骨盤底筋を鍛えることで、自分もパートナーも快感がアップする
-骨盤底筋とは、そもそもどこにある筋肉?
骨盤の底部に広がるハンモック状の筋肉です。尿道や膣、肛門を支えるだけでなく、それらより上に位置する内臓をサポートする重要な役割を果たしています。この筋肉が弱まると、尿漏れしやすくなったり、膣がゆるんで性交渉の快感が減少したりするなど、様々な問題が生じる可能性があります。他の筋肉と同様に、エイジングによって低下しがち。また、出産によっても緩むことがあり、特に高齢で出産する女性は完全な回復が難しいことがあります。
-骨盤底筋が弱まると性交渉の快感が減少する。それは逆に言うと、骨盤底筋が強くなると性交渉の快感は増えるということ?
はい、その通りです。骨盤底筋を強化することで膣圧(膣の締め付ける力)が増す効果があります。このことから、膣圧が増すことで性交時に自分自身も相手も刺激を感じやすく快感を得やすくなる可能性があります。
「パートナーから性交の途中で膣を締めてと指示されたが、締め方がうまくできず効果が得られなかった、そもそも締め方が分からなかった」といった悩みからクリニックにいらっしゃる方がいます。骨盤底筋を鍛えることで、膣を自分で意識的にグッと締められるようになります。
更年期にありがちな性交痛の緩和も
-女性の性交渉の悩みで多いのが、性交痛。骨盤底筋を鍛えると、性交痛も緩和される?
その可能性はあります。というのは、骨盤底筋を鍛えることで骨盤内の血流がアップします。これにより、粘膜の潤いや柔軟性が向上し、性交時の痛みや不快感を軽減することが期待できるのです。年齢を重ねると、膣は体中の他の皮膚と同様にコラーゲンが減少し、膣壁が薄くなり弾力が低下し、潤いが失われ乾燥します。マッサージオイルやジェルを使った膣の保湿ケアや、HRT(ホルモン補充療法)の利用、ヒアルロン酸注射やレーザー照射などの対策法が知られていますが、骨盤底筋を鍛えることも粘膜の潤いにつながります。
-骨盤底筋を鍛えるために、どんなトレーニングをすればいい?
1940年代にアメリカ人のケーゲル医師が尿漏れの女性患者向けに開発した「ケーゲル体操」がよく知られています。尿漏れ対策として効果があっただけでなく、セックスの感度がアップしたという声が多く、世界的にこの体操が認知されるようになりました。
<ケーゲル体操>
腹筋の力を抜き、肛門や膣を上に引き上げる様なイメージで力を入れ引き締める。
→息を止めながら5〜10秒程度キープ。
→5~10秒程度かけて、ゆっくり息を吐き力を抜く。
この流れを数回繰り返す。もっと簡単に腟トレを日常に取り込みたいのであれば、お小水のときに何回か尿をとめるようにするという方法もあります。
-なおえビューティークリニックには、骨盤底筋を鍛えるトレーニングマシーンがありますね。「ケーゲル体操」などで自分で膣トレするのと、何が違う?
骨盤周辺の筋肉は、自分で動かせる筋肉と動かせない筋肉の2種類あり、どちらかというと自分で動かせない筋肉の方が多いんです。機械であれば強制的にすべての筋肉が動くので、より効果が高いと言えます。
ライターが膣トレマシンを体験!
なおえビューティークリニックの「エムセラ」は、高密度焦点式電磁(ハイフェム)のエネルギーで骨盤底筋全面を刺激する膣トレマシン。服を着たまま座っているだけで、効率よく骨盤底筋を強化できる。1回の施術時間は28分。マシンに座ると、ひたすら骨盤底筋に振動を感じる。特に痛みはないので雑誌を読みながら快適に時を過ごした。「このマシンに一度座ってみると骨盤底筋がどこにあるのか意識できるようになり、自分でも動かしやすくなるんですよ」と、喜田直江先生。その通りだと思った。お尻の筋肉も刺激されて、ヒップアップにも良さそう。実際、ヒップアップ効果を感じるという患者もいるそうだ。理想は、1週間に1~2回の間隔で6回の施術。ある程度筋力がついたら、あとはセルフケアで良いそう。
膣圧の数値を測ることもできるので、早速試してみることに。ベッドに横たわってゴム風船みたいなものを膣から入れて、それをスタッフの指示のもとギュッとしめて測る。なかなか恥ずかしい作業だと思われるかもしれないが、恥ずかしさを感じる時間もないほどあっという間に終わった。この機械では、膣圧は20-25が理想。私の数値は20で安心する。「効果を実感できるのは、トレーニングを始めて早い方だと1カ月後、遅い方だと3カ月目あたりからです」。数値化されると、もっと膣トレを頑張ってみようかなとやる気が出た。
私は数年前に「エルビートレイナー」を使って自宅で膣トレをしたことがある。ゲーム感覚でトレーニングができて楽しかったのだけど、継続はかなわなかった。膣に機械を挿入するので下着を脱ぐ必要があり、確実に一人になれる時間も場所も必要(膣トレしている姿は恥ずかしくて、家族にもパートナーにもとても見せられないと思うので!)。一人暮らしでないとなかなか難易度が高い。 私は脱衣所に置いて入浴前にトレーニングしようと計画したが、一刻も早く湯船に浸かりたい誘惑に負け気味で、継続はできなかった。膣トレに限らずあらゆるボディケアに共通することかもしれないけれど、マシンを予約して、強制的にトレーニングする機会を作るのはいいと思う!
「エムセラ」(28分) 初回トライアル¥11,000 2回目以降¥17,600 6回セット¥84,500
話を聞いたのは……
喜田直江先生
なおえビューティークリニック院長。京都府立医科大学卒業後、産婦人科医や形成外科医として活躍。その時の経験から、日本で初めてフェムゾーン医療に特化した女性専用クリニックを立ち上げる。www.naoe-clinic.net/
Photo:Getty Images Text:Kyoko Takahashi Edit:Kyoko Muramatsu