昨年ニューヨークで開催された第1回に続き、今年も大熱狂を呼んだ「VOGUE WORLD」。2024年春夏ロンドン・ファッションウィークの幕開けともなった今回は、オペラ、コンテンポラリーダンス、バレエ、シェイクスピア作品、ミュージカル、ランウェイなど、あらゆる表現を織り交ぜた、パフォーミングアーツとファッションを称える心のこもった一夜となった。
見逃し配信でもチェックできる第2回「VOGUE WORLD」。そのトップモーメント10をご紹介。
※「VOGUE WORLD」見逃し配信はこちらから。
1. セレブからロイヤルファミリーまで登場した花咲くレッドカーペット
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この日、会場であるコヴェント・ガーデンのシアター・ロイヤル・ドゥルリー・レーン前の通りは、赤いバラが咲くレッドカーペットへと変身。16ピースのオーケストラが演奏する中、続々とゲストが到着し、ドゥルリー・レーン名物である案内係たちによって場内へとエスコートされた。
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UK版『VOGUE』の編集長エドワード ・エニンフルと『VOGUE』グローバル・エディトリアル・ディレクターのアナ・ウィンターはもちろん、アレクサ・チャン、シェイラ・アティム、メイジー・ウィリアムズ、ジェンマ・チャン、ユージェニー王女にベアトリス王女などが、それぞれニクラス スコウゴー(NICKLAS SKOVGAARD)、プラダ(PRADA)、メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、フェンディ(FENDI)、リチャード クイン(RICHARD QUINN)のルックを纏いレッドカーペットに登場。案内係たちもチャールス・ジェフリー(CHARLES JEFFREY)が新たに手がけた鮮やかなレッドのユニフォームに身を包んでいた。
2. インパクトNo.1。シエナ・ミラーのマタニティルック
イギリス王室のメンバーも出席した「VOGUE WORLD」だが、話題をさらったのはシエナ・ミラー。現在、パートナーのオリー・グリーンとの間に第2子を妊娠中の彼女は、ドラマティックなシルエットのスキャパレリ(SCHIAPARELLI)のトップとスカートを纏い、大胆なお腹見せスタイルを披露。ショーにも案内係として出演した彼女は、この後衣装であるチャールス ジェフリーのレッドコートも難なく着こなした。
3. ケイト・モス、圧巻の登場
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ビッグ・ベンの鐘の音で幕を開けたショー。まず流れたのは、ジョン・ガリアーノがケイト・モスにメゾン マルジェラのカスタムルックを着せているバックステージ映像。続いてロイヤル・オペラ・ハウスの中でも指折りの若手スターであるオペラ歌手のホンニ・ウーがサウスバンク・シンフォニアの伴奏で、ヘンリー・パーセル作曲の『ディドとエネアス』からの『When I Am Laid In Earth』を熱唱。その嘆きの歌は、ショー前半のテーマでもあった命や美しさ、さらにはランウェイや舞台などの芸術の儚さを表現し、序盤からオーディエンスの心を動かした。
4. パンクを体現したFKAツイッグスとランベール・ダンス・カンパニー
スリリングな第2幕は、第1幕とは対照的だった。FKAツイッグスがランベールのダンサーたちとともにステージに登場し、同ダンスカンパニーのアーティスティック・ディレクターであるブノワ・スワン・プーファーがこの日のために構想した魅惑的なオリジナルパフォーマンスをOpus IIIの『It's a Fine Day』に合わせて披露。シアター内を練り歩いていたモデルのルックのように、どこまでも騒々しく、パンキッシュなムードが漂うパフォーマンスには、カーラ・デルヴィーニュがFKAツイッグスにキスをするという場面も。
5. ストームジーとソフィー・オコネドーが魅せた、過去と現代のアーツの融合
