昨年、2022年はBIGBANGが新曲「Still Life」をリリースし、彼らはファンたちに華麗なる“さようなら”を告げてくれた(「Still Life」のレビュー記事はこちら)。そして、個々の活動が本格化するという予感は的中し、先日、テヤン(SOL、ヨンベ)が新曲のリリースを発表。本日、満を持して「VIBE」のMVが世界中に発信された。2018年の名作『WHITE NIGHT』以来のソロ活動を開始した。ちなみに楽曲は「Still Life」を手がけたKush。
楽曲発表の約1時間前からは、「カウントダウンライブ」と題してテヤンが新曲の解説を行い、途中はギター演奏のみで「Still Life」を歌ってくれた。生で聴ける日がくるなんて! とすでに涙。
客演はこの5年半の間、BIGBANGに代わって世界中を歓喜で満たしたBTSのジミン。その豪華すぎるキャステイングに公開前から話題が集中したが、楽曲のクオリティは期待通りの仕上がり。2000年代のクリス・ブラウンやティンバランドのトラックを想起させるグルーヴィなミッドテンポで、要所要所で80s的なバウンスを効かせた超洒落たトラック。冒頭は、テヤンの甘いボイスでしっとりと始まるが、即座に“色”が切り替わる非常にポジティブな展開だ。サビも欲張らない、やや肩肘を貼らない具合も本当にかっこいい。
テヤンのパートの後は、ジミンへとバトンタッチ。ジミンの個性的な息継ぎと丸みを帯びた声で同じ旋律とトラックなのに、また違った味わいになるのがとっても良い。その後はデュエットへと切り替わり、ふたりのコーラスがシンクロしていく。そのケミストリーが絶品過ぎて、「コレ、リピート必至じゃないですか?」と自分に問いかけてしまった。特にジミンの高音のファルセットを効かせる部分に痺れる。ラスト、ブラックのセットアップに合わせて踊るふたりを見て、とても温かい気持ちになった。
きっとジミンはBIGBANGという大先輩を心から尊敬しているはずだし、テヤンも後輩でありながらも自分たち以上に影響力のあるアーティストとなって飛躍したジミンを同じく尊敬していることが伝わってくる。才能のバトンタッチで韓国の音楽は成長を遂げていったが、こうして世代の異なるスターが同じ目線でパフォーマンスをし、新しい音楽を生む作業は本当にかっこいいことである。
「I NEED A GIRL」(2010)のような正統派R&Bや、壮大なバラード「EYES, NOSE, LIPS」(2014)など、多くの名曲を持つテヤンの新境地。この後、どんな新曲を発表してくれるか楽しみで仕方ない。ひとまず、今回の「VIBE」の余裕ある“欲張らない感じ”は、再スタートの幕開けとしてとっても贅沢なチョイスのように思う。そして、おでこから両手を「チース!」とやる振り付けを考えた人、神です。