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『E.T.』で世界を魅了。ドリュー・バリモアがハリウッドに愛される理由。

生後11カ月でCMデビューを果たし、7歳にして映画『E.T.』で世界を虜にしたドリュー・バリモア。今やすっかり良きママとなり、女優、プロデューサー、実業家などさまざまな顔を持つ彼女のワイルド時代を含む45年間の半生を振り返ってみよう。
Drew Barrymore smiles with her two front teeth missing. Ca. 1982.
Photo: LGI Stock/Corbis/VCG via Getty Images

『E.T.』の大ヒットが生んだ悲劇。ドラッグとアルコール中毒の日々と母親との関係

とにかく愛らしかったドリューは『E.T.』撮影当時まだ7歳になっておらず、幼さが残っていた。Photo: Everett Collection/amanaimages

今やすっかりハッピーでポジティブな人の代表となっているドリュー・バリモアだが、映画『E.T.』(1982)の大ヒットで7歳にしてスターになってしまった彼女は、13歳にリハビリ入所するほどドラッグとアルコールに溺れていた過去がある。俳優一家に生まれた彼女にとってハリウッドは、一番身近な場所で学校のような場だった。さらに本当の学校ではスターになったことでいじめにあい不登校に。そんな8歳の彼女に母ジャイドは「学校に行っていじめられるのと、『スタジオ54(NYに実在した伝説のディスコ)』に行くのとどっちがいい?」と、夜遊びに連れ出していたのだ。

Netflix配信の「ノーム・マクドナルド・ライブ」でドリューは、母親との関係を親子ではなく、友人のようなものだったと語っている。そしてその後はクラブ遊びにハマって飲酒や喫煙を始め、12歳でコカイン中毒に陥り、13歳で2度もリハビリ入所。14歳では自伝を執筆中に大麻に手を出し、自殺未遂まで起こしている。結局ドリューは自身をダメにした母親との関係を解消するために、15歳で母からの独立を求めた裁判を起こして勝訴。

1982年、『E.T.』の大ヒットで瞬く間にスターとなったドリューと母ジャイド・バリモア。Photo: Yvonne Hemsey/Getty Images

「バカにだけはなりたくなかった」と学校へは行かずとも本を読み漁り、アルバイトをしながら数々のオーディションを受けて女優業への復帰を目指した。そんなドリューだが、45歳の今は一度捨てた母親との関係も修復。「すべての出会いが成長のチャンスだと思って生きている」と前向きに語っている。また日常でお酒を飲んで気持ちよく酔っぱらうことはあるけれど、ドラッグには手を出していないと宣言している。

スキャンダラスな結婚&離婚を経て、現在はシングルを謳歌中⁉

最初の夫ジェレミー・トーマスと。Photo: Time Life Pictures/DMI/The LIFE Picture Collection via Getty Images

14歳のころにクリスチャン・ベールを1度のデートでふったことがあるドリューの恋愛遍歴は、実に華やかかつスキャンダラス。10代のときに交際した相手だけでも、コリー・フェルドマン、バルサザール・ゲッティ、デイビッド・アークエットほか多数の名前があがるほどだ。さらに10代最後の年には、LAでバーを経営していた当時32歳のジェレミー・トーマスと、わずか1カ月半の交際で結婚。しかも、占い専門の電話ダイヤルで聖職者を雇い、彼の所有するバー「The Room」で式を挙げた。しかし、大方の予想通り勢いとノリでした結婚はわずか19日しか続かず破局。

2番目の夫トム・グリーンと『チャーリーズ・エンジェル』のロンドンプレミアへ。Photo: UK Press/Liaison

離婚後はエドワード・ノートン、ルーク・ウィルソン、『E.T.』で主役を演じたヘンリー・トーマスとの交際を経て、2001年にはコメディアンのトム・グリーンと再婚するも、こちらも5カ月で離婚申請。シングルに戻った彼女は石油王の息子で知られるブランドン・デイヴィス、サム・ロックウェル、ザ・ストロークスのドラマーのファブリツィオ・モレッティ、スパイク・ジョーンズ、ジャスティン・ロングなどと交際を続けた。フリースピリットの持ち主だからなのか、恋愛中は交際相手を隠したりせず、ツーショットで平気で人前に出るため、年中パパラッチに撮影をされていた。

3番目の夫なったウィル・コペルマンとは子育てに関する意見の食い違いが、離婚の最大の原因だったとか。Photo: George Pimentel/WireImage

そんな彼女が41歳で3度目の結婚相手に選んだのは、美術コンサルタントのウィル・コペルマン。彼との間に2人の女の子をもうけて母となったが、2016年に3年の結婚生活に終止符を打った。現在は「もう2度と結婚をしない」宣言をしているドリューだけど、恋には大らかなようで、離婚後も自身が経営するコスメブランドのプロダクト生産を行っているマエサ・グループの副社長デビッド・ハッチェンソンと噂にもなっている。

いまだに語られるワイルド・キッド時代。大物司会者に大胆胸見せ事件!

