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祝43歳。ジゼル・ブンチェン、自然体の美しさを更新するレジェンドモデルのビューティー史

7月20日に43歳の誕生日を迎えたジゼル・ブンチェン。昨年10月に約13年間連れ添ったトム・ブレイディとの離婚を発表し世間を驚かせた彼女だが、現在では新しいライフステージを神々しいまでの美しさで歩み出している。そんなジゼルが辿ってきたビューティー変遷を紐解こう。

13歳、ブラジルに綺羅星のごとく出現した原石

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ドイツ系ブラジル人の両親のもとブラジル南部の田舎町で育ったジゼル・ブンチェン。13歳から母親のすすめで地元のモデル学校に通い始め、14歳のときに修学旅行先のリオ・デ・ジャネイロでモデルエージェンシーからスカウトされる。当時はまだあどけなさの残る美少女といった印象だが、ヘルシーな中にエレガントさを秘めた魅力はこの頃から変わらない。くったくのない笑顔にブラジルの太陽のような明るさが宿っている。

15歳、初々しさとエフォートレスさを湛えたモデルデビュー

Photo:Rose Hartman/WireImage/Getty Images

トップモデルの登竜門である大手モデルエージェンシー、エリートが主催する「Elite Look of the Year」の国内大会で2位を獲得。スペイン・イビサでの世界大会では4位に入賞し、NYで華々しくキャリアがスタートした。デビュー間もなくしてマーク ジェイコブス(MARC JACOBS)のショーに登場した際には、凛とした表情と堂々としたキャットウォークで視線を奪った。均整の取れたプロポーションはまさに天性の黄金バランス。ここから成長するに従って、グラマラスな魅力を備えていく。

18歳、トップメゾンのランウェイで個性を放つカーヴィーボディ

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スキニーモデルが台頭した90年代後半に、ジゼルの女性らしい丸みのある体型はひときわ新鮮に映え、ファッション界の新しい潮流となった。続々とハイブランドのランウェイに抜擢され、彼女自身もキャットウォークを重ねるほどに磨かれていった。ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の1999年春夏コレクションのショーでは、鮮やかなジオメトリック柄のドレスに身を包み、強い眼差しを明るいパープルで彩って。当時流行っていた細めのアーチ眉やパール感の強いハイライトもジゼルが纏えば、なんだかヘルシー。

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ヴァレンティノ(VALENTINO)のショーでは、ナオミ・キャンベルやエバ・ハーツィゴヴァ、ナジャ・アウアマンといったそうそうたるスーパーモデルと肩を並べながらも、ジゼルらしいゴージャスな個性を発揮。くっきりとエレガントに描いた眉、しっかりと濃淡をつけたブラウンのアイメイク、ブラウンレッドのリップは彼女の顔立ちに上品に映え、ヴァレンティノ・ガラヴァーニが手がける優雅な世界観に見事に調和していた。

20歳、新時代の幕開けを告げるエンジェルの降臨

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US版『VOGUE』がジゼルを“モデル・オブ・ザ・ミレニアム”と評し、「セクシーモデルの再来」と賛辞を送った20歳の頃。イットモデルとしてランウェイからファッション誌、広告まで引っ張りだことなり、ブラジル出身モデルとして初めて国際的成功を収めた存在となった。特にその地位を決定づけたのが、ヴィクトリアズ・シークレットでの活躍。“エンジェル”として破格の2,500万ドルで契約が結ばれ、名声と経済的な安定を手に入れる。2000年のショーではゴールドのランジェリーと羽を身につけ、眩いばかりの美しさで周囲を圧倒。彼女のアイコンとも言える小慣れ感たっぷりのビーチウェーブも、自然体なセクシーとして新しい美の基準となった。シグネチャーとも言えるヌーディピンクのリップメイクが確立されたのもこの頃。

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撮影やショーに飛び回り多忙を極めたこの頃より、ヨガ瞑想を取り入れるようになったジゼル。2021年に自身のインスタグラムで「何年も前、人生で最も困難な時期を経験した時、ヨガと瞑想の助けを借りた。その時期からより強く、より幸せになったのは事実」と明かした通り、浮き沈みの激しい業界でいかに自分を保つかは、“心を整えること”にかかっていると気づいたようだ。このヨガと瞑想の習慣が、今もなお彼女の美の根源となっている。

