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いくつ覚えている? セリーヌ、フィービー・ファイロが生んだヒットアイテムの数々。

セリーヌの新クリエイティブ・ディレクターにエディ・スリマンが就任するニュースが世界中を駆け巡った。秋からのエディによる新たなフェーズも楽しみだけれども、フィービーが残してきた女性を確実に美しくさせるスタイルは、永遠にモード界に歴史を刻むだろう。この10年間に彼女が手がけてきた最高の名作を振り返ることで見えた、本当の「洗練」と「モダン」とは......。
2010年春夏コレクションより。 Photo: Getty Images

2009年のデビュー以降、セリーヌのクリエイティブ・ディレクター、フィービー・ファイロは洗練さのあり方を定義し続けてきた。10年にわたる任期中、フィービーの影響でヘムラインの位置は下がり、テーラードパンツの位置は引き上げられ、誰もが髪をタートルネックのニットに押し込むようになった。

2010年春夏で見られたメンズシャツの袖を起用したスタイルのように、時には文字通り壮大なプロポーションの成功により、彼女は老舗のメゾンに活気を取り戻し、セリーヌをファッション界でカルト的な人気を誇る地位へと押し上げた。私たちを10年にわたり夢中にさせてくれたフィービーが手がけたヒットアイテムを振り返ってみよう。

1. センセーショナルな人気を博した「クラシック ボックス(Classic Box)」。

アン・ハサウェイも映画の中に取り入れていた。 Photo: Alamy

2011年の登場以来、ファッションエディターの間で人気を博しているのが「クラシック ボックス」。ゴールドやシルバーのクラスプが特徴のこのバッグは、パウダーピンクからグレーまでカラーも豊富だ。アンジェリーナ・ジョリージュリアン・ムーアなどのセレブも早くから愛用していた。映画『マイ・インターン』では、アン・ハサウェイがダークオレンジのモデルを使用していたのも記憶に新しい。

アンジーはブラウンベージュがお気に入り。 Photo: Splash

2. クロンビーコートは“肩に羽織る”が定番に。

2011年秋冬コレクションより。 Photo: InDigital

クロンビーコートも、様々なカラーで登場している。鮮やかなオレンジは彼女のデビューとなった2010年クルーズコレクションでお披露目。それ以降、このウールコートが彼女のオフタイムの定番ワードローブとなった。そして、フロントロウに座る熱烈なファンの証にも。毎シーズン、シックなモノトーンからボルドーのレザーまで、多彩な素材やカラーで提案。ファレル・ウィリアムスが2014年秋冬に発表されたホットピンクを着用した姿を覚えている人も多いはず。

2011年秋冬コレクションより。 Photo: InDigital

3. 大ヒット、そして永遠のイットバッグといえば「ラゲージ(Luggage)」。

クロコダイルを起用したブラックのラゲージ。 Courtesy of Celine

「ラゲージ」は2009年の誕生以来、様々なマテリアルでフィービーと長い旅路を共にしてきた。それは世界中のジェットセッターも同様。ウィンブルドンのセンターコートにセリーナ・ウィリアムズが持ち込んだだけでなく、オルセンやジェンナー姉妹にも愛用されている。2016年に商標化された拡張式のアコーディオンスタイルは、ナノサイズからMacbookも収納できるファントムサイズまで展開。大きなキャンディーストライプのうち、カイリー・ジェンナーはグリーンとホワイトのモデルを愛用しているようだ。

カイリーは爽やかなホワイトのルックに合わせて。 Photo: Rex Features

4. 女性らしさが際立つテーラードのジャンプスーツ。

2011年プレフォールコレクションより。 Courtesy of Celine

2011年プレフォールコレクションに登場したジャンプスーツは、女性らしさが絶妙に詰まった一着。フィービー自身も、2010年ブリティッシュ・ファッション・アワードのデザイナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した時に着用し話題に。無駄を削ぎ落とした美しいラインは、まるでタキシードジャケットを連想させ、ストラップレスがデコルテを引き立てる。これぞ、フィービーが定義するマスキュリンさを備えた女性のためのワードローブだ。

