1. 過去最大規模の《睡蓮》でモネの世界に没入
10月5日(土)から国立西洋美術館で開催される「モネ 睡蓮のとき」のため、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開作品を含む厳選されたおよそ50点が来日。これに日本国内に所蔵される作品も加え、クロード・モネ(1840〜1926)晩年の芸術の極致を紹介する。
印象派を代表する画家のひとりであるモネは、一瞬の光をとらえる鋭敏な眼によって自然の移ろいを画布にとどめた。しかし後年になるにつれ、その芸術はより抽象的かつ内的なイメージへと変容していく。
モネは晩年、最愛の家族の死や自身の眼の病、第一次世界大戦など多くの困難に直面した。 そんななかで彼が心の拠り所としたのが、ジヴェルニーの自邸の庭に造られた睡蓮の池の水面に、周囲の木々や空、光が一体となって映し出される様子だった。光が織りなす幻想的な風景が彼の創作意欲を掻き立てたのだ。
同展では、モネが晩年心血を注いで描いた《睡蓮》の作品を20点以上展示。 なかには、2メートルを超える大画面の作品もあり、まるでモネの世界に迷い込んだかのような没入体験となる。
国立西洋美術館
モネ 睡蓮のとき
会期/10月5日(土)〜2025年2月11日(火・祝)
会場/国立西洋美術館 東京都台東区上野公園7-7
開催時間/9:30~17:30(金土は21:00まで)、入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜日、10月15日(火)、11月5日(火)、 12月28日(土)~2025年1月1日(水・祝)、1月14日(火)
・10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)、2025年1月13日(月・祝)、 2月10日(月)、2月11日(火・祝)は開館
料金(当日券)/一般 2,300円、大学生 1,400円、高校生 1,000円 、中学生以下 無料
・10月4日(金)まで前売券を販売
問い合わせ先/050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.ntv.co.jp/monet2024/
2. 「地上の生の光景」を問う内藤礼の展示を異なる光の2会場で
9月7日(土)〜2025年1月13日(月・祝)にわたり銀座メゾンエルメス フォーラムでは、「地上の生の光景」を一貫した問いとし、空気や水、重力といった自然現象を通じて作家活動を続ける芸術家・内藤礼の展覧会「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」を開催する。
同展は、9月23日(月・休)まで東京国立博物館で開催中の同名展覧会と連携しており、会期を一部重ね合わせながらひとつの大きな円環を描くかたちで展開。両会場で展覧会を開催している期間中の週末は、2つの会場をつなぐ無料のシャトルバスも運行されるとのこと。
東京国立博物館とは対照的に、ガラスブロックを通した自然光と都市の人工的な光にあふれた近代的な空間である銀座メゾンエルメス フォーラム。そこに内藤は、光のうつろいによって一層儚くまた色濃く感じられる生への眼差しをかりそめに宿らせながら、「生の没入」を見出すことを試みる。
銀座メゾンエルメス
内藤礼 生まれておいで 生きておいで Rei Naito: come and live - go and live
会期/9月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)
会場/銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階 東京都中央区銀座5-4-1
Tel./03-3569-3300
開館時間/12:00〜19:00
・入場は18:30まで
休館日/水曜日
料金/無料
https://www.hermes.com/jp/ja/content/maison-ginza/forum/240907/
東京国立博物館
内藤礼 生まれておいで 生きておいで
会期/~9月23日(月・休)
会場/東京国立博物館 平成館企画展示室、本館特別 5室、本館 1階ラウンジ 東京都台東区上野公園13-9
開館時間/9:30〜17:00
・入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜日(9月16日、9月23日は開館)、9月17日(火)
料金/一般 1500円、大学生 1000円
・事前予約制
https://www.tnm.jp/
3. 日本の美術史を概観できる大規模展
東京都現代美術館で、11月10日(日)まで開催中の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」。世界最大級として知られ、質・量ともに日本現代美術で最も重要といえる3500点以上のコレクションから、厳選された作品を展示する展覧会だ。
