ドラマ「glee/グリー」でブレイン・アンダーソンを演じてブレイクを果たしたダレン・クリス。彼自身はストレートで、性自認においても生まれ持った性別と一致するシスジェンダーだが、「これまでの人生ずっと文化的にクィアだった」と話し、ゲイのキャラクターであるブレイン役を引き受けることに迷いも気の咎めもなかったとシカゴ・コミック&エンタテインメント・エクスポで明かした。
「僕が人生で真似たい、学びたいと思い、インスピレーションを受けてきたのは100%クィアのコミュニティです。崇拝する人を見つけたのもクィアのコミュニティだし、学びたいと思った事柄もそう。かなり一般化されていますが、クィアのコミュニティにはさまざまな人がいて、多様な文化があります。僕は90年代のサンフランシスコで、男性たちが死んでいくのを目にして育ちました。ゲイの人たちの経験は他人事ではありませんでした。だから彼らの物語は僕にとって大切なんです」
オハイオ州にある架空の学校、ウィリアム・マッキンリー高校グリー部を舞台にした人気青春ドラマ「glee/グリー」でダレン演じるブレインは、ゲイであることを堂々とオープンにしている高校生。シーズン2に初めて登場し、クリス・コルファー演じるカートとのロマンスが人気を博した。「さまざまな意味で、ブレインを演じることができてありがたいと思っています。僕がまさに見てほしかったことだからです。僕にとって大切なことだし、他の人にとっても意味があった。あの番組やブレインとカートとのロマンスに影響を受けたと言われることがありますが、僕の力じゃない。ドラマで描かれたロマンスと、それをテレビで放映するリスクを取った人たちのおかげです。視聴者がおそらくそれまで接してこなかった文化を、受け入れてくれることに賭けたのです」
「あらゆる年代、あらゆる政治的立場の人が、『昔はこんな番組がなかったけれど、観ていたら違ったと思う』と言ってくれました。僕自身はストレートでしたが、価値がありました。それが性的であれ、信仰的なものであれ、生物学的なものであれ、どんな形であっても、マイノリティとしてずっと社会の隅に置かれていた人にとって、『これまでは理解できなかったけれど、文脈が分かったよ』と言われることは、非常に価値があることです」
本作の後も、舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のヘドウィグや、「アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺」のアンドリュー・クナナンなど、クィア役が続いたことで、2018年にはこれ以上ゲイ役を演じないと発言したダレンだが、ブレインのような役柄を演じる機会を得たことについて後悔は一切ないという。「最高の特権でした。役柄について話すのもうれしいし、あの役を演じることができて非常に感謝しています」
Text: Tae Terai
