マーティン・スコセッシ監督が、最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の脚本を大幅に書き直した経緯について語った。1920年代にオーセージ族保留地で起きた連続殺人事件を捜査した、FBIの記録を綴るデイヴィッド・グランのノンフィクション『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』を翻意した本作だが、スコセッシ監督と共同脚本を務めるエリック・ロスは当初、レオナルド・ディカプリオをFBI捜査官トム・ホワイト役に起用し、彼の視線で脚本を仕上げたそうだ。
しかし、根本から書き換えることになったとスコセッシ監督が『タイム』誌のインタビューでコメント。「ある時、白人男性ばかりの映画を作っていると気づいたんだ。つまり、外側からアプローチしているということになるから、それが気にかかった」
スコセッシとロスは脚本を全面的に書き直し、視点を変えた。主役のディカプリオはFBI捜査官から、叔父の戦略に乗りオセージ族の石油利権を奪おうとするアーネスト・バークハートに変更。新しい脚本では、殺人事件とFBIの捜査で、複雑になっていくアーネストとオーセージ族の女性モリーとの結婚生活に焦点が当てられた。トム・ホワイト役には、新たにジェシー・プレモンスを抜擢した。
モーリーを演じるリリー・グラッドストーンは、この変更について『インタビューマガジン』でコロナ禍でオーディションが中断されていた間に脚本が大幅に変更されたと告白。「脚本が180度変更され、これでキャラクターを十分に表現できる、素晴らしいと思いました」と語っていた。また『ヴァルチャー』のインタビューでは、脚本が書き直されたことで、「白人救世主の物語ではなく、オセージ族が『何かしてくれ。ここには金がある。助けてくれ』と叫ぶストーリーになった」と話している。
Apple Original Films『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は10月20日より世界同時劇場公開、その後Apple TV+にて世界同時配信する。
Text: Tae Terai