出品作家は草間彌生、村上隆、奈良美智、会田誠など、日本を代表する現代アーティストをはじめ115組に及ぶ。東京都現代美術館がこれまで体現してきた美術史の流れにひとつの“私観”を導入しつつ、1990年代〜2000年代を中心に戦後から現在に至るまでの日本美術史を概観できる。
展示は6つのセクションに分かれており、戦後50年間の文化状況を振り返る「胎内記憶」、1990年代半ばからの日本の自画像ともいえる作品群を紹介する「戦後の終わりとはじまり」、人間を描いた作品に焦点を当てる「新しい人類たち」、東日本大震災後の表現を取り上げる「崩壊と再生」、“私”の存在を問い直す作品を集めた「『私』の再定義」、そして若手アーティストの最新動向を紹介する「路上に還る」で構成。
会期中にはアーティストトークなどの関連プログラムも予定されている。
東京都現代美術館
日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション
会期/~11月10日(日)
会場/東京都現代美術館 企画展示室 1F、B2F、ホワイエ
開館時間/10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)、8月中の金曜日は21:00まで
休館日/月曜日(9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日(火)、24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
料金/一般2,100円、大学生・専門学校生・65歳以上1,350円、中高生840円、小学生以下無料
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TRC/
4. 魁夷の作品のほか、夏をテーマにした名品も
山種美術館では、9月23日(月・祝)まで特別展「没後25年記念 東山魁夷と日本の夏」を開催中だ。四季を通じた自然との対話を重ね、海山の自然から古都の町並みにいたるまで詩情豊かにさまざまな風景を描いた東山魁夷(1908〜1999)の作品は、没後四半世紀を経た今も人々から愛されている。
今回、山種美術館では所蔵する魁夷の作品を全点公開し、季節感にあふれた風景画を紹介する。山種美術館の魁夷コレクション全点を一挙公開するのは10年ぶり。普遍的な日本の海のイメージと伝統的な日本絵画の装飾性が融合した幅9メートル超の大作《満ち来る潮》と下絵、京都の四季を描いた《京洛四季》の連作4点などが並ぶ。
また、葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》、歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》をはじめとする浮世絵から、横山大観、奥村土牛などの名作まで、近代・現代日本画にいたる夏をテーマにした幅広い作品を通じて日本の夏ならではの風情を堪能したい。なお、本記事内掲載の作品はすべて山種美術館の所蔵作品となる。
山種美術館
【特別展】没後25年記念 東山魁夷と日本の夏
会期/~9月23日(月・祝)
会場/山種美術館 東京都渋谷区広尾3-12-36
開館時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
・今後の状況により会期・開館時間等は変更する場合あり
休館日/月(9月16日、23日)は開館、9月17日(火)
料金/一般1,400円、夏の学割 大学生・高校生500円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
問い合わせ先/050-5541-8600(ハローダイヤル 9:00~20:00)
https://www.yamatane-museum.jp/
5. Ryu Itadaniの色彩豊かな世界を2会場で紹介
ベルリンを拠点に活躍するRyu Itadaniの展覧会「Everyday Life“HERE & THERE ”」が、ポーラ ミュージアム アネックス(銀座)と、アルフレックス東京(恵比寿)の2会場で開催される。
ポーラ ミュージアム アネックスでは9月23日(月・祝)まで、「THERE」をテーマに遠くの景色や俯瞰した視点を中心にした作品約30点を展示中だ。アルフレックス東京では、9月5日(木)〜24日(火)の期間、「HERE」と題した植物や日用品を描いたプリント作品を中心に紹介する。
9月15日(日)までは、Ryu Itadaniによる公開制作も実施。フリーハンドでのびやかに描かれるラインと彩色、その日その瞬間にいきいきと生まれゆく作品が鑑賞できる。
街の風景や植物、愛用する日用品など何気ない日常の一場面を、独特の輪郭線と色彩であでやかに切りとっているのが特徴だ。みずみずしさや明るい陽光に満たされたItadaniが描く世界は、私たちに見慣れた風景やモノに対する新鮮なまなざしと、心躍るような感覚をもたらしてくれる。
2つの視点で描かれたRyu Itadaniの世界をぜひ体感しよう。
ポーラ ミュージアム アネックス
Ryu Itadani「Everyday Life “THERE“」
会期/~9月23日(月・祝)、会期中無休
