暑さから身を守る4つのティップス
よく眠れない、お肌の乾燥が気になりはじめた、熱中症気味で疲れがとれない、日中外に出たら髪がパサパサ……。記録的な暑さとなった今年の夏、こうした悩みを抱えている人も多いかもしれない。中には、この4つすべてに当てはまる人もいるだろう。
リモートワーク中であっても通勤通学が必要であっても、夏の暑さや強烈な太陽光は、容赦なく私たちを襲ってくる。ではいったい、この暑さから身を守るためにはどうしたらいいのだろうか。というわけで、睡眠が専門の心理学者、シェルビー・ハリス博士や栄養士のローズマリー・ファーガソンといった世界的エキスパートに、酷暑のの中で髪や肌、ボディのケアをし、さらに良い睡眠を得るための秘訣を取材した。
1. ヘアケア:強烈な夏の太陽から髪をプロテクト
「太陽の熱を直接浴びると、髪の毛は大きなダメージを受けてしまいます」と警告するのは、ナチュラルヘアの専門家、シャーロット・メンサーだ。彼女は続ける。
「それは、髪に熱を与えるスタイリングやブロードライをしたり、コンディショニング成分が入っていないプロダクトで髪を洗うのと同じくらい悪影響です。夏のヘアは、スタイリングとケアの両面で『軽さ』がキーワードになります」
では、暑さや湿気、強烈な太陽光による髪のダメージを最小限に抑えにはどうすればいいのか。シャーロットは以下のポイントを提唱する。
- 水分が失われるため、うるおい成分を含むシャンプーやコンディショナーを使用する。
- 週に1度は、クレンジング効果の高いシャンプーと髪に栄養を与えるマスクでスペシャルケアを。
- ヘアアイロンやドライヤーなど、熱の力でスタイリングするツールは髪を乾燥させてダメージをあたえるので、なるべく使用を控えよう。
- 直射日光から髪を守りたいなら、UVカット効果やビタミン、抗酸化物質を含むプロダクトを選ぶこと。
- タンニングの施術中は、帽子やスカーフで髪を守る。
- クセを落ち着かせるスタイリング剤は、必ず軽いテクスチャーのものをチョイスする。
2. スキンケア:最も肌がダメージを受けやすい季節のセルフケア
「夏は私たちの肌が最高に美しく映える季節。でも同時に一番ダメージを受けやすい時期でもあります」
こう注意を促すのは、スキンケアの第一人者で多くのセレブが信頼を寄せるバーバラ・シュトゥルム博士だ。太陽光を浴びすぎると肌の老化が加速し、炎症や吹き出物を引き起こしてしまう。さらに深刻なケースでは、皮膚ガンの原因となることも。しかも博士によれば、暑さそのものが、過剰な皮脂分泌やほてり、乾燥、にきび、皮膚炎などの原因になり得るという。
「あらゆるタイプの肌が、何らかのかたちで熱の影響を受けています。熱は過度の色素沈着のきっかけとなることがあり、特に、メラニン濃度が高い肌では顕著です。また、肌のバリア機能や自己回復力を低下させるおそれもあります。抗酸化物質のレベルの低下やタンパク質の増加を招き、これが肌にハリをもたらすコラーゲンの供給を阻害して、小じわやたるみの原因にもつながります」
こうしたダメージから肌を守るためのセルフケアについて、博士はこうアドバイスする。
太陽光を浴びることが多い時期は、レチノールなど酸性の成分を使ったスキンケアを控えることが重要。酸性の成分は肌の基質を修復せず、むしろ刺激をあたえて壊す性質があり、紫外線を浴びた肌の自己防御機能を弱めてしまう。
理想を言えば、肌のひりつきを落ち着かせ、フリーラジカルや太陽光、暑さによる酸化ストレスに対抗して肌のバランスを整える保湿力の高い成分が必要。太陽光を浴びた後のケアには、抗酸化物質のビタミンA、C、E、ビタミンB12、葉酸、酵素、脂肪酸、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などのミネラルなど、さまざまな栄養成分を含むアロエベラの成分がとても効果的。肌のほてりも鎮めてくれる。家庭でも手軽にできるケアとしては、アロエの葉のゼリー状の部分を肌に直接乗せて、ほてりを鎮めるのがおすすめ(ただし、皮膚に直接使うことになるので、最初にパッチテストをして、アレルギー症状の有無を確認すること)。アロエの葉を根本から切り、水分を含んだゼリー状の部分を肌に塗る(回数は1日3回まで)と回復が早まり肌が滑らかになる。さらに、水分を補いたい場合は、栄養分の豊富なオイルなどスキンケア成分とブレンドするのがベスト。
