BLACKPINKのジェニーがステージ衣装として着用したことで、その知名度をさらに高めたブライダルブランドのウェッド(WED)。最近はインサイダーたちの間でも高い人気を博しており、特別な一日のためにこのブランドを選ぶファッショニスタたちは後を絶たない。
「伝統的なブライダルスタイルが現代の花嫁にとって意味をなさないからこそ、人々は(ウェッドに)惹かれるのだと思います。だって日常生活での彼女たちは、単なるプリンセスではないのですから」と話すのは、共同設立者でクリエイティブディレクターのエイミー・トリン。「(私たちのデザインには)ちょっとした反骨精神があります。これは(あなたが知っているような)単なるブライダルルックではないのです」
「(ウェディングドレスは)自分自身のスタイルの延長線上にあるべき」
ロンドンを拠点とするウェッドは、トリンがセントラル セント マーチンズの元同級生エヴァン・フィリップスとともに2019年に立ち上げて以来、ブライダルウェアの境界線を押し広げてきた。トリンが自身のウエディングに着たいと思えるドレスを見つけられなかったことが設立に至った経緯だそうで、「(ウエディングドレスは)自分自身のスタイルの延長線上にあるべき」とデザイナーは説明する。
設立当初はオケージョンウェアとブライダルの間を「行き来する」ようなプレタポルテコレクションを中心に展開していたが、次第にカスタムメイドのウエディングルックをデザインする方向へとビジネスがシフトしていった。「コロナが明けてからは、卸売りの一部を除けば、私たちの仕事の大半がオーダーメイドのウエディングルックになり、私たちは完全にブライダルの世界に放り込まれましたね」とフィリップは振り返る。
こうしてウェッドは、ブライダルに特化した初のプレタポルテコレクションをローンチすることに。ドラマティックなシルエットとドレープが印象的なクリエイションを目にした顧客から、同じルックを作ってくれないかという問い合わせも増えていたそうだ。「もちろん、(オーダーメイドなので)まったくと同じものを作ることはできません。だからこそ、このコレクションを制作しようと決めました。より多くの人たちにとってリーズナブルな価格帯で、ウェッドのエッセンスとスタイルを届けたいという気持ちがあったんです」
新作の価格は2,000ポンドから5,000ポンド(日本円で40〜75万円)。ブランドのシグネチャーであるパフボールスカートからより控えめなデザインまで、30点のアイテムが揃う。特に目を引くのは、スパンコールが煌めくベアトップのスモックドレスや、シンプルなキーホールのカットアウトが特徴的なワンショルダードレス。今回のコレクションについて、「(以前と比べて)マチュアになった」とトリン。美しくしなやかなドレープを指しながら、「セクシーだけど、個性もある」とブランドの変化を語った。
アップサイクルサービスを提供することで、何度でも繰り返し着られるように
二人はこれまでと同様にデッドストックやリサイクル素材、テンセル™リュクスなどの環境への配慮がなされた生地も取り入れる一方で、すべてが完全にサステナブルではないとも認める。「まだ改善しているところです。例えばですが、リサイクルポリエステルについての課題はたくさんあります」とトリン。それでもウェッドは、多くの花嫁がドレスやスカートを結婚式の日以外にも着られるようにアップサイクルサービスを展開するなど、前進することをやめない。
ウェッドがほかとは一線を画すブライダルブランドに成長した理由は、こういった姿勢にある。プレタポルテコレクションはブランドから直接購入できるが、今後は厳選されたブティックでも取り扱われる予定だ。「ブティックでは、花嫁に似合うものやコーディネートを提案してくれたり、丈の調節などのお直しにも対応してくれます。こういったサービスがスペシャルな体験にしてくれるのです」とトリン。「ビッグブランドのVIPのようにね」とフィリップも同意する。「(ブティックでは)誰もが特別に扱われるのです」
Text: Emily Chan Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.CO.UK