会場/ポーラ ミュージアム アネックス 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3F
開館時間/11:00~19:00 (入場は18:30まで)、8月29日(木)のみ18:00に閉館
料金/無料
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
アルフレックス東京
Ryu Itadani「Everyday Life “HERE “」
会期/9月5日(木)~24日(火)
会場/アルフレックス東京 東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエア1F
開館時間/11:00 - 18:00
休館日/水
料金/無料
https://www.arflex.co.jp/shop/tokyo.html
6. 石岡瑛子の時代を超越したデザインの力に心酔する
9月28日(土)〜12月1日(日)の間、兵庫県立美術館が「石岡瑛子I(アイ)デザイン」展を開催。世界的に活躍したデザイナー・石岡瑛子の1960~80年代の仕事を軸に、ポスターやCM、アートワークなど400点以上の作品を展示する。
本展では、広告や舞台、映画など多岐にわたる表現のジャンルで、国境を超え世界的に活躍したデザイナー石岡瑛子(1938~2012)のクリエイションの核となる「I=私」に迫り、時代を超越したデザインの生命力を体感できる。没後10年を経てなお国内外から注目を集める石岡が東京を拠点にしていた時期の仕事を中心に、ポスターやCM、アートワークからスケッチまで400点以上の作品が一挙公開される。
会場では約50点の代表作に石岡自身の言葉を添えて展示。また、石岡直筆のスケッチや校正紙からみる彼女の妥協のない制作プロセス、初公開となる教科書のデザイン、雑誌の企画・編集に携わった作品、ブックデザインも多数展示する予定だ。さらに石岡のインタビュー音声を流し、まるで本人がそこにいるかのような臨場感も演出する。兵庫会場限定の映像資料も準備中だ。
関連イベントとしては、オープニングトークや学芸員による解説会、石岡が衣装デザインを担当した映画『白雪姫と鏡の女王』の上映会などが予定されている。
「ほんとうの自分力」を大切にし、常に新しい表現に挑戦し続けた石岡の言葉と作品を通して、時代を超えて生き続けるデザインを目の当たりにしよう。
兵庫県立美術館
石岡瑛子 I デザイン
会期/9月28日(土)〜12月1日(日)
会場/兵庫県立美術館 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1(HAT神戸内)
開催時間/10:00~18:00
・入場は閉館の30分前まで
休館日/月曜日(ただし10月14日(月祝)、11月4日(月休)は開館、10月15日(火)、11月5日(火)
観覧料/一般 1,600円、大学生 1,000円、高校生以下 無料、70歳以上 800円
・9月27日(金)まで前売券を販売
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
7. 伊藤若冲の“激レア”巻物を世界初公開
10月12日(土)〜2025年1月19日(日)まで、開館5周年記念企画展として福田美術館が、「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」を開催する。
福田美術館が所蔵する若冲作品約30点を一挙公開する同展の目玉は、世界初公開となる伊藤若冲の《果蔬図巻》(かそずかん)。長年ヨーロッパ在住の個人が所蔵していたが、昨年日本へ里帰りし、福田コレクションの仲間入りを果たした。同作は全長約3メートルに及ぶ絹地に色鮮やかな野菜や果物を描いた作品で、若冲が70代の頃に制作されたといわれている。若冲の70代の作品は珍しく、若冲研究における重要な作品となりそうだ。また本作には、若冲と親交の深かった相国寺の僧侶・大典顕常による跋文が添えられており、史料としても非常に貴重なものとなる。
そのほか、若冲の初期の作品とされる《蕪に双鶏図》や、大典顕常と伏見から大阪へ下った際の思い出を元に制作された版画《乗興舟》なども紹介。若冲が影響を受けた白隠禅師や中国清の画家・沈南蘋(しんなんぴん)やその弟子の熊斐(ゆうひ)同時期に京・大阪で活躍した画家の作品も併せて展示することで、多くの謎に包まれた若冲の人生に迫る。
福田美術館
開館5周年記念 「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」
会期/10月12日(土)~2025年1月19日(日)
・12月3日(火)、《鶏図押絵貼屏風》の右隻、左隻を入れ替える
会場/福田美術館 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
開館時間/10:00~17:00(最終入館 16:30)
・12月3日(火)、12月30日(月)~1月1日(水)
観覧料/一般 1,500円、高校生 900円、小・中学生 500円、幼児無料
https://fukuda-art-museum.jp/
Text: Aya Hasegawa
