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紫外線ダメージをあなどるなかれ。今すぐ始めるべき髪と頭皮のUV対策【ヘア&スカルプケア 前編】

紫外線が強くなる時期は、顔と同様に影響を受けやすい髪や頭皮のUV対策にも目を向けたい。紫外線が髪や頭皮にどんなダメージをもたらすのか、そのメカニズムととともに必要なケア法を美容皮膚科と毛髪診療が専門のドクターに聞いた。
【ヘア&スカルプケア前編】紫外線ダメージをあなどるなかれ。今すぐ始めるべき髪と頭皮のUV対策

髪や頭皮が紫外線を浴びると受けるダメージとは?

髪や頭皮は顔と同じくらい紫外線を浴びやすい部位にも関わらず、顔や体のUV対策に比較するとケアを怠りがち。「頭皮は毛髪に保護されているとはいえ、顔の皮膚の延長線上にある髪や頭皮も同じように紫外線ダメージは受けています」とは、発毛治療ができる美容皮膚科「イーメディカルクリニック麻布」を開院し、美容皮膚科医・発毛診療医として活躍する髙橋栄里先生。

まず髪のダメージですが、紫外線を浴びることで毛髪を守っているキューティクルが損傷を受け、髪内部の水分量の低下を招いて乾燥させます。その結果、髪はパサつき、枝毛や切れ毛を引き起こすことも。それにカラーリングしている人は褪色するなど、髪の変色にも影響を及ぼすことがあります

頭皮に関しては紫外線を浴びることでバリア機能が低下。刺激に敏感になり頭皮トラブルを起こしやすく、紫外線ダメージが蓄積される光老化も懸念されるという。「頭皮が日焼けをすると体内に活性酸素を生じ、皮脂分泌が不安定になりがち。また、水分が失われることで乾燥し、かゆみや湿疹、フケなどが生じることも。頭皮環境が乱れることで健康的な髪の生成が妨げられ、薄毛や抜け毛、白髪などの症状が出てくることもあります

さらに女性の場合、生理周期や更年期によるホルモンバランスの乱れが原因で、紫外線の影響を受けやすくなる時期があるという。「女性ホルモンのバランスが乱れると肌トラブルを受けやすくなることがあるので、より一層紫外線対策が必要です

髪や頭皮を紫外線から守るために必要なことは?

髪や頭皮にもたらす紫外線ダメージの大きさを考えると、守るための対策は通年取り組みたい。「直射日光を避けたいときに、日常的に取り入れやすいのは日傘や帽子」と高橋先生。覆うものがない場合、髪の毛の分け目を同じ場所にしている人は注意が必要と続ける。「髪を分けて剥き出しになっている頭皮が紫外線を浴び続けると、より炎症が起きやすくなります。分け目を意識的に変えるなど、同じ部位にダメージを受けないよう工夫して

おすすめの日焼け止めアイテムは、「髪や頭皮に塗布しやすいスプレータイプ。それ以外に、サプリメントなど飲むタイプを用いた内側からのケアも効果的」と話す。タンパク質やミネラルなど毛髪に必要な栄養素を摂取する食生活を意識し、健康的に過ごすことも少なからず助けになるという。

紫外線が強い時期にヘアケアで注意する点は?

強い紫外線を浴びる時期は特に暑さもあり、頭皮に皮脂汚れが溜まりがち。「汚れや汗を放置しておくと臭いや発疹、痒みといった皮膚トラブルの原因に。シャンプーでしっかり洗い流し、頭皮環境は常に清潔に整えることが重要です」と高橋先生。紫外線ダメージを受けた髪はキューティクルが剥がれやすい状態なので、ゴシゴシと洗わず、泡で優しく洗い上げるのがポイント。

シャンプーは、頭皮のタイプがドライなのかオイリーなのか、肌質に見合う洗浄力のものを選ぶのがベスト。「日焼けによる炎症が気になるときは、低刺激の敏感肌用がおすすめ。炎症が強いときは、シャンプーを使わずさっと汚れを落とす予洗いだけの方が良い場合も。痒みやフケ、発疹が生じたときは、投薬が必要なレベルなので専門のクリニックで相談してください

生活環境や年齢などにより、頭皮の皮脂の分泌量や汚れの溜まり具合いなどに違いがあるので、シャンプーは必ずしも毎日する必要がないそうだ。「髪に付着した汚れの量によっては、ブラッシングをするだけでも落とせます。洗髪が特に必要なのは、汗を多くかいた日や、埃をはじめ花粉やPM2.5といった大気汚染などが付着しがちな外出した日。一日の汚れをしっかり落とし、健やかな頭皮環境に整えてから眠りにつくのが理想です

