LIFESTYLE / CULTURE & LIFE

世界中の母親たちを祝福! 母娘の関係を描いた珠玉の映画5作品。

5月9日は母の日だ。パンデミックが収まらない中、たとえ実際に会うことはできなくても世界中の全ての母親を祝福するために、「母娘」の複雑で揺るぎない関係を描いた名作を厳選して紹介しよう。
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Miss Juneteenth (2020)Vertical Entertainment

1. 『真実』(2019)

The Truth (2019)

Curzon Artifial Eye/IFC/Kobal/Shutterstock

カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュというフランスを代表する二人の俳優を主演に迎えた是枝裕和監督作。自由奔放で魅力的な映画スターの母をドヌーヴが、長年わだかまりを抱えてきた脚本家の娘をジュリエット・ビノシュが演じている。母がスキャンダラスな内容の自伝を出版すると、そうとは知らずに娘は夫(イーサン・ホーク)や子ども(クレモンティーヌ・グルニエ)とともに母の家にお祝いにやってくる。しかし、この自伝を機にこれまで蓋をしてきた過去の問題と再び対峙することになった二人は、古傷が蘇り、ぶつかり合う……。最後に家族が和解する瞬間が深い感動を呼ぶ作品だ。

2. 『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』(2019)

Little Women (2019)

Entertainment Pictures / Alamy

これまで幾度となく映像化されてきたルイーザ・メイ・オルコットの愛すべき古典作品『若草物語』。それら過去の作品に共通するのは、メグ、ジョー、ベス、エイミーという娘を持つマーチ家の母である「マーミー」が、目立たず慈善活動に勤しむ聖人のような描き方をされてきたことだ。しかし、このグレタ・ガーウィグ監督によるリメイク版では、異なる存在として描かれている。ローラ・ダーンが演じる母親は鋼のような意思の持ち主だ。娘たちには自分の夢を好きなように追わせ、過ちも受け入れる。そして自分が完璧とは遠い存在であり、ほとんど毎日のように怒りの感情と戦っていることを認めるのだ。

3. 『Miss Juneteenth(原題)』(2020)

Miss Juneteenth (2020)

若き母(ニコール・ベハーリーの演技が光る!)といたずら好きな十代の娘(アレクシス・チャケイズ)の関係を描いたチャニング・ゴッドフリー・ピープルズ監督による感動作(日本未公開)。タイトルの「Juneteenth」は、1865年6月19日にテキサスで発令された奴隷解放宣言を記念するアメリカの祝日のこと。アメリカのべハーリー演じるシングルマザーのターコイズは、大学の奨学金目当てで娘カイ(チャケイズ)をミスコンに出場させようとする。請求書の山や鼻持ちならないライバルと奮闘する二人には、身分不相応な恋の予感も。母娘は優先すべきことを巡って言い争いになるが、同時に距離も縮めていく。二人の間の密かな笑いやこっそりと交わされる目線に互いに対する愛情を見ることができ、温かな気持ちになる作品。

4. 『エノーラ・ホームズの事件簿』(2020)

Enola Holmes (2020)

LEGENDARY ©2020

失踪した母を探す娘の姿を描いたミステリー映画で、ハリー・ブラッドビア監督の本格デビュー作。主役である、シャーロック・ホームズの10代の妹エノーラ・ホームズを「ストレンジャー・シングス」シリーズで知られるミリー・ボビー・ブラウンが務めた。エキセントリックな母(ヘレナ・ボナム・カーター)は婦人参政権を求めて活動していたが、一連の手がかりだけを残し、ある日こつ然と姿を消す。自由な思考を持ち、自分にアーチェリーやチェス、柔術、それに自主独立の価値を教えてくれた母の精神に導かれながら、エノーラは兄のシャーロック・ホームズよろしく謎を解いていく。

5. 『サンドラの小さな家』(2020)

Herself (2020)

Pictorial Press Ltd / Alamy

アメリカの映画評価サイト「Rotten Tomatoes」で93%のハイスコアを記録したフィリダ・ロイド監督による感動作。ストーリーは、DV夫から幼い娘二人を連れて逃れた母サンドラを中心に展開される。シングルマザーとなったサンドラだが、住むところは見つからず、将来の見通しも立たない。しかし彼女と娘たちは希望を捨てない。なんと、無償で協力してくれる人々を募り、自らの手で自分の家を建てることを決意する。母娘は果たして無事に人生を再建することができるのか……。厳しい世の中に残る人々の優しさに胸が熱くなりつつ、企画・脚本・主演を務めたクレア・ダンの才能に圧倒される。

Text: Radhika Seth