BEAUTY / WELLNESS

呼吸と座り姿勢を変えれば、フェイスリフト&目ヂカラUPに【ヴォーグなお悩み外来】

前回、「美ボディは姿勢がつくる」「つま先を意識するだけで体型が変わる」と教えてくれた、身体調律家・所作研究家の木村祐介さん。ここでは、良い姿勢をキープするための呼吸法と、フェイスリフトや目ヂカラUPまで叶えてくれる美しい座りかたを伝授してくれる。

意識次第で、「息を吸う・吐く」が筋トレに

Photo: Aleksandr Davydov/123RF

「人間は起きている間だけで呼吸を1日約2万回していると言われますが、吸うときも吐くときもきちんと筋肉を意識すると、ただ息をしているだけで全部筋トレになるんです」と、身体調律家として活動する木村祐介さん。では具体的にどのように意識するのが良いのか?

「まず、呼吸は鼻で行うのではありません。鼻は肺に入った空気を出し入れしているだけの“通気口”であると意識してください。あくまでも主役は肺。掃除機で例えるならヘッドが鼻で本体が肺です。ヘッドは吸い込み口に過ぎず、実際にゴミを吸っているのは本体ですよね? 息を吸うときは肺と気管がきちんと膨らむようにします。それから吐くときは、肺の位置は吸ったときの高さをキープしてみてください。そうすると自然とお腹がへこんでいくが分かると思います」

何も考えずに呼吸をすると、息を吐くときに肺が下に落ちてしまう人が多いのではないだろうか?

「そうなってしまう人は、息を鼻先で吹いているだけになっている可能性があります。吸ったら肺と気管の高さをそのままキープ、むしろ上げるくらいの気持ちで息をきちんと吐きましょう。そのときに使うのは腹筋。つまり呼吸を丁寧にすれば、自動的にお腹のエクササイズになり体が勝手に締まるということです。逆に、なんとなく呼吸している人は人生の半分休憩していることになります。もったいないです(笑)」

呼吸の仕方を工夫すると、なんと目ヂカラUPにまでつながるのだそう。「耳の後ろにある骨には顔を動かす“神経のボス”があって、ここに意識を持てると顔のスイッチが入ります。具体的には、呼吸するときにこめかみから耳の後ろあたりのエリアまで肺があるというイメージで息を吸い込む。こうすると、目の奥に向かって鼻から空気を吸いやすくなると思うのですが、これが目ヂカラUPにつながるのです。相手に良い印象を与えたければ、相手の目をしっかり見る、満面の笑みで相手を見つめるという基本に加えて、目の奥とこめかみに向かって鼻から大きく息を吸うことも忘れずに」

最初は難しいかもしれないけれど、慣れると自動的にできるようになると木村さんは続ける。確かに呼吸のたびにお腹を鍛えられればこんなに効率の良いことはない。すぐに意識してみよう!

「無意識は罪であり、意識こそが美への第一歩だと思います。日常動作のコツを知り、何となくの動作が一切なく、丁寧に体を動かし呼吸する。それだけで美しいボディになると思いますよ!」と木村さんは励ます。

ここまでで、美しい姿勢のための基本のキと言える二つのポイント、「つま先重心を心がける」と「呼吸を大切にする」をマスターしたなら、次に試して欲しいのは「美しい座りかた」だ。PCの前にいるデスクワークの時間が長い人、座り仕事の人はぜひ実践してみて。

綺麗な座りかたで、より“基礎筋力”の向上を!

「つま先重心で立つ」ことの応用編として、木村さんがおすすめする綺麗に見える座りかたについても教えてもらった。以下の5ステップで座ってみよう。

  1. 椅子に座り少し足を前に出す。
  2. 土踏まずを引き上げる。
  3. つま先で床を擦りながら、膝の真下に足首がくるまで足を引く。
  4. 鼠径部の上に、肺と口の中(上顎)を積み上げる。
  5. そのままお尻を少し浮かして座り直す。