愛用のヒアルロン酸美容液があれば、夏場は冷蔵庫で保管すること。朝起きて一番に、あるいは太陽が照りつける屋外で過ごした後に冷やしておいた美容液をつけると、ひんやりとしたうるおいが行き渡り、肌が目覚める。さらに暑くなると、ヒアルロン酸の氷も有効。作り方は簡単で、ヒアルロン酸のアンプル1本を製氷皿に垂らし、数時間冷凍庫に入れるだけ。こうしてできた氷をやさしく肌に乗せると、肌はたちまちクールダウンして、うるおった状態に。
日焼け止めを買うときは、なにかと誤解を招きやすいSPFだけで決めないことがポイント。SPFは、紫外線B波(UVB)を防ぐ効果はあるけれど、車や家の窓を通り抜けるA波(UVA)の防御効果はまったくわからない。ドクター・バーバラ・シュトルムの「サン・ドロップス」のように、幅広い波長のUVAとUVBから肌を守り、修復や保湿に役立つ成分や抗酸化物質を含むプロダクトを選ぼう。
>>日焼け対策はこれで万全!正しい日焼け止めの選び方と、塗り方、そして原因もレクチャー
3. ボディケア:海辺など野外で陽を浴びるときの注意点
「日光浴の効果を信じて疑わない人は多いのですが、小麦色の肌を手に入れようと頑張りすぎて、暑さで体調を悪化させるのは本末転倒」と話すのは、栄養士のローズマリー・ファーガソンだ。
「長時間暑いところにいると、体の組織が疲弊してしまいます。このとき、真っ先にシャットダウンされるのは発汗機能。つまり体を冷やせなくなるので、暑さによる体調不良が一気に熱中症にまでエスカレートする可能性があります」
ファーガソンは、こうした危険な状況を避けるために以下の項目を守るよう推奨する。
- のどが渇いたと感じたときには限らず、こまめに水分を補給すること。
- 水分補給のカギを握るのは、汗によって体から失われるミネラルを補う成分である電解質。水分をたっぷりとった気分になっていても、電解質のバランスが崩れていたら、適切な水分補給とはいえない。電解質を含む飲料や水に溶かすタイプのパウダーを活用しよう。また、質の高いヒマラヤ岩塩を水に溶かして飲むのも、電解質の補給に役立つ。
- 食べ物からも水分補給は可能。特にスイカ、セロリ、レタス、キュウリ、イチゴ、オレンジ、モモといった野菜や果物は、絶好の補給源になる。
- 日光を浴びていてだるさを感じたら、体の発する警告に耳を傾け、一時中断すること。それでも日光浴を続けたいなら、日陰に入り、水分を補給して少し休むことを心がけて。
- 体の体温調節機能を補うために、冷水のシャワーを浴びる習慣を。
- 手首、首もと、胸部、こめかみなど、体を冷やすポイントとなる部分をクーリングする。
4. 睡眠:夏の寝苦しさを解消するには?
睡眠の専門家、シェルビー・ハリス博士は「ぐっすり眠れている人の場合は、寝床についたときから深部体温がゆるやかに下がり始めます」と語る。
「時間の経過とともに深部体温は徐々に下がり続け、毎日の起床時間の2時間前に下げ止まります。簡単に説明すると、人の脳内にはサーモスタットのような温度調節をする仕組みがあり、夜になると体温を下げて眠気を引き起こし、朝目覚める時間が近づくと徐々に上昇させるのです」
ところが、夏の暑い時期には、このメカニズムがうまく働かなくなる。
「室温が高いと体温を下げ、体に備わっている調節機能を活用することが難しくなります。そのため眠りが浅くなり、汗の量も増えます」
では、暑い時期も安眠を確保するにはどうすればよいのか。博士が勧める以下の方法を試してみよう。
- 体に備わっている睡眠時の体温低下機能を活かすには、部屋を涼しくすること。エアコンを自分にとって快適な温度に設定しよう。同じベッドで寝るパートナーとあなたの間に快適と感じる室温に差がある場合は、それぞれに合った厚みの布団を用意する。
- 寝室にエアコンがない、あるいはエアコンが苦手な人は、可能ならば2カ所以上の窓を開けて風が通るようにし、扇風機を使って室内の空気を循環させる。
- 日中はなるべく窓を閉めておき、日光を遮断するタイプのカーテンで、熱気と日光が窓から入り込んで部屋が暑くなるのを防ぐのもおすすめ。
- 温まった空気は上昇する性質があるので、上の階は熱気がこもりやすい。2階建て以上の家に住んでいて寝苦しい場合は、暑さの厳しい日には寝る場所を下の階に移動してみよう。
Text: Tish Weinstock Adaptation: Mika Mukaiyama
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