ヘレン・ミレンが、『007』シリーズで描かれる女性像を「根深い性差別から生まれたものだ」と批判した。エリザベス女王を演じた『クイーン』(2006)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した彼女は、「ジェームズ・ボンド作品そのものが好みじゃない。ジェームズ・ボンドを良いと思ったことは一度もありません。ボンド映画で描かれる女性像が好きになれません」と「ロンドン・スタンダード」紙のインタビューで明言する。
イアン・フレミングの小説を原作に、英諜報機関MI6に所属するスパイ、ジェームズ・ボンドの活躍を描く本シリーズは、イギリスを代表するスパイ映画として長く人々に愛されてきた。今年2月にAmazonMGMスタジオがクリエイティブ権を取得したことを受け、今後の方向性が注目を集めている。女性版ボンドの誕生も取り沙汰されるが、ヘレンはこれにも反対する。むしろ実在の女性スパイを取り上げた作品を作るべきだと考えているようだ。
「ジェームズ・ボンドのコンセプトそのものが、根深い男性上位主義の上から生まれ、どっぷり浸っている。諜報活動において、女性は主要で重要な役割を果たしてきました。フランスのレジスタンス運動の話を聞くと、女性たちは信じられないほど勇敢で素晴らしい活躍を見せた。ですから、世界で活躍した類まれな女性たちの真実の物語を伝えたい」
Text: Tae Terai