数えきれないほどの快挙を成し遂げてきたグローバルスター、ジェニー。2016年にデビューしたBLACKPINKは、従来のアイドル像とは一線を画す力強いサウンドと圧倒的なカリスマ性、そして媚びないアティテュードを武器に、世界中が熱狂するガールズグループとしての地位を確立した。
「キャリアの中で一番よかったことは、BLACKPINKとしてデビューできたこと。そして、メンバーとともに頑張ってここまでこられたこと」。そう語るジェニーの一番好きな楽曲は今でも、デビュー曲のひとつである「WHISTLE」だ。「一番愛着がありますし、当時の私たちにしか出せないフレッシュな自信に満ちたところが好きです」
2018年にはメンバーの中でいち早くソロデビューを果たし、ソロデビュー曲「SOLO」のMVは9億回以上の再生回数を記録。「グループのときとは違う“ジェニー”というソロアーティストのカラーが入っています。曲、振り付け、ステージ、衣装、すべてにおいて私の意見や好みが細かく反映された、思い入れが深い曲を、たくさんの人に聴いてもらえてうれしいです」
BLACKPINKはパンデミックを経て、2022年10月から2度目のワールドツアー真っ最中だ。「前回と比べ、さらに歌やステージが多彩になったので、より楽しさを感じてもらえていると思います。久々にBLINK（BLACKPINKのファンダム名）に直接会える機会。メンバーもBLINKも、みんなエネルギーが爆発しているように感じています。ライブのアンコールではメンバーやダンサーと一緒にジャンプしてふざけ合うのですが、ステージ上にいても、友達と一緒に踊ったりジャンプしているような感覚になるんです」
日本では、4月に東京ドームで公演し、6月に京セラドームで2日間のライブを予定している。「日本のBLINKに会うのは本当に久しぶりなので楽しみです！ 有意義で楽しい時間を一緒につくりたいです」
今年の4月には、初出演した2019年以来2度目となる、コーチェラ・フェスティバルに4年ぶりに帰還。今回はアジアのガールズグループ初のヘッドライナーとして出演し、圧巻のステージを披露した。本番前のインタビューでは、「これまでのキャリアで起こったすべての瞬間が私にとっては大切ですが、2019年にコーチェラのステージに立ったことと、今現在ワールドツアーを回り、長い間会えなかった世界各国のBLINKたちと会えた瞬間が特に印象的です。前回のコーチェラから4年経ちますが、過ぎた時間の分、私たちは成長し、成熟したと思います。BLACKPINKの成長にご期待ください」と、意気込みを語った。
膨大な数のオーディエンスが歴史的なパフォーマンスを目撃しようとステージに詰め掛ける中、ジェニーは気迫みなぎる歌とダンスを見せながらも、頻繁に笑顔を浮かべ、とにかく楽しそうだった。「私は好奇心旺盛な性格のためか、新しいことに挑戦することにあまり抵抗がありません。また、好き嫌いがはっきりしているので、自分に合うものと必要なものを簡単に見つけられます。グループで音楽活動をしている中でも自分だけの個性を見つけるためにたくさんのチャレンジをしています。いろんなジャンルの音楽に挑戦したり、多くの人と出会い話し合いながら、“自分を表現する音楽とはどういうものなのか”を常に探しています。これまでもらったアドバイスの中で最も印象に残っているのは、“誰よりも自分自身を信じて頑張れば、どんな形でも良い結果が生み出せる”ということ。これからアーティストを目指す人にアドバイスするとしたら、“自分の決めた道に自信を持ち、その夢を必ず叶えるという信念を持って頑張ることが大事”だと伝えたいです」
夢のひとつであったコーチェラのヘッドライナーを最高のパフォーマンスで飾った。幼い頃から音楽が好きで、音楽の仕事に就くために留学先のニュージーランドから韓国に帰国したというバックストーリーはよく知られるところだが、最近のヘビーローテーションはSZAの最新アルバム『SOS』。「いつか一緒に仕事をしたい」と新たな夢を明かす。