生放送中にレターマンの机の上でダンスを始めたドリュー。この後、とんでもない行動に出てしまう。Photo: Alan Singer/CBS via Getty Images

1995年の4月、ドリューはその後も永遠に語り継がれある事件を起こしてしまう。それは、大御所司会者デヴィッド・レターマンのトーク番組に出演したときの出来事。20歳になったばかりの彼女は友人とクラブに出かける演出という設定で、お立ち台に立って服を脱ぎ、全裸ダンスをしたというエピソードを披露する。その話の流れで調子づいた彼女はレターマンの机に上がり、セクシーなダンスを始める。そしてダンスの仕上げに着ていたセーターをまくり上げ、レターマンに向かって胸を露わにしたのだ。「あなたのお誕生日だったから見せたのよ。そうじゃなかったらやらなかったわ」とその理由を語ったが、スタジオの盛り上がりとは裏腹にレターマンは困惑顔。

ドリューは事件があった1995年の1月には、『プレイボーイ』誌でヌードを披露している。また『ボディ・ヒート』(9192)、『ドッペルゲンガー/増悪の化身』(1993)、『バッド・ガールズ』(1994)『ボーイズ・オン・ザ・サイド』(1995)など、この頃の出演作のほとんどでトップレスになることを辞さないでいたので、服を脱ぐことにまったく抵抗がなかったのだろう。

実業家へ華麗なる転身

2004年、ドリューがハリウッドの星にその名を刻んだウォーク・オブ・フェイムの式典にはナンシー・ジュヴォネンが祝福に駆けつけた。Photo: Gregg DeGuire/WireImage

女優だけでなく映画制作プロダクションのフラワー・フィルムズ(Flower Flims)、ワインブランドのバリモア・ワインズ(Barrymore Wines)、化粧品ブランドのフラワー・ビューティー(Flower Beauty)と、実業家としても幅広く活躍しているドリュー。最初にスタートしたのは1995年にナンシー・ジュヴォネン(トーク番組のホストでコメディアンのジミー・ファロンの妻)と設立したフラワー・フィルムズ。自身が主演する1999年の大ヒット映画『25年目のキス』をはじめ、『チャーリーズ・エンジェル』シリーズ、『ドニー・ダーコ』(2001)、『そんな彼なら捨てちゃえば』(2009)など、ヒット作を次々と手がけ、最近ではNetflix配信のゾンビコメディ『サンタクラリータ・ダイエット』、そして自身のトーク番組「The Drew Barrymore Show(原題)」もプロデュースしている。

2010年には「自分の日常で好きなことを事業に取り入れたい」とワインビジネスのバリモア・ワインズをスタート。映画制作会社の同僚の家族がイタリアでワイン製造を行っていた縁から、北イタリア産のブドウ、ピノ・グリージョを使用した白ワインを生産&販売。最近ではライナップにロゼなども追加されている(ただし、現在は販売を一時ストップしている様子)。

2017年、ウォルマートに並ぶフラワー・ビューティーのコスメの前で。Photo: Wesley Hitt/Getty Images

2013年には動物実験などを行わないクルエルティフリーのコスメブランド、フラワー・ビューティーを設立。高品質なアイテムを手に取りやすいプライスで提供したいと、アメリカのスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」で販売をスタートし、チューブ入りのチーク(Blush Bomb Color Drops for Cheeks)は昨年、雑誌やウェブメディア主催のビューティーアワードで数々の賞を受賞している。

さらに昨年は「ウォルマート」とのタッグを広げ、ドリュー・バリモア・フラワー・ホーム(Drew Barrymore Flower Home)と名付けられた、ホームラインのコレクションも展開。家具はもちろん、カーテン、テキスタイル、壁紙、食器、ランプなど約200点にも及ぶプロダクトをプロデュースしている。

起業は簡単だが、存続させるのは至難の業といわれている現代のビジネス環境において、順調に利益を生み出している点からも分かるように(ワインビジネスは休業中のようだが)、ドリューはどんな状況においてもお金を稼ぐ才能に恵まれているのだろう。

最新プロジェクトは朝のトークショウホスト!

トーク番組の放送初日、NYのエンパイア・ステート・ビルディングで記念撮影を行った。Photo: Dimitrios Kambouris/Getty Images

この9月14日(現地時間)からドリューがホストを務めるトーク番組「The Drew Barrymore Show(原題)」が、米CBS(各州のTV局にて分散放送)でスタートした。視聴する州によりオンエアの時間や局は異なるが、メインとなるのはNYの朝9時。トークショウに誰も生出演できなくなったコロナ禍だからこそクリエイティブにならなくてはいけないと、現代のあらゆるテクニックを駆使した映像作りと、ドリューのポジティブなアイデアやトークが詰まった内容になっている。

特に話題をさらったのは、初回の『チャーリーズ・エンジェル』シリーズで大親友となったキャメロン・ディアスルーシー・リュウをスタジオに招いてのリユニオン。20代の頃から友情を育んだ3人はかつて、恋愛にも仕事にも貪欲で、アグレッシブな印象が強かったが、40代に入った今ではキャメロンは女優業を引退し子育てに奮闘中。ルーシーとドリューはシングルマザーとして子育てを行っているため、話題は必然的にママトークに。思い出話に花を咲かせつつ、大人になり地に足のついた彼女たちの姿に視聴者たちは歓喜した。

ところが、3人がそろってNYのスタジオで収録をしていると思いきや、実はキャメロンだけLAからヴァーチャル出演していることが判明。あまりの映像技術のクオリティに多くの人がキツネにつままれた気分になっただろう。番組ではほかにもニュースコーナーなどがあり、一般の人などもヴァーチャル出演。これからのショーはこうして作られるというお手本のような番組に。今後の展開に注目だ。

Text: Rieko Shibazaki

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