エミー賞史上最多32ノミネートを果たした「ゲーム・オブ・スローンズ」のヒロイン、エミリア・クラークは、授賞式でも抜群の存在感。ソフトマットなオレンジベージュのリップに、ゴールドとシルバーのシャドウでコントラストをつけた目もとを合わせ、トレンド感をおさえた色使いで洗練された印象に。また、太さとボリュームを出したインパクトのあるストレート眉が、モダンさを放っていた。センター分けのスリークなロングヘアも、大胆なカッティングのドレスと見事に調和。ドラマティックなムードのルックは、タフでカリスマティックな女王を演じた劇中の役柄ともどこかリンクしている。
輝くようなプラチナブロンドヘアが印象的だったのは、「Fosse/Verdon(原題)」でリミテッドシリーズ/テレビ映画部門の主演女優賞を手に入れたミシェル・ウィリアムズ。ゆるいウェーブヘアをゆったり下ろしたアレンジに合わせて、アイメイクもグレーとネイビーのシャドウでシックな印象に。そこに淡いピンク色のチークとリップが、彼女らしいフェミニニティをプラスしていた。ノーアクセでも十分華やかなのは、手入れの行き届いた滑らかで輝きの溢れる肌があるから。シンプルながらベテラン女優ならではの余裕が滲み出るスタイルは、煌めく総スパンコールドレスとも計算されたバランス。
ベストドレッサーの呼び声高いゼンデイヤは、グリーンのドレスに赤毛のワンサイドダウンヘアを合わせたゴージャスなルック。ふんわりとしたカールの立体感をいかしたアレンジが、いつもはエッジの効いたスタイルを好む彼女のエレガントな魅力を開花させていた。メイクは、端正に整えた太眉を主役に、カッパー色の目もと、潤いたっぷりのグロッシーな唇でバランスをとり、落ち着いた華やぎを演出。美しいテラコッタスキンをノーブルに引き立てるメイクで、彼女の個性をさらに輝かせて。
「オザークヘようこそ」でドラマ部門の助演女優賞に輝いたジュリア・ガーナーは、鮮やかなバイオレット色のドレスにメタリックゴールドのアイメイクとリップで個性をプラス。ジュエルのように輝くワントーンメイクで、まるでヴィーナスのようなミステリアスで優雅なスタイルを完成させた。ヘアはうなじ付近で小さくまとめたベビーローシニヨンに。あえてタイトかつコンパクトにまとめたことで、メイクとのモードなメリハリを効かせている。
パートナーのポール・ダノ監督とともに出席したゾーイ・カザンは、「グッチ」のドラマティックなドレスに合わせたのは、シンプルながら小技の効いたレッドリップ・メイク。ポイントアイラッシュを等間隔にあしらったふさふさのまつ毛がドーリーな可愛さを、そしてワイルドなアイブロウが生命感を感じさせて。また、大きくカールさせた髪をゆるやかにおろし、リッチなフォルムとツヤを出したヘアスタイルで、往年のハリウッド女優のようなクラシカルな美を呼んでいた。
昨年コメディシリーズ部門の主演女優賞に輝き、今年も同部門に再びノミネートされていたレイチェル・ブロズナハン。昨年はホワイトシャドウ×レッドリップのあでやかな紅白メイクだったが、今年は一転、白とネイビーのグラデーションアイズにコーラルピンクのリップを合わせ、目もとにアクセントを置き、クールに仕上げた。高めの位置でまとめた旬度満点のエフォートレスなポニーテールを合わせ、一段と洗練されたオーラを印象づけた。
姉のキム・カーダシアンとともに登場したケンダル・ジェンナーは、持ち前のエキゾチックな美貌を最大限にいかしたメイクを実践。ブラウンのシャドウで囲んだ目もとは、目尻から跳ね上げたキャットラインとアイホールからのラインを繋げたダブルアイラインで、意思のある眼差しを強調。さらに、眉尻を少し上げ気味に描いたストレート眉、ややオーバーライン気味に縁取ったリップとともにタフさを加えていた。センター分けでひっつめたシニヨンヘアが、シャープな表情を一層際立てて。
Text: Rie Maesaka Editor: Rieko Kosai