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「ワインを通じてカンヌとフランス文化を味わってほしい」。カンヌ国際映画祭に公式ワインを提供するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社のユーグ・ルシャノワーヌ会長が東京で語った。

カンヌ国際映画祭の公式ワインである「ムートン・カデ」から、「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション2015」が日本で販売スタート。その記念すべきローンチのために来日したのが「ムートン・カデ」を含むブランドワインからシャトーワインまで幅広いポートフォリオを有するボルドーのバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社のユーグ・ルシャノワーヌ会長だ。「ムートン・カデ」と映画のつながりから、日本市場の位置づけまで、語ってくれた。

日本でも味わえるカンヌ国際映画祭公式ワイン。

Photo: Cedric Diradourian

——「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション2015」が日本で発売されましたが、特に日本の消費者に知ってほしいところは何でしょうか?

日本とフランスのカンヌは遠く離れていますが、このワインを通じて日本のみなさまに、カンヌ国際映画祭と、この映画祭に代表されるフランス文化を味わっていただければと思います。また、今年からボトルのデザインも変わりました。これまでの印字ラベルではなく、ボトルに直接デザインがほどこされたうえに、そのデザインは映画のリールになっています。これは今年だけのデザインですので、まさに「リミテッド・エディション」です。

——「ムートン・カデ」とカンヌ国際映画祭のご縁は、どのように始まったのでしょうか?

実はムートン・カデの創立者であるフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵の娘であり、昨年までオーナーを務めていたフィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人は女優でもありました。そこで25年ほど前に当時のカンヌ国際映画祭のトップが男爵夫人と知り合い、映画祭期間中のすべてのランチやディナーでのワインを提供するということになりました。そこには、明確なプランなどまったくなく、純粋に「人と人をつなぐ」という意図のみがあったと聞いています。一方、5年ほど前からカンヌ国際映画祭に提供するワインのロットを新たに設けたことにより輸出が可能になり、日本を含め世界中でカンヌと同じワインを飲むことが可能になったのです。カンヌ映画祭で「人と人をつなぐ」ために作られたワインは今、こうして世界中の人と人をつなぐ、と同時に、「シネマ (映画)」というフランスの文化も味わっていただくことができるようになったのです。

「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション 2015」は、ENOTECA onlineで発売中。

映画とゴルフとワインの関係について。

Photo: Cedric Diradourian

——カンヌ国際映画祭以外に、ゴルフの「ライダー・カップ」の公式スポンサーでもあります。

そうです、これは私自身のイニシアチブでやることになりました。私自身がゴルフをよくするのですが、3年前に足をケガしていたときに、たまたま友人が「ヨーロピアンツアー」のトップの人を紹介してくれました。いろいろと話していくうちに、「ゴルファーはワインが好き」という話に。ならば「ライダー・カップでも何か一緒にやりましょう」という流れになり、ここでもワインは「人と人をつなぐ」役割を果たしました。「ムートン・カデ」は今、「ヨーロピアンツアー」と「ライダー・カップ」のオフィシャルサプライヤーになっています。

ゴルフはとてもインターナショナルなゲームですし、ゴルフコースがあるところには、レストランもバーもあります。そして、ワインとゴルフは非常に似ています。ワインを造るときは、その土地でベストを尽くすのと同じように、ゴルフをするときも、一人で、ベストを尽くします。両方とも自然に身をゆだねなければなりません。雨や風にあうかもしれません。両方とも伝統があり、うまくなるには時間が必要です。そして、エチケットを守らなければなりません。

「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション 2015」は、ENOTECA onlineで発売中。

和食とも相性がいい「ムートン・カデ」。

発売中の「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション2015」。

——日本の市場をどうご覧になっていますか?

日本には年3回ほど来ています。日本市場は弊社にとってフランス、ドイツ、アメリカ、カナダの次に需要の多い市場です。私は若いときに日本に研修で来たこともありますが、日本市場はここ10年でダイナミックになっていると思っています。成長もしていますし、消費者はより品質のいいワインを飲んでいると思います。特にエノテカとはよいパートナーシップを組んでいます。

——特に力を入れたい分野はありますか?

私たちはあらゆるオケージョンにマッチしたワインを提供したいと思っています。アペリティフにはソーヴィニヨン・ブランがありますし、ロゼもありますし、さらにコンビニで売っているハーフボトルも提供しています。私たちは新しい市場を開拓しようとはしていませんが、今ある市場の中で、よりよい選択を提供していると思っています。

——和食との組み合わせも広がっていますが、会長ご自身が好きな組み合わせはありますか?

白ワインと天ぷらの組み合わせがありますね。ロゼと焼き鳥。赤は何にでも合いますが、特に鉄板焼きと相性がいいです。

「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション 2015」は、ENOTECA onlineで発売中。

世界のセレブリティたちが楽しむ「ムートン・カデ」。

Photo: ©MCWB カンヌ国際映画祭にて、ユーグ・ルシャノワーヌ会長と俳優のトミー・リー・ジョーンズ。

——今後は?

多くの人々は中国やロシアに焦点を当てていますが、私たちは日本にフォーカスをしています。私たちは日本オフィスも持っています。アジアで現地法人があるのは日本のみです。日本の消費者はワインの品質をよく理解していて、洗練された消費者だと思います。私が初めて日本に来たのは25年前ですが、その頃から見ても消費者の裾野はますます広がっています。もちろん、高級ワインを飲む人もいますが、日常生活の中にワインが取り入れられてきています。

カンヌ国際映画祭は今年、5月13日から24日まで開催され、世界中からセレブリティたちが集まります。今年は是枝監督の作品等もノミネートされていますね。会場内ではこうしたセレブリティたちがプライベートに集まれる「ムートン・カデ」のワインバーもあります。そこで飲まれる「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション2015」をぜひ日本でも味わっていただければと思います。

「ムートン・カデ カンヌ・リミテッド・エディション 2015」は、ENOTECA onlineで発売中。

Mihoko Iida