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名門テーラーの技が光る『キングスマン』。【スーツ姿に見惚れる映画vol.1】

『ロケットマン』(2019)で稀代のパフォーマー、エルトン・ジョンを熱演したタロン・エガートンの出世作といえば、『キングスマン』(2014)だ。高級テーラーが重要な役割を占める同作をはじめ、スーツ姿がカッコイイ映画は数多くある。今週は由緒あるシリーズから、デザイナーとのコラボレーションで新しい時代を作った名作まで、アイコニックな装いとともに振り返る。

『キングスマン』(2014)でエグジー(タロン・エガートン)は、無職から新スパイ候補としてすっかり生まれ変わる。Photo: Collection Christophel/AFLO

『ロケットマン』(2019)で奇抜なステージ衣裳の数々を着こなしたタロン・エガートンが、初めて脚光を浴びたのがスパイ・アクション映画『キングスマン』(2014)だ。どの国にも属さないスパイ組織「キングスマン」の新米エグジーを演じ、コリン・ファース扮する先輩スパイのハリーともども、紳士然としたスーツ姿で強敵と戦う。

コリン・ファース演じるハリー・ハートは、普段は高級テイラーの仕立て職人で、秘密裏に活動する国際諜報機関のスパイ。Photo: PictureLux/AFLO

「スーツは現代紳士の鎧」を理念に、知力体力のみならずスタイル追究にも余念なし。基本はクラシックな英国スタイルであるダブルのスーツ。スリムフィットの6つボタン2つ掛けスタイルで、パンツはスキニーまで行きすぎない程度の細身。色はグレー中心のダークカラーでシャツは白、ネクタイはネイビーかダークレッドという正統派だ。

組織の拠点は高級テーラー「キングスマン」内にあり、同店の仕立て職人という表の顔を持つハリーの代表的な1着はミッドグレーのピンストライプのスーツで、生地はドーメル(DORMEUIL)製。白シャツにネイビーのストライプのタイを合わせ、白のポケットチーフをのぞかせる。

テーラー「キングスマン」でエグジーとハリーは世界規模のテロ計画を進めるIT富豪、リッチモンド・ヴァレンタイン (サミュエル・L・ジャクソン)と対面する。Photo: PictureLux/AFLO

ストリートの不良だったエグジーはハリーの指南でどんどん垢抜け、ストライプのスーツにレジメンタル・タイが似合う紳士に成長。第2作『キングスマン ゴールデンサークル』(2017)では、オレンジのベルベットジャケットという難易度高めのスタイルも難なく着こなした。

『キングスマン ゴールデンサークル』(2017)で一人前のスパイとなったエグジーは、スーツ姿も様になっている。Photo: Everett Collection/AFLO

ちなみにテーラー「キングスマン」は、サヴィル・ロウに実在する1849年開業のロイヤル・ワラント(王室御用達)「ハンツマン(HUNTSMAN)」がモデル。マシュー・ヴォーン監督が18歳の時、初めてスーツを作った馴染み深い名店で、劇中に外観や店内も「キングスマン」店舗として登場する。

Text: Yuki Tominaga