25歳、センセーショナルな恋愛でオーラは頂点に

Photo:Vince Bucci/Getty Images

トップモデルとしてファッション界で地位を築いた彼女だが、その知名度をさらに一躍高めるきっかけとなったのがレオナルド・ディカプリオとの交際。今をときめくハリウッドスターと新鋭モデルの恋愛は連日ゴシップ誌を賑わせ、第77回アカデミー賞授賞式に揃って登場した際には世界中からため息が漏れた。日焼け肌にディオール(DIOR)のエンパイアドレスを身にまとったジゼルの姿は、格式高いレッドカーペットに舞い降りた軽やかな天使のよう。素肌感のあるベースメイクと艶やかなコーラル色のリップも、彼女のエフォートレスな魅力を象徴していた。

27歳、2007年フォーブス誌のモデル長者番付の1位に

Photo:Toni Anne Barson Archive/WireImage/Getty Images

このまま結婚すると世間から予想されていたレオとの交際は5年で終止符が打たれ、ジゼルは一層キャリアに邁進するようになる。モデル業のほか、女優として映画プラダを着た悪魔』に出演し、シューズブランド「イパネマ」のプロデュースも手がけるなど、そのマルチな仕事ぶりで米経済誌『フォーブス』のモデル長者番付でも8年連続第1位を獲得。当時の脂の乗り切った姿は、2008年のクリスチャン・ディオール60周年アニバーサリーショーでも明らか。ウエストを絞ったニュールックに、1930年代風の極細眉とウィングアイライン、ホクロのメイクを施し、堂々たるポージングで、ベテランモデルの貫禄を見せた。

29歳、運命の人との結婚で、メイクからも幸せが溢れて

Photo:Fairchild Archive/Penske Media via Getty Images

2009年にNFLのスーパースターであるトム・ブレイディと結婚。同年のメットガラには夫婦で出席し、そのパーフェクトカップルぶりが話題を呼んだ。互いのひと目惚れから結婚へと発展したという有名なエピソードがある通り、ジゼルの表情もハッピーオーラ満点! ドレスにシンクロするブルーとシルバーのラメがきらびやかなアイメイクが眼差しを輝かせ、これまでの勝負メイクとは異なるゴージャスさを引き出していた。

34歳、母性によって新たな魅力が目覚める

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トムとの間に、2010年に長男ベンジャミン、2012年に長女ビビアンが誕生。トムと前の交際相手であるブリジット・モイナハンとの間に生まれた息子ジョンも引き取り、ジゼルはモデル業の傍ら、3人の子育てを担うことになる。2020年にインスタグラムで「子どもたちとの時間に全力を注いで、彼らの話をしっかり聞くようにしてる。私が思うに、大切なのはどれだけの時間を一緒に過ごすかじゃなくて、どれだけ密度の濃い時間を過ごすかだと思う」と投稿していた。そんな子煩悩な母としての生活で得られた満足感や幸せが、彼女のナチュラルな魅力をさらに引き出したのかもしれない。

40歳、自然への愛が呼び覚ます、内側から溢れる美

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2015年にランウェイモデルを卒業してからは、子育ての合間に環境保護活動に尽力していたジゼル。自身の40歳の誕生日にはディオールの「カプチュール トータル」の新ミューズ就任を発表する。このスキンケアラインは、サステナブルな哲学に基づき、植物の恵みを生かして作られたもので、そのミューズになることは、“地球も人も健やかであるべき”という彼女のエコな理念と共通することだった。2019年のメットガラではサステナブルな染色方法を採用したディオールのドレスに、ツヤっぽいピンクのワントーンメイクを合わせて登場。それはまさに、美しさで環境に貢献する姿勢を体現していた。

42歳、人生の新たな章へ、魅力を羽ばたかせて

Photo: Kevin Mazur/MG23/Getty Images for The Met Museum/Vogue

昨年、世界中を驚かせたのが、トム・ブレイディとの離婚のニュース。長年おしどりカップルと言われていたふたりだっただけにその衝撃は大きかったが、半年以上たった現在のジゼルを見るとシングルライフを満喫しているよう。久しぶりの公の場に登場したメットガラ2023では、フェザーのガウンと眩いばかりの白のドレスに、ビーチウェーブとカラーレスなメイクを合わせ、ジゼルらしい抜け感のあるルックを披露。これまでとはどことなく違うのは、表情に緊張感がなく、解き放たれたような自由さが感じられるところ。まるで新たなステージへと進んだ自分を楽しんでいるかのようなポジティブオーラが漂い、彼女をさらなる美の高みへと進化させている。

Editor: Rie Maesaka