アーユルヴェーダの頭皮をオイルでひたしてケアするオイル湿布を目指して開発されたシャンプー。地肌へのやさしさも追求し、6種類の植物由来の洗浄成分を厳選配合。跳ね返すほどのもっちとした泡で包み込み、頭皮の汚れやベタつきを吸着しながら洗い上げる。ヘアピチュ シャンプー 400g ¥4,400/アーユルヴィスト(ミニマム 03-6903-4772)

頭皮と髪をターゲットに、植物ベースの有効成分を高濃度に配合したヘアケアシリーズの新作。心地よい泡による洗浄で生き生きとした頭皮環境に整え、艶やかな密度感のある美髪に導く。気分をリフレッシュするシトラス&ウッディの香り付き。ヘア リチュアル フォーティファイング シャンプー 200ml ¥11,440(5月1日発売)/シスレージャパン(customerservice.jp@sisley.fr)

頭皮環境を整えることまで考慮して開発されたブラシの最新バージョン。150本の24Kゴールドのメッキ加工が施されたピンがついた独自の形状で、耐久性のあるブナの木製のパドルを採用。頭皮を刺激するマッサージツールとしても活躍する。プレミアム FOX カッサ ウッド ブラシ ¥15,400/スノーフォックス ジャパン(info@snowfoxskincare.co.jp)

紫外線を浴びてしまった後に取り入れるべきケアは?

無防備に髪や頭皮に紫外線を浴びたときは、アフターケアを心がけたい。「紫外線を受けると頭皮は微細な炎症を引き起こし続け、老化を促進。酸化や糖化の作用も進むので、アンチエイジングにもアプローチする頭皮用美容液を取り入れましょう。炎症を鎮めながら保湿ケアができるアイテムが効果的です」と、高橋先生。

髪については、乾いた状態でゴワつきやパサつきを実感したら、トリートメント力の高いヘアケア剤で補修していくしかないという。「キューティクルが乱れると、水分流出により髪は余計に傷つきやすい状態に。しっかり保湿すると同時に髪を補修していくケアが必要になります」。また、髪が濡れた状態で紫外線を長時間浴びがちなプールや海水浴では、キューティクルが傷つきやすいそうだ。「濡れたまま放置せず、汚れを洗い流してからら、なるべく早く髪を乾かしてキューティクルを整えるように

ヘアメイクアップ・アーティスト河北裕介プロデュースの新ヘアケアブランドのセラムは、頭皮のことを第一に考えた植物由来の保湿成分が配合され、しっとり潤った状態を目指せる一品。吐出口を直接頭皮に押し当てながら塗布できる設計を採用。爽快感があり、マッサージによって頭皮の血行を促進する。スカルプセラム 60ml ¥2,750(4月30日発売)/アンドビー(クルー 0120-274-032)

うねりやゆがみ、パサつきなど、エイジングによる頭皮と髪質の変化に働きかけ、扱いやすい素直な髪に導くスカルプケア美容液。地肌に水分を与えるオーガニックアガベや、頭皮環境を整える高麗人参を中心に、植物の恵を豊富に配合。週2、3回を目安にやさしくマッサージしながら全体になじませればOK。AHL スカルプケア美容液 75ml ¥3,080(4月19日発売)/イヴ・ロシェ(0120-937-608)

高橋先生監修のクリニカルトータルブランドのヘアケアシリーズの頭皮用美容液。独自の温泉由来成分や再生医療から誕生した美容成分が配合。乾燥して硬くなった頭皮に潤いを与えながら、頭皮環境を健やかに整えるのが特徴。頭皮や髪のダメージを考慮した無添加処方な点も魅力。ステムヘアブーストセラム 120ml ¥13,200/ドクターズルーム(クリニカルコスメティクス information@c-cos.com)

ヘア&スカルプケアの後編の記事では、ダメージを受けやすい髪を守る最新ヘアトリートメントをピックアップしてお届けする。 >>後半の記事は4月3日(水)更新の予定。

話しを聞いたのは……
髙橋栄里
美容皮膚科医・発毛診療医。藤田医科大学病院の形成外科・皮膚科で研鑽を積み、都内の美容皮膚科の院長を歴任。毛髪へと研究分野を広げ、大手AGA専門クリニックの診療顧問に就任。2019年10月に発毛治療ができる美容皮膚科「イーメディカルクリニック麻布」を開院し、統括院長を務める。患者に寄り添うカスタマイズ治療に定評があり、美容と毛髪治療のプロフェッショナルとして活躍中。https://dre-cli.com

Edit & Text: Manami Ren Editor: Rieko Kosai