ワールドツアーは8月まで。目まぐるしく世界中を旅する日々が続く。「ツアー中、メンバーと一緒にアムステルダムで過ごした時間は特に思い出深かったです。いつか行ってみたい場所はアフリカ。好きな動物を見たり、素晴らしい自然を感じてみたい。あまりなじみのない場所に行くときは、できるだけ自分の家や部屋と同じような空間をつくるよう心がけています。普段から愛用している枕やパジャマや、心地よい気分にしてくれるアロマオイルを持って行きます。機内には枕とアイマスクとiPadを持ち込みます。機内でたまに眠れないときがあって、そのためにiPadに面白い動画をいくつか保存しています」
8000万人近いインスタグラムのフォロワーを持ち、ライフスタイルにも多くの注目が集まる。「ステージ上のジェニーはカリスマ性がありパワフルですが、ステージを降りれば私はどこにでもいるシャイな女の子」だと、自身のことを評する。クリスタルを集めることが好きで、眺めたり触っているだけで癒されると言い、最もリラックスできる時間は「休みの日にベッドで横になって何も考えずにいる時。寝る前には、自然や宇宙にまつわるASMRを聴くとよく眠れます」。ちなみに、お気に入りの絵文字は「ハートとLOLの絵文字」。
シャネル（CHANEL）のグローバル アンバサダーを務め、「存在そのものがブランド」と言われる彼女のファッションは、常に話題に。好きなテイストは「ナチュラルでカジュアルなスタイル」だと教えてくれた。
自身の性格を「好奇心旺盛／細部までこだわる完璧主義者／大胆」と分析する。最も影響を受けた人物は母親だという。「人生に対する考え方からファッションセンスに至るまで、さまざまなことにおいて母から影響を受けました。今でもよくアドバイスをもらい、私が一番賢明な決断ができるように助けてもらっています」
幾多の困難を乗り越え、K-POPのカテゴリーもガールズグループのカテゴリーも超え、多くが認めるアイコンとなった。「自分の意見や考えをはっきり持っている人が“アイコン”と呼ばれるのだと思います。誰もが納得する答えを口にしたり、周囲が喜ぶような行動を取るのではなく、自分自身の目線や視点を持った上で、人々にプレゼンテーションをする力があることが大切だと考えています。逆境を乗り越えることは困難なプロセスですが、ポジティブな考えを持つことが最も重要。ポジティブな思考でマインドをコントロールすれば、やる気と集中力を維持することができ、解決策を見つけることができるはずです。そして、健康な精神は健康な体に宿ります。よく休み、よく食べ、よく運動すれば体も心も健康になります。特に忙しいカムバックの時期は与えられた時間の中でできるだけよく眠れるように、快適で静かな環境をつくるように心がけています」
今は、残りのワールドツアーを問題なく終えることを一番に考えたいという。持ち前のポジティビティと好奇心、そして冒険心でもって、これからも唯一無二の魅力を更新し続けてくれることだろう。
Profile
JENNIE／ジェニー
1996年1月16日生まれ。2016年8月、1stシングル「SQUARE ONE」でBLACKPINKのメンバーとしてデビュー。メインラッパーとリードボーカルを務める。2019年リリースの2ndミニアルバム「KILLTHIS LOVE」はアメリカのiTunesチャートで1位を獲得。2023年4月、コーチェラ・フェスティバルでK-POPアーティストならびにガールズグループとして初めてヘッドライナーを務め、7月には「BST Hyde Park」のヘッドライナーを務める予定で、イギリスとアメリカの二大音楽都市のフェスに同年に招待された唯一のK-POPアーティストとなった。2021年に開設した個人のYouTubeチャンネルも絶大な人気を誇る。
Styled by Min Hee Park Hair: Il Joong Lee Makeup: Joyeon Won Manicure: Eun Kyung Park Set Design: Da:rak Production: Changsoo Park at Like Studio Artist & Creative Communication: Lee Kyung Kim at BL Creative House Interview Text: Kaori Komatsu Art Direction: Tomoyuki Yonezu