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第75回エミー賞を印象的なスピーチとともに振り返る

1月15日(現地時間)に開催された米テレビ界最大の祭典、第75回エミー賞は、「メディア王~華麗なる一族」と「一流シェフのファミリーレストラン」が6部門を制して幕を閉じた。ハプニングに見舞われることもなく、品行方正に行われた授賞式だったが、その中でも印象に残るスピーチをハイライトでお届けする。

4カ月遅れの開催となった今年のエミー

絶好調の「一流シェフのファミリーレストラン」。 ©FX on Hulu / Courtesy Everett Collection

2023年の9月18日に予定されていたものの、全米映画俳優組合のストライキの影響で、4カ月遅れで開催に至った第75回エミー賞。そのため今回表彰されたのは、2022年の6月から2023年5月までの1年間に放送された作品となっている。

ドラマ・シリーズ部門の作品賞を受賞したのは、2023年の5月にシーズン4でフィナーレを迎えた「メディア王~華麗なる一族」。コメディ部門はシーズン3の製作が決定している「一流シェフのファミリーレストラン」となった。

スピーチ時間の制限が厳しく、慌ただしい印象に

(左)ホストを務めたアンソニー・アンダーソン。(右)オープニングにはBlink 182のトラヴィス・パーカーも登場してドラムパフォーマンスを披露。Photo: Kevin Winter/Getty Images)

ホストを務めたのは俳優&コメディアンのアンソニー・アンダーソン。全体的にそつなくこなしたが、式を予定時間内に終わらせるため、彼は観客席に自身の母親を座らせて、スピーチの制限時間を越えた受賞者に客席から母親に「時間切れ」のプラカードを掲げさせるという笑いを交えた対策を行った。そのため、壇上に立った受賞者たちは時間ばかりを気にし、焦って感謝の言葉を発してステージからはけていくという、慌ただしい印象がぬぐえなかった。

「私に感謝! 自分にありがとうと言いたい」

「ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語」のニーシー・ナッシュ。Photo: Dania Maxwell/Getty Images

そんな限られた時間とプレッシャーの中でも印象的なスピーチを行ったのが、「ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語」で、リミテッドシリーズ/テレビムービー部門の助演女優賞に輝いたニーシー・ナッシュだ。

「勝ったわよ!」と檀上で喜びを爆発させた彼女は、「この素晴らしく誇り高き瞬間に感謝します。ライアン・マーフィー、私を見つけてくれてありがとう。エヴァン・ピーターズ愛しているわ。Netflixも。私に投票してくれたすべての人たち、どうもありがとう。この仕事で疲弊していた私を力づけてくれた愛しい人、どうもありがとう」。こう述べた後に、「それから何に感謝したいかって自分よ。 私に感謝! 私は無理だと言われたことをやり遂げた自分にありがとうと言いたい」語り、会場からは爆笑に続き、温かい拍手が巻き起こった。

キーラン・カルキンは檀上から予想外のおねだり

キーラン・カルキンと妻のジャズ・シャルトン Photo: Michael Buckner/Getty Images

ドラマシリーズ部門の主演男優賞と助演男優賞に各3名ずつもノミネートされるという強さを見せつけた「メディア王~華麗なる一族」は、主演俳優賞をキーラン・カルキン、主演女優賞をサラ・スヌーク、助演男優賞をマシュー・マクファディンが制した。

登壇するまでにキャストたちとハグをしまくり、スピーチの持ち時間を減らしてしまったキーランは、感極まった様子で目にうっすらと涙を浮かべながら手短に感謝の意を述べたが、最後に妻のジャズ・シャルトンに向けて「私と人生を分かち合い、美しい2人の子どもたちを授けてくれてありがとう。そしてジャズ、僕はもっと子どもが欲しいんだ。受賞したら考えてもいいって言ってたよね?」と、受賞のご褒美として妻にまさかの3人目の子どもをおねだり。シャルトンは観客席から笑いながら最愛の夫に拍手を送った。

「BEEF/ビーフ~逆上~」チームが式に落ち着きをもたらした

「BEEF/ビーフ~逆上~」に主演する(左)スティーヴン・ユアンと、(右)ショーランナーのイ・サンジン。Photo: Kevin Winter/Getty Images

「BEEF/ビーフ~逆上~」も、リミテッドシリーズ部門で作品賞をはじめ、スティーヴン・ユアンが主演男優賞、アリ・ウォンが主演女優賞など、5部門を制した。監督賞と脚本賞、そして作品賞を受賞したショーランナーのイ・サンジンにとっては、客席と檀上を何度も往復する大忙しの一日となったが、浮足立つことなく、常に落ち着き払った様子でユーモアを交えた素敵なスピーチを残した。

「劇中に描かれている自殺願望の多くは、私やここにいる何人かの人たちが長年苦しんできた経験に基づいています。番組を観て、自身の苦悩と向き合うことにしてくれた人たちに感謝します。おかげで私たちも、自身の人生を肯定することができました。私たちは分類するようにデザインされた世界に生きているような気がしています。例えば今日だってトロフィーを手にして帰る人と、そうでない人がいる。こういう世界で生きていると、自分を理解してくれる人、好きになってくれる人なんていない、ましては自分自身に愛される価値がないのではないかと考えてしまうようになる。『BEEF/ビーフ~逆上~』を制作する上での最大の喜びは、本当に無条件に愛してくれる仲間たちと一緒に仕事ができたことです」。そして、ほとんどの受賞者が家族や子どもたちへの感謝の意でスピーチを締めくくる中、サンジンは「最後に、私がすることはすべて3匹の犬のためです。ですから、連邦医薬品局のみなさん、犬のアンチエイジングの薬を早く開発してくれたらうれしいです」と、ユーモアを交えて会場の笑いを誘った。

Text: Rieko Shibazaki

ライリー・キーオ、プリシラ・プレスリー、エミー賞/Riley Keough and Priscilla Presley attends the 75th Primetime Emmy Awards at Peacock Theater on January 15, 2024 in Los Angeles, California.
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