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ココ・シャネルの「ファッションマニフェスト」。パリのガリエラ美術館でシャネル大回顧展が開催中! 

ファッション界で最も大きな功績を残した女性、ココ・シャネルの回顧展が、2年の改修期間を経て生まれ変わったパリのガリエラ宮(Palais Galliera)で開催されている。アイコニックなバッグ「2.55」の初期モデルや「シャネル N°5」の香水のオリジナルボトルなど、1920年代から60年代までに発表されたシャネル(CHANEL)のアーカイブ作品350点を通じて、シャネルの偉大なる功績を振り返っている。

中でも特筆すべきは、シャネルを代表するツイードスーツやレザーアクセサリー、コスチュームジュエリー、1932年のコメット(彗星)がモチーフのダイヤモンドブローチなどのファインジュエリー、そして1921年発表当時の「シャネル N°5」の香水ボトル(1952年のマリリン・モンローへのインタビューから抜粋されたナレーション付き)だ。こうした貴重なピースが、メインフロアと階下の新ギャラリー「ガブリエル・シャネルの部屋」の特別スペースに並んでいる。

ガリエラ美術館の新館長に就任したミレン・アルサリュスによると、1カ所にこれほど多くのシャネル作品が集結するのは史上初だという。アルサリュスは続ける。

「ココ・シャネルの人生についてはこれまで多くのことが語られてきましたが、私たちは女性としてのガブリエルと彼女の作品に注目しようと考えました。シャネルの作品は、ガブリエル自身のためにデザインされた側面があり、彼女自身と彼女のイメージが、すなわちシャネルというブランドそのものでもありました。そして同時代を生きた女性たちは、そんなガブリエル自身のファッションに魅了され、真似したいと思ったのです。彼女が作品に込めた独立心や野心、若さ、そして機能性は、今も健在です。ガブリエルはスタイルを創出し、そのスタイルに一生忠実であった女性です。彼女は目新しさにとらわれたことはありません。それが最も重要な点です」

本展のためにシャネルのアーカイブから最後に到着したリトルブラックドレスは、1934年頃に制作されたもの。ドレープボディスに2枚の黒のパネルが後方にたなびき、ショルダーストラップにはラインストーンが輝き、レースの上にシフォンが重ねられた優美なデザインだ。シャネル・パトリモワーヌでアーカイブ作品を管理しているロサ・アンペドゥーサは、リトルブラックドレスの美しいシルエットを完璧に見せるため、何時間もかけてマネキンの腰のまわりに薄いパッドを縫い付けたという。