レネー・ゼルウィガー
体重の増減でもっとも有名な女優のひとりといえば、レネー・ゼルウィガーだろう。『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)と、続編『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』(2004)の両作品で、当たり役となった主人公のぽっちゃりブリジットを演じるために、体重を13キロ増量させ、撮影が終わった直後に増やした体重以上の肉をそぎ落とすという、驚異のダイエットを行ったことで知られる彼女。そんなレネーは最近、同シリーズの3作目の出演にOKをしたといわれている。そこで注目されるのは、当然ながら体重のこと。果たしてレネーは、過去2作のときのように、役作りで激太りを見せてくれるのかが話題の中心になっていたが、どうやら答えはNOらしい。今回はおデブちゃんに見せるために、ボディスーツを着用することで出演の合意した模様だ。それは、35歳のときに出演したシリーズ2作目の撮影後、増量した体重を落とすのにかなり苦労を強いられたため、42歳の今では体重を増やすのも減らすのも困難で、体にも大きな負担をかけることになってしまうからだとか。急激な体重の増減はシワも増え、一気に老けこむという女優にとっての悲劇を避けるため、さすがのレネーも今回ばかりは安全な道を選んだようだ。
『ブリジット』シリーズに出演以降、ワークアウト中毒のようにしか見えないレネー。痩せすぎなのにさらに痩せようとしている感が伝わってきて少しホラーの気も……。
ミシェル・ウィリアムズ
若くして衝撃の死を遂げたことで、いまだ才能を惜しまれているヒース・レジャーの元妻として知られるミシェル・ウィリアムズ、31歳は、もともとTV出身の女優。しかし、ヒースと恋に落ち結婚するきっかけとなった2005年の『ブロークバック・マウンテン』以降、演技派として上手にキャリアをシフトしている。そのミシェルが最新主演作『My Week with Marilyn(原題)』(米2011年11月公開予定)で、体重を5~8キロ増量させたことが話題になっている。その理由とは、映画のタイトルにもあるように、今作でミシェルは、銀幕の大スターで豊満な肉体の持ち主であるマリリン・モンローを演じたため。細身のミシェルは、外見的にもマリリンに近づかなければならなかったため、大幅な肉体改造を行わなければならなかったのだ。しかし、腰回りや胸もとに肉感が欲しくても、ミシェルは太ると顔ばかりが膨らんでしまう体質のため、理想のプロポーションになるための増量はかなりしんどかったと言う。今ではすっかり元のスリムな体型に戻り、別の作品の撮影に入っているミシェルだが、体重の増減法はいまだ非公開。映画公開が近づけばその秘技も明らかになるか!? 乞うご期待!
US版『VOGUE』10月号の表紙を飾ったミシェル。写真を見る限りでは体型に変化があるように見えないが、映画ではどうなっているのか?
ジャレット・レト
ベジタリアンの人間が急激に体重を増量させるというのは、かなり過酷のようだ。ミュージシャンとしても活躍するジャレット・レトは、2007年に出演した『チャプター27』で、ジョン・レノンを殺害した実在の犯人マーク・デイヴィッド・チャップマンを演じるために、2カ月で約30キロ体重を増やさねばならなかった。しかし、肉を一切食べないため、毎晩ほぼ同じ食べ物で体重増加に挑んだという。その食べ物とは、チーズたっぷりのピザと、アイスクリームを一箱電子レンジで加熱し、そこにオリーブオイルを混ぜて飲み干すというオリジナルデザート。この壮絶な方法で短期間の逆ダイエットのミッションに成功した。しかし、彼が語るに、体重増量よりも大変だったのはダイエットの方で、急激な肉体の変化に体がついていかず、一時は痛風をわずらって車イス生活を余儀なくされ、健康な体に戻すのにまるまる1年かかったという。レトはこのときの体験を振り返り「二度とこんなことをしない」と誓っている。ちなみに彼は、2000年に評価の高かった『レクイエム・フォー・ドリーム』では、麻薬中毒に溺れる役柄で、撮影期間の間に13キロのダイエットを実現し成功している。
苦労の割に映画はあたらず、結果的にレトが一人で損な役を負ったことに。肉体改造が裏目に出てしまったパターン。
クリスチャン・ベール
