編集O ここ数年はカジュアルなミドル丈のブーツの人気が続いていましたが、最近になってロングブーツの人気が加速していますね。
コンバットブーツなどのゴツめでボリュームのあるものに見慣れていたので、王道のヒールは新鮮な印象ですよね。スタイルアップにも期待できそう。
濱本 確かにヒールの人が増えてきました。ここ数年のカジュアルな気分が落ち着いて、おしゃれを楽しみたい気持ちが足もとにも表れているのかもしれません。私はトレンドに関係なくヒール派で、ブーツも大好きなのでこの流れは大歓迎。今シーズンも早速お気に入りのアイテムを見つけたので後ほどご紹介しますね。
編集O 楽しみです! 私はロングブーツだと着こなしが一辺倒になってしまうので、今日はモードで今年らしいバランスを学びたいと思います。今年のブーツ候補もぜひ見つけたいです。
濱本 本格的な冬が来る前にお気に入りを見つけてておきたいですよね。ロングブーツ攻略で一番大事なのは全体のバランスなので、いろんなスナップを見ながらお話していきましょう。
ボトムと色味をリンクさせて統一感あるスタイルに
編集O まずは王道の取り入れ方から教えてください!
濱本 ロングブーツですと、まず一足めに定番のブラックを買う人が多いと思うのですが、同じく黒のパンツにインして馴染ませるような着こなしは誰でもトライしやすくておすすめです。上半身にボリューム感が出るアイテムを合わせると、メリハリがついてクールなバランスに見えます。
こちらの方はショートブーツですが、ロングブーツに置き換えてもOKなスタイリングです。レザーアイテムやクロップドトップを合わせるとよりモード感が出ます。なので、注意点としてはどこかにシャープな要素を入れることでしょうか。例えばエッジの効いたフォルムやデザインのブーツを選ぶ、素材でメリハリをつけるなど。それだけで野暮ったい印象を回避できます。
編集O 勉強になります。王道の着こなしだからこそ、コンサバにならずにモード感も忘れずに取り入れたいですね。
濱本 あとは同型のスタイルだとホワイトもオススメです。
編集O 意外です! ホワイトは膨張して見えるイメージがあるので、ハードルが高いイメージでした。
濱本 確かにブーツと着こなしのコントラストが強調されるようなバランスだと悪目立ちしやすと思うのですが、この方のように同系色のボトムとリンクさせるとスタイリッシュな印象になりますよね。ホワイトとカーキとの組み合わせもすごくおしゃれ。配色さえ気をつければ、シンプルな着こなしでもすごくこなれて見えるので、ぜひトライしていただきたいです。
深めのスリットとの合わせが今季流
編集O その他に取り入れやすいスタイルはありますか?
濱本 深めに入ったスリットとの組み合わせに注目しています。抜け感はあるけれど肌見せし過ぎない感じが今の気分にぴったりですし、フレッシュな感じがしますよね。
編集O 確かにスリット入りのスカートは今季のトレンドでもありますし、ブーツとの相性も抜群ですよね!
濱本 スリット入りのドレスに合わせるのも素敵ですよね。この彼女はアームウォーマーで肌見せの分量を調整しているのが上手だなと思いました。
編集O 濱本さんがおっしゃる通り、肌見せの分量はかなり重要ですね。
濱本 はい。体型やその人のバランスで異なってくるので説明がちょっと難しいのですが、それこそ出かける前に全身をチェックするぐらい入念をバランスは追求してほしいです!
この方のようにともすれば際どい印象にも取られてしまうスリットアイテムと合わせる時は、ロングブーツよりもニーハイブーツなどで露出を抑えた方がスマートになるのかなと思います。
逆に肌見せをしないと人によっては野暮ったい印象になってしまう恐れも。自分に落とし込んだ時にちょうどいいベストな状態を見極めていただきたいです。膝上を見せるというのは、大人にとって結構チャレンジングなことでもあると思うのですが、長めのジャケットなどアウターを合わせたりすると安心感が増すはずです。
注目の素材はデニムやメタリック
編集O ブーツ単体でのお話も聞きたいです。今シーズンはY2Kの流れもありデニムのロングブーツを履いている人もいてすごく新鮮でした。
濱本 これはディーゼル(DIESEL)ですよね。かわいいと思います! 個人的に大人がデニムのミニスカートやショートパンツにロングブーツを合わせるのはかなりハードルが高いスタイリングだと思うのですが、こうやってしっかりデザインされたもの同士をトータルで合わせるとカッコイイですね。
編集O 私はあまり服で冒険しないタイプなので、こういう変化がつくブーツもすごくいいなと思っていました。
濱本 すごくいいと思います。私もブーツで遊んだスタイリングは好きです。今シーズンだったらメタリック素材もオススメですよ。私も好きでいくつか持っています。
ただ、上の方のように取り入れ方を間違えるとパーティー風のスタイルになってしまうので、デイリーに楽しむならベーシックで落ち着いたトーンの着こなしに合わせることを推奨します。
編集O ビギナーや大人にオススメのデザインはありますか?
濱本 最初にもご紹介しましたが、やはりシャープなデザインのブラックのブーツではないでしょうか。
バレンシアガ(BALENCIAGA)のようにつま先やヒールがシャープなデザインだったら、コンサバティブな着こなしに合わせるだけで全体が締まって見えます。
同じくシャープな細身のデザインをカジュアルなストリートスタイルに合わせて意外性あるスタイリングにするのも◎。モードな抜け感が加わりますよね。
そしてフェンディ(FENDI)のセンシュアルなドレススタイルと、くしゅっとしたモードな黒ブーツを合わせた彼女のスタイルも今っぽい。グローブの合わせ方もすごく上手ですよね。好みもありますが、ポインテッドトゥの黒ブーツはとにかく万能なので、一足持っておいて損はないかと思います。
編集O 定番こそアップデートが必要ということですね。
濱本 長く愛せる定番の魅力もありますが、モード感を狙うなら、やっぱり新しいアイテムで新しいバランスを楽しみたいですよね。
濱本さんのロングブーツスタイルをご紹介
ジミー チュウ(JIMMY CHOO)のメタリックゴールドのブーツは、今シーズンの初めに購入したお気に入りアイテム。ブーツの主張が強いので服は落ち着いたトーンのものを合わせてバランスを取ってみました。今日はメゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)のシャツドレスとバレンシアガ(BALENCIAGA)でシンプルに。メタリック系のブーツは見た目以上にコーディネートしやすいので、気になっている方はぜひトライしてほしいです。白ブーツと同じでコントラストが強くなると奇抜な印象が強まってしまうので、テイストもそうですしカラーもペールトーンだったりベーシックなものを合わせると失敗しにくいと思います。
これからもっと寒くなってくるとコートなど重たいアイテムを合わせるので、ブーツはシャープなデザインだったり抜け感が出るような変化球素材をチョイスすると活躍するのではないでしょうか。ぜひ今年らしいムードを楽しめる特別な一足を見つけてみてください!
Profile
濱本愛弓
VOGUEをはじめモード誌をベースに活動。スタイリスト業と並行してブランドのディレクション業やコラボレーションでも多忙を極める。生粋のファッションラバーで、自身のモードな着こなしも話題の的。
Text: Asa Takeuchi Editor: Kyoko Osawa