ロサンゼルスを拠点とするミムチク(MIMCHIK)は、2022年10月に設立されたばかりだが、その間にファンを着実に増やしてきた。しかし、幼なじみでブランドの創設者ミア・カゾフスキーとエマ・マルシアーノは、エミリー・ラタコウスキー、アディソン・レイ、SZAといったイット・ガールたちが自分たちがデザインした服を着用しているのを見ると、未だ夢を見ているような気分になるという。「ネットにアップされる写真を見て、ただただ驚いています。みんなと同じように(一フォロワーとして投稿を)見つけていますから」とマルシアーノは言う。
ミムチクでは、オーバーサイズのダメージレザーのボマージャケットや、デニムのバイカージャケットとミニスカートのセットアップ、レーストリムをあしらったスリップドレスなど、幅広いムードを押さえたクラシックなアイテムが揃う。ユニークなスタイルを持つセレブたちが、流行にとらわれないこのレーベルに惹かれるのも当然だろう。「(私たちのコレクションは)トレンドを意識したものではないし、(派手なデザインで)みんなの注目を集めようともしていない」とマルシアーノ。「ずっとクローゼットの中に置いておけるようなもの。タイムレスでありながら、ユニークなひねりを加えたものを作っています」
クラシックなアイテムに光る「奇抜さ」
ミムチクの服には内なるセクシーさがあり、それは着る人に自信を与えてくれる。「ある日はミニドレスでセクシーかつパワフルに、またある日はオーバーサイズのジャケットでクールにと、その日の気分で選べる自由があります」とマルシアーノは説明する。一方、カゾフスキーは「曲線を描いたロングシルエットで身体を美しく見せることに重点を置きながら、ちょっとした奇抜さのような、おかしな要素も加えたいと思っています」と付け加える。例えば、無造作にスタイリングしたかのようなデニムのレイヤードスカートは、絶妙な位置に配された2本のベルトがシックなアクセントを効かせている。
Instagram content
This content can also be viewed on the site it originates from.
デニムやレザーアイテムの多くはユニセックスサイズで展開しているが、それにはマルシアーノの幼少期の体験が関係しているという。「幼い頃、私は父のクローゼットをのぞいて、彼の持っている服を盗んだりもしました」と彼女は振り返る。同じようなことをした人も多いかもしれないが、彼女の父親はモーリス・マルシアーノで、ゲス(GUESS)の創設者の一人。他の人よりもずっと、スタイリッシュなメンズワードローブを漁っていたに違いない。そんな彼女は、メンズファッションも楽しむ人たちも着られるアイテムを提供したいと考えたそうだ。
ミムチクは「コンシャスなホットガール」をイメージに掲げているというが、それは人物像というよりも、アティチュードだと二人は表現する。実際、顧客は10代からおばあちゃん世代までと幅広い。「私たちが本当に大切にしているのは、着る人が最高の自信に満ち溢れ、パワフルであると感じられる服を作ること。この姿勢が、多くの人たちを惹きつけているのだと思います」とカゾフスキー。「私たちの顧客に共通しているのは、強い視点や自分らしさ、そしてユーモアのセンスを持っていることです」
「真面目に受け取られないような、個性的な服をデザインしたい」
「ある意味、真面目に受け取られないような、個性的なものをデザインしたいと思っています」とマルシアーノは続ける。また、服は年月を重ねることでより良いものになると思っているそうで、ずっと保管されるようなものは作りたくないそうだ。「せっかく2,000ドルも出して買ったのに、着られないものは嫌なんですよね。服は着る人に馴染んで、ボロボロになるまで着られるべきです」
彼女たちは今、デッドストックのウールのほか、イタリアのタンナー(鞣し革業者)が手作業で加工したレザーを仕入れている。「私たちがやっていることは、ファストファッションではありません」とカゾフスキー。プロダクションにおいては、なるべく地元LAで行いたいと考えているそうだ。「これまでのところ、すべてロサンゼルスで生産しているので、品質が私たちの基準に達しているかどうか、また公正な労働賃金や生活賃金が支払われているかどうか、自らの目で確かめることができるから」
ミムチクはロサンゼルスを代表する気鋭ブランドのひとつへと成長しており、その勢いは衰えることを知らない。「LAではダウンタウンへ行って、地元で生産したい場合は工場に直接足を運んだりできるので、小さなブランドにはとても適しています」とカゾフスキーは話す。しかし、ビジネス的な観点だけでなく、彼女たちの地元への愛は本物だ。なぜなら二人は、「根っからのLAっ子」なのだから。
Text: Hannah Jackson Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.COM