ニューヨーク・ファッションウィークにおいて、これほどまでに大規模なショーを目にするのは何年ぶりだろう。9月9日(現地時間)、フェンディ(FENDI)を率いるシルヴィア・フェンディとキム・ジョーンズは世界的なアイコンバッグ「バゲット」の誕生25周年を祝い、盛大なイベントを開催した。「ファッションは人々に喜びをもたらすべき」だと考えるシルヴィアは、「バゲット」はまさに、この役割を果たしている存在なのだと語る。
“キャリー・ブラッドショーの街”で開催。
ロックなどの音楽イベントなどにも使われる会場は、ソフトベージュのカーペットとカーテンで覆われ、荒々しい雰囲気が一掃されていた。フロントロウの片方にはキム・カーダシアン、サラ・ジェシカ・パーカー、ナオミ・ワッツ、もう片方にはケイト・モス、シャローム・ハーロウ、アンバー・ヴァレッタが座っていた。グレース・ジョーンズは2列目にいた。
「バゲット」を有名にしたのはニューヨークが舞台のドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」だ。ニューヨークと「バゲット」の繋がりはとても深い。キムはプレビューで「『バゲット』は、ドラマのキャラクターの一人のようだった」と語り、「だからこそ、ニューヨークでショーをやろうと思ったし、ちょっとした変化球も加えようと考えました。いつものようにね」と続けた。
ティファニーによる“ダイヤモンドロゴ”も。
キムがコラボレーションの天才であることはよく知られているが、今回はいつになく刺激的だった。フェンディと同じLVMHグループのブランドの一つであるティファニー( TIFFANY & CO.)は、ダイヤモンドを組み込んだバゲットを提供するために招かれた。ベラ・ハディッドが持っていたティファニーブルーのクロコバゲットの“ダブルF”ロゴには、ダイヤモンドのパヴェが輝いていた。
マーク・ジェイコブズがNYテイストをプラス。
マーク・ジェイコブスとキムの交流は、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)で一緒に働いていた頃に遡る。マークはスティーブン・スプラウス、村上隆、リチャード・プリンス、草間彌生など、様々なコラボレーションを仕掛けてきた。それに加えて、彼は誰よりも“ニューヨーカー”な人物だ。ショーの後半では、マークが10ルックを披露。トラックスーツ、トラッカージャケットにジーンズ、オーバーサイズのテリーローブは、最近の彼のコレクションを彷彿とさせるものだったが、そこには彼自身のロゴではなく、「FENDI ROMA」のブロック文字が使われていた。
「マークに、『フェンディ』のコレクションをデザインしてみないか』と電話をかけました。彼の制作に私は全く関与していません」とキム。「フィッティングの間、マークと一緒に並んで仕事をしましたが、互いに自分のクリエーションに集中していました」と続けた。
ユーティリティなアイテムとのミックス。
「バゲット」が誕生した1997年のフェンディのコレクションをGoogleで検索しても、現在と重なる部分はあまりなかったため、キムはより感覚的なものを探し求めた。その中で、「自分が初めてニューヨークに来て、クラブに出かけた時のことを考えた」という。それによって、スパンコールとユーティリティジャケット、あるいはシアリングシェルパとミニといった、ハイ&ローなミックスが実現した。キムは「ユーティリティ」のテーマを深く追求し、ビーニーやゲイターに至るまでバゲットがプラスされていた。
フィナーレにはリンダ ・エヴァンジェリスタが登場!
フィナーレでは、現在フェンディの顔を務めるリンダ・エヴァンジェリスタが、ティファニーブルーのオペラケープを身にまとい、腕にシルバーのバゲットを抱えて登場。マークはキム、シルヴィアと共に一礼し、観客に立ち上がるよう促したが、自然とスタンディングオベーションが起きていた。
Photos: Gorunway.com Text: Nicole Phelps Adaptation: Mamiko Nakano
From VOGUE.COM