもいだきつつオーディションを受けたところがあったんですけど、資料ビデオを観て感動のあまり泣いてしまったんです。子どもから大人まで感情移入ができる物語に心が動かされたのと、歌が持つ力というのを初めてそこで知ったんですよね。同時に、自分自身の居場所みたいなものを見つけた作品でもありました」
今作には果たして、どのような役で出演するのか。「現時点ではまだ自分の役も衣装も知らないのでワクワクしています。海外の方たちと一緒にお仕事ができるのも楽しみで。非常に刺激的な時間になると思うので、インスピレーションを求めている人にこそ観ていただきたいです」
1. ジャンポール・ゴルチエがデザイナーを志したきっかけは、13歳のときに観た『偽れる装い』(1945)だったそうですが、城田さんが役者を志すきっかけとなった映画はありますか?
役者になるきっかけとなった映画はないんです。ただ、子どもの頃に観て大好きで、結果的に今でも自分の中で大切な一本になっているのが『天使にラブ・ソングを…』(1992)です。7歳のときに「金曜ロードショー」で放映されたのを観て、曲の部分だけをラジカセで録音し、あとから何度も聴くほどハマりました。最後に歌う「I WillFollow Him」は特に好きで何十回も聴きました。
2. 何度観ても色褪せることのない、最高だと思うミュージカルは?
僕自身も2度出演したフランス発のフレンチ・ポップ・ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』です。この作品の音楽がとにかく大好きで。誰もが知っているシェイクスピアの不朽のラブストーリーですが、楽曲がズバ抜けて素敵なんです。特に、シンプルで単調な曲ながら、気持ちの高まりに合わせて転調をして、幅を持たせていき、最終的に大合唱のようになる「エメ」という、愛を歌った曲は圧巻です。
3. 気分転換によく聴く音楽は?
ここ数年はラテンの音楽、特にレゲトンをよく聴いています。ジャスティン・ビーバーとコラボをしたことで世界的にも有名になった、ルイス・フォンシとダディー・ヤンキーの「デスパシート」もそうですが、レゲトン特有のビートはテンションをアゲてくれるのでいいんですよね。しんみりとしたバラードも好きなんですけど、音と感情はリンクしがちなので、せっかくだったら気分もアゲていきたいなと思うから。
4. 目にして心に焼きついたアートは?
昨年那須高原に行った際に訪れた、藤城清治美術館で観た作品の数々にすっかり魅了されました。光と影の使い方が美しい影絵が特に素晴らしくて、これまでこんなに素敵な日本のアーティストを知らなかったなんて悔しいと思うくらいの衝撃を受けました。また、ガーナの廃棄処理場に捨てられたゴミをアートに昇華し、作品の売り上げをガーナとそこに暮らす人たちの問題解決のために使っている長坂真護さん。活動自体も素晴らしいですが、シンプルに彼の作品にも心を動かされます。
5. どっぷりとハマったドラマは?
ドイツの「ダーク」というサスペンスミステリーは、世界観やキャラクターのつくり方が興味深く、映像もすごく綺麗なのでおすすめです。ただ、かなり複雑なので、ついていくのがなかなか難しい作品でもあるんですけど。ちなみに今ハマって観ているのは、ストーカーが主人公の「YOU─君がすべて─」で、シーズン2の途中です。
Text: Rieko Shibazaki
