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Happy Birthday ナオミ・キャンベル! 50歳になったナオミが教える8つの人生訓。

5月22日に50歳の誕生日を迎えたナオミ・キャンベル。この新型コロナウイルスによるパンデミックの中、彼女は自身のYouTubeシリーズ「No Filter」に親交の深いクリエーターたちをゲストに招き、モデル人生で学んださまざまな教訓を惜しみなくシェアしている。35年間も第一線で活躍し続けてきた彼女から、私たちが学ぶべきこととは?
Photo: Vittorio Zunino Celotto/Getty Images

ファッション界でナオミ・キャンベルほど長く、輝かしいキャリアに恵まれている人間はほとんどいない。元祖スーパーモデルのひとりに数えられる彼女は、1988年の仏版『VOGUE』を皮切りに、世界の『VOGUE』で60回以上表紙を飾ってきた。有色人種モデルの先駆的存在であり、もはや伝説のモデルだ。2019年には、ザ・ファッション・アワードでファッションアイコン賞の栄誉にも輝いている。

現在、ニューヨークの邸宅で隔離生活を送るナオミは、4月6日に開始した「No Filter」というYouTubeシリーズで自身の並外れた人生を率直に振り返っている。ゲスト陣は、スーパーモデル仲間のシンディ・クロフォードクリスティ・ターリントン、US版『VOGUE』編集長のアナ・ウィンターマーク・ジェイコブスヴァレンティノ(VALENTINO)ピエールパオロ・ピッチョーリアシュリー・グラハムニコール・リッチーなどといった、錚々たる顔ぶれだ。

これまでナオミが「No Filter」でオープンに打ち明けた人生の教訓を、ここでシェアしよう。

1. 家族は自分で選ぶことができる。

長年ナオミは、ファッション業界の内外で有意義な関係をたくさん築いてきた。彼女はそれを「選ばれたファミリー」と呼ぶ。今は亡きデザイナー、アズディン・アライアとは父娘のような関係を築き、南アフリカで初めて民主的に選ばれた大統領のネルソン・マンデラを「おじいちゃん」と慕う。あるいはモデルのアドゥ・アケチは、彼女にとって「かわいい娘」だ。「(アドゥを)見つけるために世界中を探した」とまで言っている。

マーク・ジェイコブスは同チャンネルで、ナオミの「選ばれたファミリー」についてこうコメントしている。

「僕は君のような『選ばれた家族』がいないから、その考え方にとても興味があるよ。君たちには、確かに家族のようなつながりがある。かといって、毎日顔を合わせなければならないわけではなく、必要なときに姿を見せて、そばにいるべきタイミングを理解しあっている。すごく素敵だと思う」

2. 「史上初」の存在となることを恐れない。

2016年にプラスサイズ・モデルとして初めて『スポーツ・イラストレイティッド』誌の表紙を飾ったアシュリー・グラハムがゲスト出演した際、ナオミは、アシュリーの勇気を称えながら、自身が黒人モデルとして初めて仏版『VOGUE』の表紙を飾った経験を重ね合わせた。

仏版『VOGUE』に次いで、翌1999年にUS版のカバーモデルにも抜擢されたナオミ(ここでも初の黒人モデルだった)。しかもそれは、アナ・ウィンターが編集長として初めて手がける9月号(年間を通じて最も大事な号)だった。アナは当時の決断を振り返り、たとえ上層部が疑問視しようとも、断じて折れなかったと話している。

「私は純粋に、『まさに旬のモデル。素晴らしいカバーになる』と思っただけ。そして私たちは歴史をつくった。ナオミ、ありがとう」

3. アスリート並みの努力を惜しまない。

モデルの仕事の難しさを、その華やかな表層から窺い知るのは難しい。ときには、維持するのが大変なポーズを何時間も求められることもある。ナオミはこうした過酷な撮影を回想し、「フォトグラファーによっては撮影後にマッサージが必要になるわ」と笑った。これに共感したのは、同じ時代を駆け抜けた盟友シンディ・クロフォードだ。

