エイサップ・ロッキー、ケンドリック・ラマー、小沢健二、マヒトゥ・ザ・ピーポー、ヒョゴなど、国内外の著名アーティストたちがコラボレーターに名を連ねるマスクメイカー/ソフトスカルプターの村山伸。彼の個展「Poetry in Losing」が、エンダー スキーマ(HENDER SCHEME)が運営するオルタナティブスペース「隙間」にて開催される。
過去と未来の間に焦点を当てた本展は、15年間暮らしたニューヨークを離れ、今年、日本に拠点を移したアーティスト本人の選択とも結びついた内容に。アーカイブ作品とともに、エンダー スキーマの「マニュアル インダストリアル プロダクツ」のシューズを用いたマスクなど、今回のために新たに制作された11点を発表する。
村山は1977年新潟県生まれ。文化服装学院卒業後、デザイナーとしていくつかのファッションブランドに参加した後、一点物の服やアートピースの制作を開始。2008年に渡米し、身近な素材を使ったマスクシリーズを発表している。
服飾の技術や知識、さらにカルチャーの歴史への敬意が滲む姿勢から、エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)に始まり、ジバンシィ、タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)、ステューシー(STUSSY)などのブランドとコラボレーションを行うほか、トゥーネス(TWONESS)のデザイナーとしても活躍。トゥーネスでは、軍事行動の犠牲となった子どもや難民の保護・支援を目的として、平和を願うアイテムを販売し、その利益のすべてを国連UNHCR協会に寄付している。
幼少期に洋服に目覚め、自分が納得できる表現方法を模索し続けてきた村山は、長い間マスクを主要なフォームとしてきた。
「マスクというものは、必然的に『顔』をモチーフにしたアート。顔は美術史の中でも追求され、発展してきたモチーフであり、美術が生まれる以前から人間の創作の中心にあったともいえる。ずっと自分なりの『顔』を見つける作業をしてきて、少し前から独自に記号化された顔を手に入れたような気がします。数年前から、身に着ける行為を必要としない作品そのものだけで完結する、より彫刻的なモノ作りに移行する予感がありましたが、その変化を見てもらえるのが今だと思います」
ニューヨークから日本へ、クライアントワークからギャラリーベースの活動へ、マスクから彫刻作品へ。これらの変遷が重なったタイミングでの表現を見ることができる点において、本展は特別なものになると村山本人も語る。
会期は8月5日(土)から13日(日)までの9日間。無二の存在感を高めている彼の今を体感してほしい。
村山伸「Poetry in Losing」
会期/8月5日(土)〜8月13日(日)
会場:「隙間」東京都台東区蔵前3-11-2 1階
時間/12:00〜19:00
https://sukima.henderscheme.com/exhibition/shin-murayama
Photo: Courtesy of Shin Murayama Text: Maki Saijo
マシュー・ウィリアムズはジバンシィ(GIVENCHY)で初となるフィジカルなショーを開催。得意とするレイヤード技と実用的な素材使いを活かし、ラグジュアリーなビジョンを広げた。