ショー全体を通して、最も鳥肌が立ったシーンとも言えるのがストームジーとソフィー・オコネドーのパフォーマンス。ストームジーが自身のセカンド・スタジオ・アルバム『Heavy Is the Head』に収録されている『Crown』をパワフルに歌い上げると、ヴィヴィアン ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)のクチュールドレスを着たオコネドーが登場。ウエストウッドの1997-98年秋冬コレクションにインスパイアされた一着は、エリザベス1世などのチューダー家のポートレートを彷彿とさせるハンドペイントが施され、美しくも圧倒的な存在感を放つ。彼女が演じたシェイクスピアの『ヘンリー四世 第三章』のモノローグから伝わるのは、過去と現在のイギリスのクリエイティブアーツへの強い敬意だ。
6. 新たなロマンティック・ファッション誕生の瞬間
シェイクスピアは『ロミオとジュリエット』というかたちで第4幕でも見られた。ドラマ、『サンドマン』でもお馴染みのトム・スターリッジがロミオを、アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)のドレスとロエベ(LOEWE)の羽を身につけたヘレナ・ウィルソンがジュリエットを演じた一幕は現代版のロマンスを表現。俳優のテイラー・ザカー・ペレスにマックス・ハーウッド、モデルでアクティビストのカイ・アイザイア・ジャマルなども華を添えた。
ほかにもロマンティック・ファッションを再解釈したルックが勢揃いのファッションパレード、ロイヤル・バレエ団 のプリンシパル、金子扶とウィリアム・ブレイスウェルが伝説的な振付師のウェイン・マクレガーによる新作を舞い、盛り上がりは高まるばかり。
7. スター揃いの劇場スタッフ
第5幕が始まる前、赤いコートを着た案内係がシアターの清掃を行い始め、一瞬ショーが終わったかのように思えた。しかし、その正体は劇場スタッフなどではなく、シエナ・ミラー、クシュ・ジャンボ、ジェームズ・コーデン、ダミアン・ルイス、ジェームズ・マカヴォイといった演劇と映画界のトップたち。『インク』、『クイズ』、『ベスト・オブ・エネミーズ』、『ディア・イングランド』などを手がけた著名劇作家のジェームズ・グレアムが「VOGUE WORLD」のために書き下ろしたショートコントを披露。パフォーマーとしての成功を夢見る5人の苦労を描いたコミカルなパフォーマンスは、演劇が持つパワーと困難に負けず進み続ける心を教えてくれる。
8. 『マイ・フェア・レディ』への盛大なトリビュート
1964年に映画化もされ、シアター・ロイヤル・ドゥルリー・レーンで最も長く上演されているミュージカル、『マイ・フェア・レディ』にささげた壮大なシーンは、この日最大のファッションモーメントとなった。モノクロのアンサンブルに身を包んだ大勢の名だたるモデルがステージを埋め尽くし、主役のイライザ・ドゥーリトルを演じたライラ・モスとともにミュージカルの名シーンを再現。壮観かつどこか切なく、カルチャーとファッションを見事に融合させた。
9. アニー・レノックスによる心揺さぶるフィナーレ
クロージングには音楽界のレジェンド、アニー・レノックスとロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイアがサプライズで『Sweet Dreams (Are Made of This)』を披露。優しい歌声で会場を圧巻した。
パフォーマンスだけでなく、衣装にも強い思いが込められいたこのシーン。レノックスが纏っていたリチャード クインのカスタムスーツは、古くからロンドンに伝わる「パーリー・キングス&クイーンズ」へのトリビュート。
10. かつてのランウェイを彷彿。クロージングを飾った元祖スーパーズ
アニー・レノックスのサプライズパフォーマンスでも十分圧巻のフィナーレとなっただろうが、これで終わらないのが「VOGUE WORLD」。最後に登場したのは90年代を代表する元祖スーパーモデルで、UKとUS版『VOGUE』の9月号の表紙を飾ったナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォード、リンダ・エヴァンジェリスタとクリスティ・ターリントン。コーディネートされたルックを着た4人は颯爽とステージに現れ、ショーを締めくくった。
Text: Radhika Seth Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK
