母であるシンディ・クロフォードから、同じ175cmの身長に長い手足、美しい顔立ち、意思の強そうな凛々しい眉、シルキーで柔らかなブルネットヘア……と、数々のギフトを受け継いだカイア・ガーバー。2020-21年秋冬シーズンもほとんどすべてのラグジュアリーブランドのランウェイを制し、今やファッション界に無くてはならない存在となった。
そんな彼女の独自の魅力といえば、どんなスタイルもハマりやすいピュアさだろう。デザイナーにとってブランドの世界観を表現するモデルは、ブランドのカラーに“染まりやすい素材”であるかも重要だ。その点カイアは、母譲りの圧倒的な美しさをもちながら、どんなルックも軽々と着こなし、昇華させてしまう無垢さも併せ持っている。シンディは、29歳でフォーブス誌のモデル長者番付のトップとなり名実ともにスーパーモデルの頂点となった。現在18歳のカイア、さらなる進化が期待できそうだ。
2017年に「バーバリー ビューティー」の広告塔に起用され、華々しいモデルデビューを飾ったアイリス・ロウ。母であるサディ・フロストからは知的で聡明な雰囲気を、父のジュード・ロウからはブルーの瞳が美しい端正な顔立ちを受け継ぎ、ファッション界でも存在感を強めている。身長163cmとモデルとしては小柄ながら、それが逆に彼女の可憐さを強める要因なのかも。セクシーなメイクも、ベースにあるチャーミングな魅力によって嫌味なく映え、アイリス独自の美に変えてしまう。
サディとジュードは彼女が3歳のときに離婚したものの、父親とは良好な関係を続けているとか。ジュードと一緒に野球観戦する当時11歳のアイリスの姿には、今に通じる可愛さがあふれている。
ユマ・サーマンを母に、イーサン・ホークを父にもつ、エンタメ界のサラブレットであるマヤ・ホーク。ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3に新キャストとして加わり、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)ではフラワーチャイルド役として出演。さらに昨年は人気シンガーソングライター、ジェシー・ハリスのプロデュースで歌手デビューも果たすなど、多彩な分野で活躍している。
彼女の透明感のある美貌は、美形の両親からバランスよく受け継いだもの。特に目鼻立ちや凛とした眼差しは、ユマの遺伝子を強く受けているようだ。それに加え、どこかとらえどころのない雰囲気がマヤ独自のアンニュイな世界観を生み出している。母娘の輝きの種類は違えども、揺るぎないビューティーDNAは多くの人々を惹きつけている。
ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディを両親にもつリリー・ローズ・デップは、セレブ界でも指折りの美の遺伝子の持ち主。ジョニーからは高い頬骨と強い眼差しを、ヴァネッサからは黄金バランスの顔立ちと小鹿のような華奢な骨格を引き継ぎ、スクリーンで映えるスター性を生まれながらにして備えている。
昨年の母の日には、リリーが若かりし頃のヴァネッサの写真をインスタにアップし、表情の作り方まで母娘そっくりなのが話題になったのも記憶に新しい。そんなリリーのオリジナリティを挙げるなら、ほのかに漂うアバンギャルドさだろう。それが美しさの中に毒気を孕み、近づくと危険、だけど気にせずにはいられない魅力を漂わせている。かつてハリウッドの反逆児といわれたジョニーのDNAがそうさせているというのも一理あり。彼女の危険な美しさが歳を重ねるにつれどう成熟していくのか楽しみだ。
フレンチシックを体現するモデル兼デザイナーのイネス・ド・ラ・フレサンジュを母にもつヴィオレット・ドゥルソ。「シャネル」2016年春夏プレコレクションのキャンペーンビジュアルに起用されブレイクした彼女は、母親に似た整った顔立ちとイノセントな魅力を武器に、トップモデルの階段を駆け上がっている。飾りたてても隠せないエフォートレスさは、さすがイネス譲り。素材が良いだけにメイクはあくまで軽く、素顔を生かすのがガーリーな彼女に似合っている。身長180cmのパーフェクトボディも母から遺伝したもの。休日にはエクササイズ代わりに愛犬を連れてパリの街をひたすら歩くというイネスのように、自然体なライフスタイルの中でボディメイクを叶えているのかも。
母親に瓜二つと話題を呼んでいるのが、リース・ウィザースプーンとライアン・フィリップを両親にもつアヴァ・フィリップ。リースから受け継いだ”キューティブロンド”なルックスに加え、まだあどけなさの残る笑顔は、スター女優の母の隣にいても負けない輝きを放っている。「ロダルテ」2018年秋コレクションのルックブックや母リースのブランド「ドレーパージェームス」でモデル業を経験しながら、名門カリフォルニア大学バークレー校に進学し、パリのデビュタント・ボールで社交界デビューも果たした彼女。生粋のお嬢さまならではの経歴をもつ彼女が今後どのような道に進むか、無限の可能性が広がっている。
90年代に一世を風靡したR&Bシンガー、ローリン・ヒルを母に、レゲエ界のレジェンド、ボブ・マーリーの息子であり元アメフト選手のローハン・マーリーを父にもつセラ・マーリー。母から受け継いだ小さな顔に大きな瞳、ふっくらとした唇をもつ彼女は、均整の取れたプロポーションでモデルとして「シャネル」や「カルバン・クライン」などのランウェイを歩いてきた。身長160cmとモデル界ではかなりの小柄ながら、それをものともしない個性は無二の存在感。「ケンゾー」2020年春夏ショーのフロントロウでも、美しいブロンズ色の肌で鮮やかなオレンジ色のウェアを着こなし、そのヒップな美しさに多くの人々が目を奪われた。2017年には歌手デビューも果たしているから、今後は母や祖父を彷彿させる歌声でファンのハートを掴むはず。
ジュリアン・ムーアと映画監督のバート・フレインドリッチの間に生まれたリブ・フレインドリッチも、今後の活躍が期待される二世。母親譲りの赤毛と抜けるような白肌、グリーンの瞳、ほどよく主張する濃いナチュラルな太眉をもつ彼女は、幼い頃より美少女と評判を集めてきた。「ボッテガ ヴェネタ」の2018-19年秋冬ショーのフロントロウでキャッチされた親娘の2ショットでも、飾らない自然体な魅力で注目の的に。3歳の時にバートが監督し、ジュリアンが主演した映画『NOセックス、NOライフ!』で映画デビューを果たしているだけに、この先本格的に女優活動を開始するのは時間の問題。さまざまな役柄で多彩な美しさを見せてくれることだろう。
Text: Rie Maesaka Editor: Rieko Kosai