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ケンゾー、NIGO®による2回目のコレクションは、80年代アーカイブやユニフォームをリミックス。【23年SS メンズ速報】

NIGO®によるケンゾー(KENZO)2023年春夏ウィメンズ&メンズコレクションは、創業者のスピリットを蘇らせながら、マリン、プレッピー、アイビー、ワークウェアといったあらゆる要素を再構築。

昨シーズンの華麗なデビューコレクションを経て、NIGO®はパリで2回目となるコレクションを発表した。舞台は17区にある「リセ・カルノ」という公立の中学・高校の施設。天井からは「KENZO」と創業年「1970」の文字が飾られた無数のペナントが吊り下げられ、著名人が集結するなか、セレモニーのようなお祝いムードに。

モデルも若々しくフレッシュな顔ぶれだ。ファーストルックとラストルックには、モード界で大活躍中の日本人モデル、美佳樋口可弥子がそれぞれ登場した。

デビューコレクションに続き、NIGO®髙田賢三時代のアーカイブを復活させながら、リミックスの手腕を存分に発揮。日本から見るパリのイメージを広げ、1980年代のパリのクチュールと海兵隊のユニフォームを解釈し、セーラーカラー、マリンキャップ、セーラーハット、ネイビーやレッドのボーダーといった要素を、まんべんなく全体に散りばめている。胸もとには、勲章のように飾られた、ブランドを象徴するポピーモチーフのバッジも。

アメリカのプレッピーやアイビーもメインの要素だ。パッチワーク加工のストライプやチェックのジャケットは、NIGO®に影響を与えたサブカルチャー的な英国のテーラリングを踏襲。1930〜40年代のアメリカの鉄道労働者や軍隊の修理工のユニフォームからヒントを得たというワークウェアも混在していた。前回に続きデニムに力を入れ、すべて高度に洗練された日本製。ブラック、アイボリー、インディゴ、ライトブルーまで豊富なバリエーションで登場した。

さらに足もとにも、プレッピーでおなじみのローファーやブローグシューズに並び、日本の草履から着想を得たサンダルを合わせるなど、文化的なミックス&マッチを披露した。

女性的な視点で心を奪われたのは、ドレスやインターシャニットのセーター。初期のシルエットに基づいたドレスは、タイトなウエスト部分と軽やかなミディアム丈がスポーティーな少女性を放ち、NIGO®のルーツであるDCブランドにちなんだインターシャニットは、“色の魔術師”高田賢三のスピリットが息づいている。

あらゆる要素を縦横無尽に取り入れたコレクションのように見えるが、NIGO®の軸に常にあるのは、いかにケンゾーらしいか、そして自分らしいか、ということ。それらを徹底しているからこそ共感を生むのだ。ここでは書ききれないほど細部に至るまで、高田のアーカイブと服装史へのオマージュ、自身のファッションルーツが浸透している。“新ケンゾー・アカデミー”の入門希望者が続出することは間違いない。