目もくらむほど美しいメンズコレクションを発表してから数週間後、サンローラン(SAINT LAURENT)はパリコレに戻り、再び魅惑的なワードローブを披露した。エッフェル塔の前にある会場は、天井から吊り下げられた華美なシャンデリアで照らされ、クラシックな趣きだ。今回のショーの舞台は、1975年から2001年までメゾンがオートクチュールコレクションを発表した「インターコンチネンタル パリ ル グラン」のボールルームにインスピレーションを得たものだという。
そんなランウェイに登場したのは、パワーショルダーのジャケット群。創業デザイナーのイヴ・サンローランが愛したメンズウェアの生地で作られており、横に広がった肩のシャープなシルエットが目を奪う。タイトなペンシルスカートとのメリハリによって、逆三角形のシルエットを描き、80年代を想起させた。
それもそのはず、クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロは映画『ワーキング・ガール』(1988年)のタイムレスなアイコン、シガニー・ウィーバー、メラニー・グリフィスに思いを馳せたそうだ。そして今日、2023年の女性たちに向けてクラシックなスカートスーツをモダンに生まれ変わらせた。
また、従来は男性の衣服に使われていたチェック柄が、肩に大きくかかるドレープを描くストールとなって登場。構築的でドラマチックなアウターは、シフォン、クレープ・ド・シン、モスリンなといった軽やかな素材や、シャープなカッティングのタンクトップなどの組み合わせによって、透明と不透明が混じり合う。好きなときに体を露わにし、時には隠す、それが新時代の“サンローラン・ウーマン”だ。
フープピアスやバングル、アンクレット、グローブなどの極めてミニマルなアクセサリーは、洗練されたスリックバックのヘアとアビエーターで、より洗練された印象に。パテントのスリングバックパンプスは、脚をしなやかに見せるだけでなく、オケージョンルックをエレガントに完成させる。
なぜ、このコレクションがこれほどまでに魅力的に映るのか。それは、エレガンスというテーマと深く結びつき、メゾンを象徴する特定の女性ではなく、服そのものを通してダイレクトにアティテュードを伝えているからではないだろうか。
ヴァカレロは、UK版『VOGUE』のインタビューで次のように語っていた。「エレガンスの世界を軸に何かしたいと考えました。エレガンスとは、今の私たちには無縁のものなのかもしれません。他の意味があるのかもしれないし、全く意味がないのかもしれない。ですが、私は“着飾る”という考えを取り戻したいと心から思っていました」。“エレガンス”──この言葉と今一度真剣に向き合う時が来たようだ。
※サンローランの2023-24年秋冬コレクションをすべて見る。
Photos: GoRunway.com Text: Maki Saijo