一年ものあいだ不眠症に悩まされるという主人公を演じた『マシニスト』(2004)で、体重を約28キロ落としたクリスチャン・ベール。「どんどん痩せゆく男」という演出のため、4カ月かけて約30キロ近くの体重を落としたわけだが、もともと普通の体型の人間がこれだけ体重を減らすのは生死に関わる危険もあると、周囲はダイエットに猛反対だったという。しかし、そう言われれば言われるほど役者魂がうずくのか、クリスチャンは毎日ツナ缶をひと缶とリンゴ半分のみという食事で、ついに作品にとって理想の体型を一切のCGなしで作り上げたのだ。しかし、身長約184センチで約82キロだったベールは、52キロほどの体でなんとか演技はできても、この体型の間はすぐに疲れてしまい、撮影が終わると歩くのも困難になるほどだったという。そして、なによりも苦労をしたのは、この作品のすぐあとに『バットマン ビキンズ』(2005)の撮影に入らなければいけなかったため、元の体よりも肉体を大きくしなくてはいけなかった点だ。減らした28キロはなんとかすぐに戻すことができたと語るベールだが、筋力が衰えてしまっていたため、体重は82キロに戻っても数日間は腕立てふせを1回すらこなすことができず、バットマンを演じるための筋肉をつけるのに困難極まりなかったという。そんな体験をしながらも、クールに「役者は楽しい」と言い放つのだから、なんとも憎いじゃないですか。
CGなしでこの細さ。これで普通に演技をしているのだから、やっぱりすごい!
シャーリーズ・セロン
元モデルでクラシックな美貌がウリのシャーリーズ・セロンは、2003年の主演映画『モンスター』の役作りのために体重を13キロ増量、さらに眉毛まで抜いてまったく別の容姿を作りだすという体当たりの演技で、28歳にしてアカデミー賞主演女優賞を獲得した。そんなシャーリーズの体重増加方法は、クリスピークリームのドーナツを箱食いすることと、ポテトチップスを袋食いするという単純明快なもの。女優にとってスタイルや美貌の維持も重大な仕事のため、見えないところでのストレスも大きかったりする。そのため、役作りのために太っていいというのは、そのストレスから解放される部分もあるようで、「周囲の目を気にせずに、だらけた生活を送れるのはなかなか楽しかった」というシャーリーズ。大好きなものを好きなだけ食べて、それでアカデミー賞まで獲ってしまったら、体重増加は楽しいものでしかなさそうだが、実際は増やした体重を落とすのが相当辛かったという。トレーナーをつけて1週間に約3キロずつ落として、1カ月で元の体重に戻したシャーリーズだが、その間は食事に最善の気を遣い、毎日欠かさずエクササイズをしたらしい。そして、太ってウエストのくびれがなくなった自分の姿を鏡で見たときに、少なからずショックを受けたともコメントしている。
しかし、こんな美人に太ってブサイク女まで演じられたら、もともとそれをウリにしている人はどうしたらいいのか……。
ヴァネッサ・ハジェンス
『エンジェル・ウォーズ』(2011)出演のために、アメリカ海軍の特殊部隊であるネイビーシールズとともに体を鍛え、美しい筋肉のついたボディを作り上げたヴァネッサ・ハジェンス。しかし、現在は8キロ以上も体重を増量して、髪の毛まで短く刈り込むという、ショッキングなスタイルを披露した。ヴァネッサといえば、ディズニーチャンネルでお馴染みの『ハイスクール・ミュージカル』で清楚な女の子として売り出した清純派(途中でセルフ撮影のヌード画像が出回るなどのスキャンダルはあったが)。その彼女が、ここまでルックスを変貌させたのだから、「もしや妊娠!?」なんていう疑惑も持ちあがったが、実はこの変貌は2012年公開の映画『Gimmie Shelter(原題)』の役作りのためだと判明した。22歳のヴァネッサは、母親に虐待を受けている妊娠中のティーンの女の子が、父親探しの旅に出るという物語の主演を演じている。ルックスを一番気にする年ごろの女の子が、体型や髪型をここまで変えて役に挑むというのはかなりの覚悟が必要だったに違いなく、ヴァネッサの勇気と役者根性はこの一件でかなり認められたはず。ただ、外出先でもクリームやお砂糖たっぷりのハイカロリードリンクばかり手にしているので、撮影終了後にこの癖が抜けないと大変なことに……。映画の出来栄えとともに、ヴァネッサの体型からも目が離せない。
太ったと言っても、若さがはじけている感じでかわいいですが。
Rieko Shibazaki