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カンヌ映画祭が開幕! 日本公開が待ち遠しい、注目の12作品。

7月6日(現地時間)に開幕した、第74回カンヌ国際映画祭。昨年はコロナ禍で同映画祭も中止、映画公開本数も激減したが、今年はコンペティション部門に24作が出品されるなど、その勢いを取り戻している。ウェス・アンダーソン監督の『フレンチ・ディスパッチ』や、ティルダ・スウィントン主演の『Memoria(原題)』など、日本公開が待ち遠しい注目の12作品を紹介しよう。
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

20世紀のフランスで働く風変わりなジャーナリストを描いたウェス・アンダーソン監督の作品が、カンヌ国際映画祭に出品されることが決まってから1年。パステルカラーのシンメトリーな外観で登場する。ティモシー・シャラメフランシス・マクドーマンドティルダ・スウィントンなど、超豪華な出演者を聞いただけでも見る価値がある。日本公開は2022年に決定したばかり。まずはワールドプレミア上映の反応を楽しみたい。

『Annette(原題)』

レオス・カラックス監督、マリオン・コティヤールアダム・ドライバー主演のこの作品がカンヌ国際映画祭のオープニングを飾るというニュースは、映画業界を熱狂させた。二人が演じるのは歌手と漫才師。子どもが生まれたことで人生が大きく変わっていく──。『ラ・ラ・ランド』の音楽プロデューサーも参加する、壮大でシュールなミュージカル作品だ。

『Red Rocket』(原題)

『タンジェリン』(2015)や『フロリダ・プロジェクト』(2017)など、心を揺さぶるストーリーテリングで愛されてきたショーン・ベイカー監督が、ブラックコメディで帰ってきた! 新たなスタートを切ろうとテキサスの田舎に戻ってきた元ポルノスターの主人公を、サイモン・レックスが演じる。

『A Hero(原題)』

 Photo: Courtesy Amazon Studios

2012年『別離』、2016年『セールスマン』と、アカデミー賞外国語映画賞を2度受賞したアスガー・ファルハディ監督による最新サスペンスドラマ。イラン人俳優のアミール・ジャディディ、モフセン・タナバンデ、フェレシュテ・サドル・オラファイのほか、監督の娘であるサリナが出演している。

『Paris, 13th District』(原題)

©Shanna Besson

2015年に『ディーパンの闘い』で悲願のパルムドールを受賞したジャック・オーディアール監督による、現代の人間関係を描いた作品。撮影はパリの路上や屋上で行われ、すべてモノクロで表現されている。ルーシー・チェン、マキタ・サンバ、ジェニー・ベス、ノエミ・メルランが出演。ときに友人であり、恋人であり、またその両方でもある、3人の女性と1人の男性の物語だ。

『Benedetta(原題)』

Photo: Courtesy of IFC Films

ポール・バーホーベン監督の『エル』(2016)のファンであるなら、賛否両論ある大胆な続編を見逃すべきではない。舞台は17世紀、ヴィルジニー・エフィラ演じる修道女が、他の修道女と淫らな関係を結んでいく。壊滅的な疫病の中で奇跡を起こすエロティック・スリラーだ。

『Mothering Sunday(原題)』

Photo: Courtesy of Sony Pictures Classic

2016年に発表されたグレアム・スウィフトの小説が原案。舞台は1924年、メイドのジェーン(オデッサ・ヤング)が休暇を取るところから物語は始まる。コリン・ファースオリヴィア・コールマン演じる、ジェーンの雇い主である夫妻は、偶然にも彼女の恋人(ジョシュ・オコナー)の婚約を記念した祝賀会に出席する。脚本は『サクセッション(キング・オブ・メディア)』のアリス・バーチ、監督は18年に『バハールの涙』でカンヌ国際映画祭に出品したエヴァ・ハッソン。

『Bergman Island(原題)』

『未来よ こんにちは』(2016)で、ベルリン国際映画祭の銀熊賞 (監督賞)ほか、数々の映画祭で受賞したミア・ハンセン=ローヴェ監督作。バルト海に浮かぶフォーロー島に引きこもり、イングマール・ベルイマンからインスピレーションを得ようとしているアメリカ人の映画製作者カップルを、ティム・ロスとヴィッキー・クリープスが演じる。ミア・ワシコウスカとアンダース・ダニエルセン・リーも出演し、今年のパルムドール候補と呼ばれる話題作だ。

『Memoria(原題)』

Photo: Courtesy of Neon

ティルダ・スウィントン演じるスコットランド人女性は、コロンビアの妹を訪ねている間に奇妙な夜行性の音に気付き始める。2010年にパルムドールを受賞したタイの映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクンが初めてタイ国外で撮影した作品で、監督は本作のインスピレーションについて「人は何かを想像し、恐れを抱く。──この映画は、知らない何かを待つということについての作品です」と語っている。また、ティルダ・スウィントンは本作のエグゼクティブ・プロデューサーも務めている。

『Titane(原題)』

Photo: Courtesy of Neon

獣医学校に通うベジタリアンの少女が変わりゆく姿を描いたホラー映画『Raw 少女の目覚め』に続く、ジュリア・デュクルナウ監督の新作。空港で逮捕された若い男が、実は自分は何年も前に失踪した子どもだと名乗る。フランス人俳優のナタリー・ボワイエとヴァンサン・リンドンが主演。映画の詳細についてはあまり知られていないが、『パラサイト 半地下の家族』ほか、ヒット作の嗅覚があるネオンがこの映画を配給するということが、既に決定している。

『The Story of My Wife(原題)』

Photo: Csata Hanna

1942年にハンガリー語で出版され、80年代になってようやく英訳されたミラン・フストの同名小説を、イルディコ・エニェディ監督が舞台を20年代に変えて映画化。ストーリーは、呪われた船長がひとりでさまよい続けている幽霊船“フライング・ダッチマン”の伝承がベースとなっている。船長は友人に「酒場のドアを開けて次に入ってきた女性と結婚する」と賭けをする。その女性、リジーを演じるのが、レア・セドゥだ。エニェディ監督は、この本との出合いを「10代の決定的な瞬間」のひとつとし、本作を「素晴らしく不完全な男性たちへのラブレター」だと表現している。

『Jane by Birkin(原題)』

俳優、シンガーソングライター、ファッション・ミュジシャンなど、ジェーン・バーキンが60年のキャリアの中で演じてこなかった役はほとんどない。しかし、このドキュメンタリー映画『Jane by Birkin』の公開により、74歳のスタイルアイコンはまったく新しい一面を見せることになった。
娘であり、俳優・ミュージシャンであるシャルロット・ゲンズブールが監督を務め、母であるジェーンの不朽の魅力に迫るという、これまでにない親密な内容だ。

映画は3年間ジェーンを追い続け、彼女のキャリアや、フランスの伝説的な音楽家でシャルロットの父であるセルジュ・ゲンズブールとの関係を振り返る。娘シャルロットも作家主導のアバンギャルドな作品を好む傾向があることで知られる。そのため、この映画が想像以上に奇抜なものになっていても不思議ではない。

Text: Radhika Seth, Chloe Schama

Bella Hadid attends the "Annette" screening and opening ceremony during the 74th annual Cannes Film Festival on July 06, 2021 in Cannes, France.
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