銀座メゾンエルメス フォーラムにて、二部構成で行われるこの展示。既に会期が終了した「ダイアローグ1:『新たな生』崔在銀展」に続き、今回の「ダイアローグ2:『つかの間の停泊者』展」では、ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカら4人のアーティストが、コンテンポラリー・アートというプラットフォームのなかで、自然と人間のエネルギーの循環や対話の可能性を考察。それぞれの作品は、地球という惑星に停泊するものたちのエネルギーの循環や共鳴、そして希望について考えさせてくれるはずだ。
ニコラ・フロックは、世界各地の海や河川に自ら潜りながら、水面下の景観と生息環境、その生態系の撮影を続けている。今回は、カランク国立公園の委託事業である「Invisible(インヴィジブル)」(2016~2021)や、緑と青の色調を水から取り出した「La couleur de l’eau(水の色)」(2018~2020)など、通常は目にすることのない地球環境や人間活動の領域を科学的に、またコンセプチュアルな手法で記録する代表シリーズを紹介する。
ケイト・ニュービーと保良雄は、関連プログラムである森美術館「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展にも出展中だ。ニュービーは、現居住地であるテキサスと栃木県益子町でセラミック制作を行った。協働する複数の手によって生み出される作品は、ささやかな日常の集積や風土を含み、増殖するかのように空間を占拠し、私たちの身体に親密な触覚をもたらす。保良は、鉱石や水といった物質の状態変化に着眼。都市の生態系の中に、地球太古の時間に都市の地政学を持ち込むことで、エコロジー思想にも潜在する優劣や格差への批判を込めたアプローチを展開する。
ラファエル・ザルカは、美術史を再訪しつつ、過去の作品の流用と再利用に見出される可能性を、エネルギーが新たな回路へ接続するプロセスとして解釈し、建築やアートの生態系を拡。「Riding Modern Art(ライディング・モダンアート)」(2007~2016)は幾何学的なパブリックアート作品に潜在する動きのダイナミズムが、スケートボーダーによって可視化されるさまを写真に納めたシリーズで、東京日仏学院においても作品展示を行う。
「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ2:『つかの間の停泊者』展」
会期/~5月31日(金)
会場/銀座メゾンエルメス フォーラム 東京都中央区銀座5-4-1 8・9F
Tel./03-3569-3300
開館時間/11:00~19:00(入館は~18:30)
観覧料/無料
https://www.hermes.com/jp/ja/content/maison-ginza/forum/240216/
Text: Aya Hasegawa