fabula
2021年にスタートした、東京大学発のスタートアップ。ラテン語で「ストーリー」を意味する fabulaは、“ゴミから感動をつくる”をヴィジョンに、ゴミを新しい素材として生まれ変わらせる。建材として空間づくり、また、生活に役立つ道具に形を変えるプロダクトを展開する。コーヒーのかす、抽出後のお茶の葉、みかんなどの柑橘系の皮、白菜(規格外野菜)、コンビニ弁当など、さまざまな食品廃棄物から新製品を制作。100%天然素材のため、ひとつとして同じものはなく、一点ずつ風合いが異なるプロダクトが誕生する。
HONOKA
素材・技術・文化の持続可能な体制を目指すデザインラボ。受け継がれてきた歴史を現代のテクノロジーで紡ぎ、素材がもつ魅力をほのかに感じさせるものづくりを行っている。そんな彼らが手が けるのがミラノサローネ国際家具見本市2023で発表された、大型3Dプリント技術を用いて畳を現代の暮らしに編み直すプロジェクト「TATAMI ReFAB PROJECT」。使い終えた畳や廃棄される原料を生分解性樹脂と混ぜ合わせ、新たな家具を製作。同プロジェクトを通じて、畳の魅力を次世代 へ発信していく。
we+
林登志也と安藤北斗により2013年に設立された、コンテンポラリーデザインスタジオ。利便性や合理性が求められる現代社会で、見落とされがちな多様な価値観を大切にしながら、自然や社会環境との親密な共存関係を築くオルタナティブなデザインの可能性を探究する。そんなwe+では、廃棄物を都市の土着の素材と見立て、廃棄物に新たな価値を見出すプロジェクト「Urban Origin」に取り組んでいる。同プロジェクトを通じて、人間と素材の関係を見つめ直し再構築するために、廃材を使ったアプローチを展開する。
NUNOUS
140年の歴史を誇る老舗染色加工会社のセイショクが展開する、使われていなかった布をアップサイクルするプロジェクト。見えない廃棄物の存在を伝え、廃棄物と企業、人の新たな関係を結べるようにすることを掲げる。さまざまな繊維が混ざっていることでリサイクルが難しく、多くは粉砕や焼却などの処理がされてきた規格外品の布。それをサトウキビの非可食成分由来のバイオポリマーと独自の特許製法で、布のもつ手触りの良さや美しさを引き出して再生。廃材に新しい命を吹き込み、全く新しい製品が誕生する。
Ao.Re:
藍染料で無垢材を染め上げるサステナブルなデザインプロダクト、Ao.。東京産の木材の中でも本来チップや薪の原料となる利用価値の低い無垢の木材を生かし、職人の手作業により加工。最終工 程では、Ao.の由縁でもある天然の藍染料で家具を染色。また、伐採・製材・加工・染色・デザイ ンのすべてを、ひとつの地域・領域で行う。そのAo.が展開するのが、アップサイクルプロジェク トのAo.Re:。廃棄予定の木製家具と、東京で伐採し製材した無垢の木材を再構成することで新旧ハイブリッドな唯一無二の藍染め家具が生まれる。
metabolic
「見過ごされていた価値を再構築し、世界を豊かにする」をヴィジョンに掲げ、家具のアップサイクル事業や空間プロデュース事業を行うyes。新たに誕生した「新陳代謝」を意味する再生ブランドmetabolicでは、ものを燃やすことによって、「過去の物語を尊重しながら、新しい価値を創造する」というプロセスに則り、古い家具に新たな命を吹き込むことをミッションとしている。“恵み”と“脅威”の二面性をもつ火の特性を生かしてものの表面を燃焼させ、過去の痕跡や古びた塗料、汚れを取り除くことで新しい表皮を創り出し、美しさを表現している。
engrace
「日本の伝統技術を継承する焼きもの」を資材として再利用し、アクセサリーを製作。割れたり、欠けたり、歪んだりしてしまった器を、丁寧に手作業で陶器からかけらにし、ひとつずつ研磨。形を変え、新しく「金継ぎジュエリー」として甦らせる。使われない陶器にアクセサリーとしての新しい可能性を見出すことで、有田焼や唐津焼、九谷焼、京焼、萩焼などといった日本各地の窯元、作り手、アクセサリーを手に取る人びと、そして環境といったすべての人やものをつなげ、循環させていく。
Text: Kurumi Fukutsu Editors: Yaka Matsumoto, Sakura Karugane
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