2022年春夏のロンドンコレクションは、鮮やかな色使いや大胆な装飾が印象に残るシーズンとなった。また、スイミングプールを舞台にしたレジーナ ピョウ(REJINA PYO)や、ダンスパフォーマンスとともに最新コレクションを披露したロクサンダ(ROKSANDA)など、演出を通してショーの新たな可能性を模索したブランドが多く見られたのも今季らしい特徴だ。
多くのブランドがショーを行う中、ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)は、前シーズンに引き続きフィジタル形式での発表を選択。前回に引き続きユルゲン・テラーとタッグを組み、モデルの写真とともにユルゲン自身のポートレート写真を散りばめたカレンダー形式でルックをお披露目。ユルゲンは今回の作品について、「ボディコンフィデンスの新しい時代を感じた」と語っている。
若手デザイナーたちの活躍も目覚ましく、LVMHプライズでグランプリを獲得したネンシ ドジョカ(NENSI DOJAKA)がオープニングを飾り、今や世界中が注目するハリス リード(HARRIS REED)がコレクションウィークを締めくくった。
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ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)が着目したのは、素材そのものが秘める無限の可能性。波打つチュチュのようなシェイプが印象的なドレスや、シアーな素材を使ったアイテムを通して「服が奏でる音」を追求した。
マクシミリアン(MAXIMILIAN)は、ラバー製の装飾を纏ったドラマチックなルックで会場を沸かせ、シェット ロー(CHET LO)はブランドの代名詞でもある凸凹したディテールの素材で独創的な世界をクリエーション。リチャード・マローン(RICHARD MALONE)の空中を舞うような作品は、フリルを求める人たちの心を揺さぶったはずだ。
タッセルを大胆にあしらい、躍動感に満ちたハルパーン(HALPERN)のドレスからは、今にも音が聞こえてきそう。軽やかに舞い踊るロイヤル・バレエ団のダンサーたちが、服の魅力を最大限に引き出した。
シューズやバッグなど小物類のトレンドは、リアルさを追求した秋冬から一転、目を惹くポップなカラーや誇張されたシルエットのアイテムが台頭した。
「甘くなりすぎないように、ちょっとしたアクセントが必要だと感じました」とコメントしたシモーネ・ロシャは、センシュアルな赤いパテントのブーツを添えた。また、リチャード クイン(RICHARD QUINN)からは花柄のビッグバッグが登場し、シャーロット・ノウルズ(CHARLOTTE KNWLS)ではY2Kトレンドを後押しするようなカーボーイハットがお目見え。主役級の小物でスタイルを印象付けるシーズンになりそうだ。
鮮やかな色彩に満ちたアイテムは、2022年春夏のトレンドを語る上で外せない。ロクサンダ(ROKSANDA)は、ネオンカラーと、落ち着きのあるニュートラルカラーのコントラストが、想像よりもはるかに美しいことを教えてくれた。
エミリア・ウィックステッド(EMILIA WICKSTEAD)は、バズ・ラーマン監督の映画『ロミオ+ジュリエット』の熱帯魚水槽のシーンからインスピレーションを得て、ジューシーなカクテルカラーのアイテムを提案。モリー ゴダード(MOLLY GODDARD)のデザイナー、モリーは「産休中にネオンを意識したことで自分のコレクションに、より遊び心のあるノスタルジアが加わった」と話す。エネルギッシュなカラーをミックスしたキッチュなコレクションは、見ているだけでも楽しい。
シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)、ハリス リード(HARRIS REED)、モリー・ゴダード(MOLLY GODDARD)、レジーナ・ピョウ(REJINA PYO)のランウェイで一際存在感を示していたのが、神聖なムードを放つホワイトドレスだ。シモーンはこのドレスについて、「純情さと現実との間に緊張感を持たせたかった」と語っている。
ハリス リード(HARRIS REED)が、貧困支援団体OXFAMのブライダルウェアをアップサイクルして作ったドレスからは、とびきりの洗練さが漂う。環境に配慮したアプローチという点はもちろん、彼のモダンなロマンスの表現は多くの賞賛を得た。
エミリア ウィックステッド(EMILIA WICKSTEAD)はウエストを新たなセンシュアルパーツと捉えてトレンドを牽引。お腹はチラ見せ程度では不十分になりそうな予感だ。ウエストをより強調し、「隠して見せる」シルエットが鍵となるだろう。
エミリアはローウエストのペンシルスカートや、ソフトなコルセットを使ったドレスにその要素を落とし込み、一方のシャーロット・ノウルズ(CHARLOTTE KNWLS)やネンシ・ ドジョカ(NENSI DOJAKA)は、大胆なカッティングやシアーな素材使いで攻めのセンシュアリティを表現した。
マクシミリアン(MAXIMILIAM)やレジーナ・ピヨ(REJNA PYO)をはじめとする数多くのブランドに見られるように、そこから覗くランジェリーにも注目したい。
Text: Alice Newbold
From: VOGUE.CO.UK
Y2Kスタイルは、 2022年春夏のロンドンファッションウィーク(LFW)のオフランウェイでも引き続きトレンドの様子。2000年代にオマージュを掲げつつも、エッジを効かせるのがブリッドガールならでは!
