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アルマーニ プリヴェのテーマは“道化師”。演劇の歴史的ルーツに立ち返って【2023年春夏クチュール速報】

1月24日(現地時間)に発表されたアルマーニ プリヴェ(ARMANI PRIVÉ)の2023年春夏オートクチュールコレクション。16世紀にイタリアで誕生した喜劇、コメディア・デラルテの“ハーレクイン(道化師)”のイメージをプレイフルかつシックに落とし込んだ。
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

ジョルジオ・アルマーニは、ひとつのアイデアを突き詰める厳格さ、または意志を持った唯一のデザイナーといえるかもしれない。77のルックから成るアルマーニ プリヴェ(ARMANI PRIVÉ)の2023年春夏オートクチュールコレクションに一貫して表現されたのは、ハーレクイン(道化師)というテーマ。ランウェイに描かれたダイヤ柄を目にした瞬間から、誰もがそれを予想できただろう。

16世紀から続く喜劇、コメディア・デラルテの歴史的ルーツ

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

鮮やかな配色を見てもテーマは明らかだが、アルマーニは伝統的な衣装に見る派手な色ではなく、あえてグリーン、モーヴ、ペールブルー、そしてゴールドといった柔らかなカラーを採用。これは「ヴェネチアの宮殿に見るロココ調のインテリアと光の輝き」に結びつけた色調で、16世紀から続く喜劇“コメディア・デラルテ”、そして演劇の歴史的ルーツとのつながりをさりげなく示している。

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

煌めくファブリックを引き立てるのは、メリハリを効かせるグラフィカルな黒のラインやブロッキング。カラフルな菱形のパターンは、クリスタル刺繍やレザーパッチワークで飾り付けられた。時にはピエロのフリルを添えてプレイフルに、また時にはロングスリーブドレスでシックにと、ひとつのテーマの中でもさまざまな個性やテイストを織り交ぜ、リズミカルに展開した。

フェティッシュな要素ものぞかせて

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

アール・デコを彷彿とさせるスタイルもあれば、1980年代のボールガウンのようなスタイルも目を引く。中にはボンデージのディテールを取り入れたデザインも登場し、フェティッシュな要素も程よく散りばめられた。

Photo: Filippo Fior / Gorunway.com
Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

周知のとおり、アルマーニは数々の授賞式でセレブたちが纏うルックを手がけている。俳優やスタイリストたちは、このショーから何を選ぼうかと目を凝らしたに違いない。アカデミー賞で何人のセレブたちがこのコレクションを纏うのか、今から期待が高まるばかりだ。

※アルマーニ プリヴェ2023年春夏オートクチュールコレクションをすべて見る。

Text: Sarah Mower Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.COM