今年9月に上梓されたデミ・ムーア初の自伝『Inside Out』はタイトル通り、これまでの半生を洗いざらい告白する内容で、実母との確執や元夫ブルース・ウィリス、アシュトン・カッチャーとの結婚生活についても衝撃的な実態が明かされている。80年代に青春映画のスターとしてブレイクした彼女は、『ゴースト ニューヨークの幻』(90)、『ア・フュー・グッドメン』(92)など数々の大ヒット作に出演し、ストリッパーを演じた1996年の主演作『素顔のままで』では当時女優のギャラとして最高額(1250万ドル)を手にした。その後、娘3人をもうけたブルースと離婚した2000年あたりからキャリアが低迷し、2005年に15歳下のアシュトン・カッチャーと3度目の結婚をした頃からは、私生活ばかりが取り沙汰されるようになっていた。
離婚原因の一つがアシュトンの度重なる浮気だったわけだが、そんな別れまでの内幕をデミは自著で赤裸々に綴っている。交際期間中にアシュトンの子どもを流産したこと、彼からの提案でもう1人の女性を交えて3人で性行為をしたこと、彼の浮気をグーグルアラートによって知ったことなどを暴露。アシュトンをつなぎとめるために心身ともに疲弊し、処方箋鎮痛薬に依存していたことも激白している。結婚当初、大女優と20代の若手俳優との格差婚と見なされたが、ビジネスの才覚があるアシュトンは次々に投資で成功し、いつの間にか立場は逆転。その結果、夫妻の莫大な財産分与をめぐる泥沼の離婚裁判に発展した。
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だが、それ以上に同著で衝撃的だったのは、母親との関係だ。デミの両親は彼女が生まれる前に離婚し、母親はその後に再婚した相手ともどもアルコール中毒だったという。自殺を図った母親を助けようと口に手を突っ込んで薬を吐かせた幼少期や、15歳の時にその母に500ドルで売られてレイプされた壮絶な体験を打ち明けている。16歳で家を出て以来、母とは疎遠だったが、自身も母親になっていた30代に和解に至ったそうだ。出版契約から9年もかけて完成させた『Inside Out』は98年に亡くなった母と、三人の娘たちに捧げられている。
Text: Yuki Tominaga