フィービーはタキシードジャケットを羽織り、小脇にはClassic Boxを抱えていた。Photo: Getty Images

5. 「バレリーナ(Ballerina)」は肌へのフィット感で女性を解放。

2015年春夏コレクションより。 Photo: InDigital

まるでグローブのようにフィットする「バレリーナ」は、リーンなレザーとゴムを使ったデザイン。2015年春夏に登場し、そのユニークな反り返り具合は、フラワープリントやフリンジが揺れるドレスに絶妙なクールさをプラス。すぐに大ヒットとなり、ストリートスナップで見ないことがない状態に。セリーヌならではの洗練さに、女性には嬉しい歩きやすさが加わった結果だ。

6. 足もとにリュクスを演出したファーサンダル。

2013年春夏コレクションより。 Photo: InDigital

フラットサンダル ブームの引き金となった通称「アグリーサンダル」は2013年春夏に誕生。カジュアルなレザーのベルテッドにリュクスなファーを敷き詰めた一足は、発表当時とてもセンセーショナルだった。その他にも、パンプルをすべてイエローのファーで覆ったアイテムや、ビジューで飾られたフラットサンダルもお目見え。フィービーのシューズデザインの発想は、固定観念に縛られないことを物語った。

7. ケープのようなレイヤードが楽しめるダブルトレンチ。

2018年春夏コレクションより。 Photo: InDigital

2018年春夏の代表作となったのはダブルのトレンチコートだ。ケープのような一着を別のコートに取付けるという、まるでシャーロック・ホームズ風のデザインがユニーク。実はこちら、雨の日でもバッグが濡れないようにというフィービーの粋な提案でもあった。ちなみに彼女がダブルのシルエットを披露したのは、これが最初ではない。2013年秋冬では袖をフロントで結んだ二重のドレスが提案されている。

2013年秋冬コレクションより。 Photo: Getty Images

8. お気に入りのレザーは日常のワードローブとして提案。

2012年プレフォールコレクションより。 Courtesy of Celine

フィービーはレザーを好んで起用する。2012年プレフォールコレクションでは、アスレジャーのムードを漂わせるルックを披露。リラックスできるルーズなシルエットが特徴だ。また、2010年春夏以降も、レザーをパネル使いしたTシャツやミニスカートを提案。彼女が作るレザーアイテムは決してスタイリングで失敗することはない。2017年春夏では、軽やかさを加えたフレアパンツが印象的だった。

9. セレブ陣もフォーマルに履きこなすワイドパンツ。

ストライプシャツと合わせていたブリー・ラーソン。 Photo: Rex Features/Aflo

ワイドパンツは、クロエ時代でもおなじみのアイテム。得意のキャラメルカラーで2010年春夏に登場した瞬間から、セリーヌでも定番に。女優のブリー・ラーソンは、2016年リゾートコレクションのハイウエストのネイビーのパンツをアカデミー賞の最優秀女優賞授賞式で着用した。昨年夏には、セリーヌ好きで知られるリアーナが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領との面会時に2017年プレフォールコレクションのワイドパンツをチョイス。

オーバーサイズのシルエットを自分らしく着こなすリアーナ。 Photo: Getty Images

10. パワフルなグラフィティで女性を鼓舞して。

2014年春夏コレクションより。 Photo: Getty Images

セリーヌの転機となった2014年春夏では、グラフィティを大胆に用いたコートやチュニック、プリーツスカートなどがジョージ・マイケルの『フリーダム』に合わせてランウェイに登場。レッド、イエロー、ブルー、グリーンといった原色の筆致はプリントに見えるが、実際はジャガードを使った繊細な表現だ。プレス向けに配布された資料には、ブラッサイのパリのグラフィティの写真に言及しているが、フィービーはバックステージで「女性にパワーを与えるもの」と語っていたのが印象的。

Text: Ellen Burney

CÉLINE(セリーヌ) 2018リゾートコレクション ランウェイ
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