ファッションのコンフォートゾーンを押し広げ、トレンドの最先端を堂々と突き進むケンダル・ジェンナー。今年のメットガラではマーク ジェイコブス(MARC JACOBS)によるオートクチュールのボディスーツを纏い、大胆にもヒップを見せた装いでレッドカーペットに登場していたが、その前にもボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)による2023年春夏コレクションのルックNo.17をいち早く着用。白いシャツの上にクルーネックセーター、そして黒のタイツだけという、スカートやパンツを穿き忘れたかのような出立ちで注目を集めていた。
そして今週、ニューヨークでまたしてもこの“ボトムなし”のスタイルを平然と纏う彼女の姿があった。白のボタンアップシャツにオーバーサイズのネイビージャケットを合わせただけのコーデは、これまでのどのルックよりナチュラルに映る。
スマートなレザートートバッグ、スクエアフレームのサングラス、ザ・ロウ(THE ROW)による黒のローファーでプレッピーなアメリカンテイストを効かせ、仕上げにスポーティなニューヨーク・ヤンキースのベースボールキャップを被るという粋な小物づかいには、トップモデルならではの絶妙なバランス感覚が光る。
現在店頭に並んでいる2023年春夏コレクションの数々やセレブたちの夏の装いを見る限り、下着のファッション化は加速しているようだ。ミュウミュウ(MIU MIU)、プラダ(PRADA)、ディオール(DIOR)、コペルニ(COPERNI)らがその火付け役に挙げられるが、ジャックムス(JACQUEMUS)もまた、つい先日ヴェルサイユで開かれた2023-24年秋冬コレクションでさまざまなバリエーションを提案。ランウェイを歩いたケンダルは、ここでも雲のようにふんわりとしたオフショルダートップとショーツというノーボトムのルックに身を包んでいた。
この“ボトムなし”トレンドの勢いは着実に増しているが、ケンダルがそのスタイリングにさらなる磨きをかけ、よりウェアラブルなものへと昇華してくれることに期待したい。
Text: Alex Kessler Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.CO.UK