「(90年代に)付き合いのあった理学療法士は『これまで考えたこともなかったけど、モデル業は実はアスリートみたいなもの』と言っていた。フォトグラファーのアーヴィング・ペンやリチャード・アヴェドンとの撮影から、多くを学んだわ。自分ではなく服をいかに美しく見せるかという技術をね」

4. 進んで新しい才能を支援する。

前出のペンやアヴェドン、それにハーブ・リッツやピーター・リンドバーグといった伝説的フォトグラファーとの撮影を懐かしむ一方、ナオミは自身のプラットフォームを使って、気鋭フォトグラファーのキャンベル・アディ(Campbell Addy)やタイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)、そしてナイジェリア人デザイナーのケネス・イゼ(Kenneth Ize)といった若き才能を積極支援している。

「パリで参加したショーは、ケネスだけ。次の日には現地を発っていたわ」

ちなみに、これまで数え切れないほどのショーに出演してきたナオミだが、人生で2度だけ、ランウェイ上で泣いたことがあるそうだ。そのひとつが、ピエールパオロ・ピッチョーリが手がけるヴァレンティノの2019年春夏オートクチュールコレクションだった。彼女は、ピッチョーリとの会話の中で、「デザインの美しさのみならず、多様なキャスティングにも感銘を受けた」と語っている。

5. 全力でパーティーを楽しもう。

ジェットセッターのスーパーモデルたちは、世界で最も華やかなパーティーの常連だが、ナオミはとくに思い出深い瞬間として、ピッチョーリと出席した2019年のメットガラや、2002年にモロッコで開催されたショーン・“ディディ”・コムズの33歳の誕生日パーティーを挙げた。

ディディは、会場のあるマラケシュへのフライトを「伝説的なパーティーのひとつだった。ボーイング767は無法地帯と化し(笑)、親しい友人たちと空の上で盛り上がったんだ」と回想している。

6. 自分を慈しむ時間を忘れずに。

ナオミはインスタグラムで、日々のエクササイズの様子をライブ配信している。これについて彼女は、テニスの元女王であるビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹との会話の中で、「私自身の心のためにやる必要があるの」と語っている。

夜には、バスタブにハンドメイドの入浴剤を入れるのが習慣化しているというナオミ。とくにお気に入りのレシピは、「ラベンダーの香りのエプソムソルトとコッシャーソルト、それにリンゴサイダー酢を1カップ」だとか。

7. 困難な時こそ友人を支えよう。

競争の激しい世界に身を置く者にとって、友人は何にも代えがたい存在だ。ナオミはクリスティ・ターリントンに、まだデビューしたての頃を思い返しながら感謝を込めてこう語った。

「あなたは私のことをスティーブン・マイゼルに話してくれたし、ジャンニ・ヴェルサーチェにも紹介してくれた。自ら先頭に立って、『彼女を黒人モデルとして採用しないなら、私たちも参加しない』とデザイナーたちに訴え続けてくれたわ」

一方、映画監督のリー・ダニエルズは、人生の困難な局面でいかにナオミに助けられたかを打ち明けた。

「君のおかげで僕は薬物中毒を克服し、立ち直ることができた。僕もたくさん努力をしたけれど、後押ししてくれたのは君だ」

8. 自ら進んで行動せよ!

ナオミもゲストも、前向きな変化のために前に進み続けている。アナ・ウィンターは、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けたファッション業界を支援するため、『VOGUE』とCFDA(米国ファッション協議会)が共同で立ち上げたプロジェクト「A Common Thread」を率いているし、ディディは、NY州ブロンクスに新たなチャータースクールを開校するために100万ドル(約1.1億円)の出資を決めた。クリスティ・ターリントンは母親の健康のための非営利組織「Every Mother Counts」を運営し、元難民のアドゥ・アケチはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で活動している。そしてナオミ自身も、環境問題や人道的支援のためのチャリティ団体「Fashion For Relief」のスポークスウーマンを務めている。

Text: Alex Kessler