ピンクをイメージカラーにもつ、華やかなフローラル
フレグランスのほとんどに用いられる、フローラルノート。「ジャスミンやローズ、イランイラン、チェベローズなどの濃厚な香りも、スズランやフリージアなどの軽やかな香りも有するのがフローラルファセット(※)。質や産地を限定した貴重な天然香料は数々の名香水に用いられてきました 」と解説するのは、香りの専門家でありフレグランススクール「サンキエムソンス ジャポン」の代表を務める小泉祐貴子さん。天然香料は高価になるため、合成香料や再現香料を用いられるのもフローラルの特徴であるという。「やわらかで華やかな、花にある印象をそのままに感じ取れるかのように花そのものを香りに投影。「美しく咲き誇る花の命の輝きを身に纏っているかのような気持ち」と小泉さんが表現する、その匂い立つような美しさを享受して。
フローラルのもつ香りの表現力
最もメジャーなのは、コスメティックかつラグジュアリーな雰囲気のある香りで、多くの人が一度は経験したことがあるであろうフローラル パウダリー。そして、「石鹸のような清潔感のある香り」と小泉さんの言うフローラル アルデハイディックも見逃せない。ローズやジャスミン、オレンジフラワー、ミュゲなどのフローラルノートに、アルデヒドをかけ合わせ、現代的な軽やかさと華やかさを生み出した香りは、時代を超えて多くの人に支持されている。
※ファセット…香りのタイプのことで全18種ある。同じ分類に属する香料同士をブレンドしてつくられる。
話を聞いたのは……
小泉祐貴子
香りデザイナー。サンキエムソンス ジャポン代表。慶應義塾大学理工学部卒業後、資生堂、香料会社フィルメニッヒを経て、2014年にセントスケープ・デザインスタジオを設立。コンサルティング、香り環境デザイン、香水のプロデュースなどを幅広く手掛ける。近著に『英国王立園芸協会 香り植物図鑑』(Stephen Lacey著 小泉祐貴子訳/柊風舎 刊)。
https://www.cinquiemesens.jp
Text: Akira Watanabe Editor: Rieko Kosai
