BEAUTY / WELLNESS

毎日の食事で体の不調が改善できる? その3つの基礎を伝授。【美しくなる食事法】

疲れやむくみがとれず、精神的なアップダウンが激しい……。体や心に不調を抱えているなら、それは日々の食事が原因かもしれない。You are what you eat. 私たちのボディは食べたものでできている。今回は予防医療コンサルタントの細川モモ さんに女性がヘルシーでいられる食事方法を伝授してもらった。食生活を見直して、自分をもっとヘルシーにアップデート!

毎日の食の選択力がキモ。体の不調は改善できる。

thianchai sitthikongsak

多くの女性の体づくりをサポートしてきた予防医療コンサルタントの細川モモさんは、「運動の成果も睡眠の質も食事に影響を受けます。1日3食の食事の見直しは体調改善に欠かせません」と話す。現代女性が特に注意したほうがよいポイントは? 

「骨、筋肉、ホルモンといった体の全てをつくる材料となるタンパク質が不足している人が多いですね。また、健康寿命と平均寿命の差が開き、寝たきりの女性が増えています。その大きな原因が骨。タンパク質に加えて、カルシウムやマグネシウム、ビタミンDも必須。どれも現代女性は不足しているというデータが」

食事をきちんととったとしても、胃腸が活動していないと栄養は消化吸収されない。「胃酸が減少すると、鉄やいくつかのビタミンの吸収率が低下してしまいます。胃を丈夫にするためには人体ではつくり出せない必須アミノ酸(人の体をつくる材料)を含む肉、魚、大豆、卵、乳製品を毎日3食食べること」。一方、腸の健康のために最近注目しているのは、腸内細菌のひとつである酪酸菌だそう。

「酪酸菌は、悪玉菌が住みにくく善玉菌が住みやすい腸内環境をつくります。それにより、栄養素の吸収率の向上やビタミンやホルモンをつくり出す働きが向上する可能性も」

忙しい中、何から始めれば? 「タンパク質を3食“片手手のひら一盛り”食べることから始めてみて。スイーツの代わりに、タンパク質が多く含まれる高タンパクヨーグルトを食べることもおすすめ。それが10年20年続くと、確実に体の底力になっていきます」

あなたの食事、ここをCheck!

  • 運動も睡眠も食事の質に影響を受ける。
  • 女性のタンパク質摂取推奨量1日50gをまずは目指して。
  • 1日3個の卵を食べることからスタート。
  • カルシウム、マグネシウムもとって丈夫な骨に。
  • 栄養を確実にとるために胃腸の健康にも気を配る。

ヘルシーの基礎を作る、3つの法則。

1. 魚のチカラを見直す。

日本の魚介類摂取量は減少傾向にあるが、魚は大切な栄養源。良質のタンパク質に加えて、ビタミンや鉄分などのミネラル、また、必須脂肪酸と呼ばれるDHAやEPAも魚が主な供給源。「朝ご飯に食べると最強。魚には体内時計を正しく動かして“時差ぼけ”を解消する力があるからです。肥満予防や心の健康、PMS・生理痛の緩和にも。鮭フレークや鰹節をご飯にかけるのでもOK。洋食派なら、ツナトーストやツナサラダで取り入れてみて。最低でも週3回以上、できたら毎日が理想です。生でいただくのがいちばん栄養を消化吸収しやすいので、お寿司や海鮮丼などにするのがおすすめ。魚が苦手な人は、フィッシュオイルのサプリメントという方法も」

2. 脂質を恐れない。

脂質というと太るイメージがあって、敬遠する人が多い。しかし、良質な脂質は女性ホルモンの材料でもあるし、肌のバリア機能の重要な役割も担う。「健康や美容によい脂質は人の体ではつくり出せない必須脂肪酸のため、食事からとるのがベスト。魚やアマニ油に含まれるオメガ3脂肪酸は抗炎症作用があり、肌が活性酵素によるダメージを受けるのを防ぎます。また、オリーブオイルやアボカドに含まれる一価不飽和脂肪酸は、紫外線によるダメージから守る働きも! アヒージョやカルパッチョ、マリネにして取り入れれば、魚も一緒に食べられて一石二鳥。私はアマニ油やエゴマ油をスムージーやヨーグルトに入れて、コンスタントにとるようにしています」

3. 炭水化物もきちんととる。

糖質制限など、炭水化物の摂取を抑えるダイエットをする人が少なくない。確かに血糖値の上昇しやすい炭水化物や砂糖を抑えることはメリットがあるが、血糖値が上昇しにくいものまで控えるのはNG。「炭水化物は腸内環境をよくするためにもマスト。腸の善玉菌が繁殖するエサとなるのは食物繊維と糖質で、このふたつを含むのが炭水化物なのです。また、ハッピーホルモン“セロトニン”が、脳内でつくり出される量を増やすという大切な働きもあります。お米には米セラミドという、人間の肌にあるセラミドと似ている脂質があり、肌を潤します。脱炭水化物ダイエットをして肌が乾燥するという人は、一度見直したほうがよいと思います」

Profile
細川モモ/予防医療・栄養コンサルタント
米国で栄養学を学び、International Nutrition Supplement Adviserの資格を取得。女性たちの食事・医療面のサポートや研究・学会発表も行う。2011~2014年には、ミス・ユニバース・ジャパン ビューティキャンプ講師も務める。

Photos: Getty Images Editor: Kyoko takahashi,Kyoko Muramatsu

※『VOGUE JAPAN』2022年6月号より転載記事。