>>もちろん立ち姿も“つま先重心”で! 詳しくはこちら

いかがだろう。肩が下がって首が伸びデコルテがすっきり。内ももが締まり足の甲がすらっと伸びている。その姿はまさに“姿勢が良い人”に違いない。また、背筋がピンとしているのに背中や腰が疲れにくいことにも気づくはずだ。

「だらりと座る、あるいは無意識に座る日本人の多くは、かかとを軸にして床に足を置いています。その座り姿勢では骨盤が後ろに転がる(後傾する)ため、体が後ろに倒れないように腰や背中を丸めて姿勢をキープすることに。結果、肩こりやストレートネックになるのです。体のコリを解消するためにも、つま先を立てて座ることをおすすめします」

腹筋や太ももの内転筋が弱い人は、この姿勢を長時間取るのは辛いかもしれない。でもそれこそが、ただ椅子に座るという行為で美姿勢の“基礎筋力”を鍛えられているという、何よりの証拠。最初は食事をするときだけ、あるいは会議中は意識してこの姿勢で座る、など短時間からチャレンジして。徐々に実行して習慣化してみよう。木村さん曰く、大抵の人は1カ月ほどでクセづけることができるという。

この姿勢のままスマホを触ろうとすると、いつもよりやや上の位置でスマホの画面を見ることになる、という人が多いだろう。自分では不自然に思うかもしれないが、周りから見れば違和感はない。むしろ、ネットサーフィンしている姿も優雅に決まっている!

綺麗な座り方で顔も引き上がる! 意識次第でデスクワークや会議も鍛える時間に

足のアーチを引き上げてつま先重心で座っていると、長時間のデスクワークでも体に変なコリが起きにくいことを実感するはず、と木村さん。「長時間パソコンをしていて体が凝るという人は、足の着き方がNGの場合が多いです。凝るために座るのか、体を締めるために座るのか。後者が良いですよね? ならば今すぐつま先を立てて座りましょう!」

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このときに大切なのは、伸ばすという意識。机やキーボードを手で押してデコルテが伸びていることを意識するのがポイントだ。

「せっかく毎日のようにパソコンを使っているなら、それを鍛える道具として使わない手はないです。タイピングしていない時間も、自分の太ももを両手で押して、やはりここでも上半身を上へ伸ばします。この座りかたをマスターすれば、会議中さえも鍛える時間になりますよ! 腕を組んで腕とフェイスを引っ張り合うようにするのも、首が長く見えてエレガント。ダンサーのキメポーズを思い浮かべていただければイメージできるでしょうか」

「タブーと言われがちですが、この姿勢ができていれば、私は脚を組むのも問題ないと考えます」と木村さん。脚を組む場合は、足のアーチ(土踏まず)を引き上げ、組んだ脚の下になる足のつま先を立てて床に置き、地面を蹴り上げるイメージで。「モデルさんや俳優さんにこの座りかたを伝えると、テレビに映っているときも脚が長く見える!と喜ばれます」

綺麗に座るフェイスラインのリフトアップにも効果ありと、木村さんは話す。「筋肉の皮膚である筋膜の一部に、つま先から体の裏側(ふくらはぎやもも裏、背中、後頭部)の筋肉たちを包み込みながら、おでこの眉毛あたりまで繋がっている筋膜ネットワークがあると言われています。そのため、つま先にスイッチ入れることで、背中側から額を上に引っ張る力が働き、顔が引き上がるのです」

筋トレに励むのもいいが、まずは日常生活の所作を見直して理想のボディを目指す下地をつくるのが大事、と繰り返す木村さん。呼吸と座り方を変えれば、姿勢が良くなるだけでなく、目ヂカラが上がり顔が引き上がるなど二次的な効果も期待できるとは驚きだ。

話を聞いたのは……
木村祐介
身体調律家、所作研究家。“ファンクショナル・ビューティー(機能的な美しさ)”を永遠のテーマとし、2023年にサロン「TONAFU-調-」を代官山、京都、金沢の3拠点で立ち上げ。表現や美の最前線にいる役者やダンサーたちとのセッションを通じて、運動力学や機能解剖学を基としたメソッドを独自に考案。
@kimura__yusuke

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Illustration: Yurie Terasawa Text: Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai