編集O ここ最近はまた出社制限している会社も多いようですが、徐々にハイブリットワークが主流になりつつあります。そこで今週は、機能性はもちろん、ワークスタイルもおしゃれにアップデートしてくれるお仕事バッグについて、お話をお伺いできればと思います。
春夏シーズンでは、プラダ(PRADA)のランウェイで、スクエア型のかっちりとしたフォルムが新鮮でした。とはいえ、ノートパソコンが入るサイズ感はマストですよね。栗山さんも普段から、わりと大きめのバッグを持っていらっしゃる印象がありますが。
栗山 まさに私も職業柄パソコンを持ち歩くことが多いので、サイズ感は譲れないポイントです。デザインにはこだわりますが、色味はベーシックが多いのかも。服のように毎シーズン買ったりはせず、気に入ったものを長く使うことが多いです。
編集O 長く使えるものが理想ですよね。最近だとエコバッグを併用している人もよく見かけますが、本格的にリモートワークが解除され出社するようになったら、ひとつで完結できるバッグがあると心強いですよね。
例えばこのルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のトートは、マチもしっかりあって使いやすそうだと思いました。
栗山 これぐらいカチっとしたイメージのものだと、仕事でも安心感ありますね。ハンドル部分もしっかりしてて良さそう。
編集O わかります。ハンドル部分が頼りないと持っていてすごく疲れますよね。
栗山 そうなんですよ、なのでついついハンドルはチェックしてしまいます(笑)。毎日使うものだからこそ、できるだけストレスがないものを選びたいですね。
編集O 先ほど栗山さんは買ったバッグは長く使うとおっしゃっていましたが、一生物と思えるようなアイテムに出合ったことはありますか?
栗山 自分ではまだ持っていないのですが、究極はやっぱりエルメス(HERMÈS)のバーキンじゃないですか。カーダシアン家のバーキンコレクションを見るたび、いいなと思ったりしてます(笑)。でも自分で買うのであれば、カラフルなものよりベーシックなブラックが欲しいですね。
編集O 栗山さんのバーキンスタイル……いつか見たいです! そうですよね、やっぱりブラックは定番中の定番だと思うのですが、大きくなるほど重たい印象になってしまいますよね。小柄な人は下のマリア・バルテチコのように、ナイロン素材を選ぶのもありなのかなと思いました。
栗山 確かに締まって見える分、素材の振り幅はあるのかもしれないですね。でも個人的にはパソコンを持ち歩くので、ケースに入れているとはいえ型崩れしにくい安心感のある素材に惹かれてしまいます。逆に黒みたいに安心ががある色だったら、フォルムで遊ぶのも素敵じゃないですか?このクロエ・アルシュが持っているようなバケツ型はデザインもかわいいし、実用性も高そう。ジル サンダー(JIL SANDER)でも出ていましたよね。
編集O クロエが持っているのはカイト(KHAITE)のものみたいです。バケツ型だけど縦にも横にも長過ぎずフォルムが絶妙ですね。
栗山 今、サイトをチェックしてみたのですが、黒のほかにベージュやブラウン系もあるんですね。肩がけしやすいハンドル含め理想的な感じなのではないでしょうか。
編集O 他にも栗山さんがバッグ選びの際に気を付けていることはありますか?
栗山 私は毎日コーディネートの最後にバッグを選ぶのですが、馴染んで見えるかどうかということを気にします。いかにもバッグを持ってます!という感じにはしたくないので。
編集O 馴染んで見えるものとなると、ベージュもしくはブラウン系がイメージしやすいですよね。シャルロット・クラスカみたいなキルティングデザインは今っぽいしディテールがさりげないアクセントになって取り入れやすそう。これもカイト(KHAITE)のようですです。
栗山 実際に使っている人が多いブランドだと、説得力が増しますね。
編集O ほかに栗山さんが気になったスナップはありますか?
栗山 馴染むというと同型色でまとめたコーディネートを連想しがちですが、このマリア・バルテチコも馴染んで見えるお手本ですよね。バッグと帽子の色味をリンクさせていたり、全体のトーンを揃えることで、すごくまとまって見えて素敵だと思います。マリアは先ほどの黒いバッグのスタイリングも上手でしたよね。
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編集O モコモコ素材もかわいい。マリアみたいなセージカラーだと、甘くなり過ぎないところもいいなと思いました。同じようなムードだと最近テルファー(TELFAR)も人気ですよね。編集部でも愛用している人がいてすごく使いやすそう。
栗山 エコレザーは軽さもあってプライスもリアルなものが多いので、トライしやすいですしね。
編集O カラー系といえば以前私、ロエベ(LOEWE)の赤いバッグを通勤用に使っていたのですが、意外に合わせを選ばず使いやすかったんですよ。そんな浮いた感じにもならなかったです。
栗山 馴染むというのは全体のバランスありきなので、一度バッグを持った状態の自分を引きでチェックしてみるといいですよね。ベーシックカラーに固執する必要はないと思います。
編集O これからバッグを買う人におすすめのブランドはありますか?
栗山 コム デ ギャルソン社のバッグは、普遍的でプライス的にもリアルなものが多いのでおすすめ。毎シーズン必ずどこかのブランドで、使いやすそうっていうものが出ている印象です。いい意味で主張し過ぎないので服に合わせやすいんですよね。
編集O そういえば以前この企画で登場していただいたスタイリストの仙波レナさんも、コム・デ・ギャルソンのハンドバッグを愛用されてました。モード界からの支持率、高いですよね。
栗山 多いですよね。上のバッグはコムデギャルソン コムデギャルソン(COMME des GARCONS COMME des GARCONS)のものなのですが、着こなしに馴染むのですごく使いやすいです。
こちらはちょっと番外編なのですが、ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)のバッグ。カジュアルなアイテムではありますが、ファッションとして成立するデザインなので、オフィスのドレスコードが厳しくない方だったらこういう選択肢もおもしろいかもしれませんね。
そしてコム・デ・ギャルソンといえば元スタッフが携わっているバッグブランド、ビエダ(BIÉDE)にも機能的なでモードなバッグがたくさん揃っています。ノートPCが入るモデルもタブレット端末が入るモデルもそれぞれあるので、自分に必要なサイズをチョイスできるところもいいですよね。
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編集O 確かに。タブレット端末でOKという人は、またかなりバッグの選択肢が変わってきますよね。
栗山 タブレット端末だけでOKな人はジッタ・バンコが持っているメゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)のバッグみたいな、柔らかくてあまり物を入れない方がサマになる大きめバッグも素敵だと思います。
編集O いろいろなアイテムをご紹介いただきありがとうございました。最後に栗山さんのバッグコレクションの一部を見せていただけるということで楽しみです!
先ほどもお話しましたが、私のお仕事バッグはノートPCが入るということが絶対条件。自然とトートタイプが多くなります。昔の話になってしまうのですがフィービー・ファイロ時代のセリーヌ(CELINE)は名品揃い。黒のトートを愛用していたのですが、あまりに使い込み過ぎたので最近はお休みさせています。
代わりに最近よく使っているのが、バレンシアガ(BALENCIAGA)の2022年春夏コレクションで登場した「ザ ハッカー プロジェクト」のトート。グッチ(GUCCI)のアイコニックなモノグラムを取り入れた遊び心あるデザインが気に入っています。ファッション界に携わる人間として、これは手に入れておかないと! という使命感に駆られて購入したのですが、実際に使ってみると見た目以上に持ちやすいですし、マグネットで開閉しやすいところも実用的で気に入っています。ベースがベージュ系なので服の邪魔にならないところも◎。
今日はジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)のコートパンツ、バレンシアガ(BALENCIAGA)のニット、メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)のブーツに合わせています。ベーシックで合わせやすいカラーをベースにすると浮いて見えにくいと思います!
そしてエムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)のバッグも愛用中。シンプルなボディにプリントで捻りを効かせているところが好きです。お仕事バッグはシーズン関係なく使えるアイテムなので皆さんも是非お気に入りのアイテムを見つけてみてください。
Profile
栗山愛以
VOGUEをはじめモード界で引っ張りだこのライター。エディトリアルやインタビュー、イラストを添えたスナップ解説記事などその活動内容は多岐にわたる。エッジの効いたオリジナルなファッションスタイルも評判。
Text: Asa Takeuchi Editor: Kyoko Osawa