英国王室のロイヤルベビーには、必ず長い歴史に敬意を示す由緒正しき名前が与えられる。中でも過去に敬愛されてきた君主を由来とする名を譲り受けることが多く、ケンブリッジ公爵夫妻の長男ジョージ王子は、エリザベス女王の亡き父ジョージ6世に由来する。またウィリアム王子の名前の由来は、11世紀のウィリアム1世までさかのぼる。
こうした命名の伝統を誇る英国王室だが、ヘンリー王子とメーガン妃はよりモダンなアプローチで子どもたちを名付けた。サセックス公爵夫妻の長男アーチーのミドルネームのハリソンは、「ハリー(ヘンリーの愛称)の息子」という意味を持つ。また長女のリリベットは、エリザベス女王のニックネームに由来する。ふたりの名前は英国王室にとって新鮮なネーミングだが、英国王室の歴史に敬意を表すという意味では、これまでの伝統をしっかりと受け継いでいる。
そこで、今年9月に誕生したベアトリス王女の第一子、シエナ・エリザベス・マペッリ・モッツィからウィリアム王子まで、イギリス王室メンバーの命名とその由来を総ざらい。流行に左右されることなく、長年の伝統を受け継いだ由緒正しき名の数々をご覧あれ。
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今年9月、ベアトリス王女と実業家のエドアルド・マペッリ・モッツィ夫妻に待望の第一子が誕生した。シエナ・エリザベスと命名され、ベアトリス王女の祖母エリザベス女王への敬意を表している。またシエナはイタリアの名前であり、エドアルドの系譜を大切に思う気持ちが込められている。
今年6月に誕生したサセックス公夫妻の第2子で、長女リリベット・ダイアナ・マウントバッテン=ウィンザー。この名前に込められた深い意味について、夫妻のスポークスパーソンがこのように説明している。「家族からリリベットの愛称で呼ばれた曽祖母の女王にちなんでいます。ミドルネームは、最愛の祖母ダイアナ妃を敬して選ばれました」
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2018年に結婚したユージェニー王女と実業家のジャック・ブルックスバンク。今年2月に長男オーガスト・フィリップ・ホーク・ブルックスバンクが誕生し、その由来について「曾祖父にちなんで命名した」と夫妻は説明した。オーガストは、ビクトリア女王の王配アルバート公の洗礼名であり、フィリップは今年4月に永眠したエディンバラ公への敬意を表している。
サセックス公夫妻の第一子で、2019年に誕生したアーチー・ハリソン。ヘンリー王子とメーガン妃は、古代ギリシャ語の「強さ」と「知恵」を意味するアーチーをファーストネームに選んだ。これまでの英国王室のネーミングに比べると比較的モダンな名前だが、ミドルネームには「ハリーの息子」を意味するハリソンと名づけ、伝統をしっかり継承していることを示した。
2018年に誕生したケンブリッジ公夫妻の第3子で次男のルイ・アーサー・チャールズは、ウィリアム王子が敬愛する曾祖伯父のルイ・マウントバッテン卿にあやかって命名された。またアーサーは、ウィリアム王子のミドルネームでもあり、父から子へと受け継がれている。
2015年に誕生したケンブリッジ公夫妻の長女、シャーロット・エリザベス・ダイアナのファーストネームは、ジョージ3世の妻のシャーロット女王に由来する。また、シャーロット(Charlotte)とは、チャールズ(Charles)の女性名でもある。もちろんミドルネームのエリザベスは現女王陛下、サードネームはウィリアム王子の亡き母ダイアナ元妃への愛慕が伝わってくる。
ケンブリッジ公夫妻の長男で2013年に誕生したジョージ王子の名は、王室にとって非常に意味深いものだ。英国王室史には、これまでに6人のジョージ王が存在し、ジョージ王子が最終的に王位を継承した暁には、ジョージ7世となる。最後にジョージ王を名乗ったのは、エリザベス女王の父ジョージ6世で、彼は在位中に第二次世界大戦を体験し、ストイックかつ堅実な人柄が称賛されていた。アレクサンダー(Alexander)は、歴史上の英国君主名ではないものの、エリザベス女王のミドルネームであるアレクサンドラ(Alexandria)の男性名に相当する。
2007年に誕生し、セヴァーン子爵の儀礼称号を持つウェセックス伯夫妻の第一子、ジェームズ・アレキサンダー・フィリップ・テオ。ジェームズもまた英国王室に深く由来する名前だ。そのはじまりとなったジェームズ1世は、1603年に初めてイングランドとスコットランドの両方の王位に就き、グレートブリテンの初代王となった英国史上の重要人物である。
エリザベス女王の三男エドワード王子(ウェセックス伯爵)と、ソフィー・リース=ジョーンズ(ウェセックス伯爵夫人)の長女ルイーズ・アリス・エリザベス・メアリー。2003年に誕生した彼女のファーストネームは、ヴィクトリア女王の4女から受け継いでいる。またミドルネームのアリスは、ヴィクトリア女王の次女に由来する。
ユージェニー王女の名は、古代ギリシャ語で「高潔さ」を意味する「エウゲニア」に由来する。彼女が誕生した1990年当時、メディアは変わった名前だと報じたが、ヴィクトリア女王の末娘ベアトリスの長女ヴィクトリア・ユージェニー・オブ・バッテンバーグから受け継いだ名で、英国史において深い縁を持つ。
ユージェニー王女の姉で、1988年に誕生したベアトリス王女は、ヴィクトリア女王の末娘から名を受け継いでいる。また、ベアトリス王女の高祖母で国王ジョージ5世の王妃、メアリー・マリー・オブ・テックに由来する。
イギリスでは“ハリー”の愛称で親しまれるヘンリー王子の正式名称は、イギリスの歴代王の名を連ねて構成されている。ファーストネームからサードネームまで、チューダー王朝、スチュアート王朝、そしてウィンザー王朝の順で、それぞれの時代をリードした王から名を受け継いでいる。
チャールズ皇太子とダイアナ元妃の長男で、王位継承順位第2位のウィリアム王子。チャールズ皇太子は当初、英国皇太子となる長男にアーサーというファストネームを与えたいと考えていた。しかし、ダイアナ元妃が堅苦しすぎる名前だと考え、ウィリアムに落ち着いたという逸話がある。11世紀の偉大な王、ウィリアム1世をはじめとする、数多くの英国王室メンバーがこれまでウィリアムという名を授かっている。
Photos: Getty Images Text: Elise Taylor
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